どのレベルから作るの? 田植え、養鶏、食器も土から 学生がカレーを全部イチから作るドキュメンタリー公開:TOKIO視点
その名も「カレーライスを一から作る」。スパイスも塩もぜーんぶ自作。そこから美大生たちが気づく命の重さ。
学生たちが“カレーライスを一から作る”べく、米、野菜、肉、スパイスを育て、塩、さらには食器までも自ら作ってしまう――その奮闘の日々を収めたドキュメンタリー映画「カレーライスを一から作る」が11月19日にポレポレ東中野(東京・中野)で公開されます。
探検家で医師で武蔵野美術大学教授の関野吉晴さんが同大学で開いている、ちょっと変わった課外ゼミ。2015年度の関野ゼミの試みは「カレーライスを一から作る」こと。米は田植えから、トリは小さいころから育ててと、材料や食器全てを自分たちで作り、それら自作の材料で実際にカレーライスを調理して食べてようやく完成するプロジェクトです。関野ゼミに集まったイマドキの美大生たちはなじみのない農作業や養鶏に挑み、命を頂くことの大変さと大切さを知ります。
関野先生いわく、このプロジェクトにより「スーパーマーケットに行けばなんでもそろっちゃうけども、それを作るために『こんなに大変な思いをして作っているのか!』というのが分かる」とのこと。店に並ぶあらかじめ下処理された野菜、加工された肉、瓶詰めになっている調味料、100円均一ショップでも買える食器。それらの原点やそこに至る苦労を、学生らは9カ月かけて体感し痛感していきました。
懸命に作業に挑みますが、素人なのでやはりなかなか上手くいきません。野菜はヒョロヒョロに細く育ってしまい、化学肥料を使うか否かで意見が分かれてしまいます。さらに、チキンカレーのチキンにするため鶏を飼育しましたが、その過程で情が移ってしまい、「命の大切さを勉強するんだから、本当に殺してもいいのか?」「カレーにするために育てたんだから、予定通り絞めるべきだ」と論争に……。食べものの裏側の現実は、厳しくそして重かったのです。
ある種の“食育”にもピッタリな今作。監督はドキュメンタリーの名手・前田亜紀さんが、音楽は人気タブラ奏者のU-zhaanさんが担当します。映画の仕上げの費用や宣伝費に充てられるクラウドファンディングも実施中。学生たちの食に対する「気付き」の記録を追体験することで、大人も子供も新しい何かに気付くのかもしれません。
(qeeree)
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