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最高のピンボールゲームを作りたい → よし、まずは実機からだ!(20年前) 壮大すぎる開発経緯を持つピンボールゲームがSteamで配信開始

出発点がまずおかしい(褒め言葉)。

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 クオリティーにこだわりすぎるあまり、研究・開発になんと20年を費やしたという、ものすごいピンボールゲームがSteamに登場しています。タイトルは「Pinball Parlor(ピンボールパーラー)」。そもそも何をどうしたらピンボールゲームの開発に20年もかかるのか、開発者に聞きました。

 「Pinball Parlor」の開発元は、超ワイド画面(3200×800)シューティングゲーム「Super Chain Crusher Horizon」などで知られるマインドウェア。ゲーム内容はシンプルかつクラシックなごく普通のピンボールゲームですが、温かみのあるグラフィックやサウンド、そして80年代以前のピンボール台が持っていた、ピンボール本来の戦略性をひたすら追求している点などが特徴。また著名ピンボールデザイナーのスティーブ・コーデック氏、ジョン・ポパデューク氏もアドバイザーとして開発に関わっています。

 マインドウェアの市川幹人さんに開発の経緯を聞いたところ、そもそもまず市川さん自身が熱烈なピンボール好きで、当時発売されていたピンボールゲームにまったく満足しておらず、「それなら自分で作ろう!」と考えたのが開発の動機だそう。これが大体1995年ごろのこと。

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 問題はここからで、ピンボールゲーム開発を決意した市川さんはまず、「良いピンボールゲームを作るためには実機への理解が必要だ」と、ゲームセンターに掛け合い、実機のメンテナンスをさせてもらうようになります。この時点で既におかしい……。ちなみにマインドウェアではピンボール台のリースや買い取りも行っていますが、これはメンテナンスを請け負っているうちにレアな台が手元に次々と集まるようになり、ピンボール好きから「お金を出すから打たせてほしい」という声が多く寄せられるようになったからなのだとか。

マインドウェア運営するサイト「pinball.co.jp」

 そして2002年にようやくオリジナルのピンボールを開発開始……するのですが、ここで市川さんはいきなり「ピンボールゲーム」を作るのではなく、そのオリジナルとなる「実機」から作り始めるという暴挙に出ます。日本では80年代以降新たなピンボール台は開発されておらず、これだけでも市川さんの破天荒ぶりがうかがえます。この台は1年後の2003年に完成しますが、当時行ったロケテストの反応は「考えられないくらい良かった」とのこと。ただ、結局量産はされなかったため、この台が正式に日の目を見ることはありませんでした。

開発中の実機写真
なぜここから始めようと思ったのか……

 そして2003年、とうとう当初の目的だった「ピンボールゲーム」の開発がスタート。と言っても、先ほどの実機をデジタルに落とし込むだけなのですが、なにせ目指すハードルが高すぎるため、ここからがまた長い。そもそも当時のハードでは物理演算やライティングを行うにも圧倒的にスペックが足りず、何度もプロトタイプを作っては捨てる日々が続きました。加えて、途中で市川さん自身が体調を崩したり、またアドバイザーのスティーブ・コーデック氏が亡くなってしまったりと不幸も続き、開発は難航を極めます。しかしようやく今回、納得できるクオリティーに仕上がり、正式リリースにこぎつけたそうです。実機の研究開始から数えると、既に20年以上がたっていました。

完成した実機(左)とゲーム版(右)の比較

 市川さんによると、現在リリースされているピンボールゲームのほとんどは、90年代に流行したピンボール台がベースで、そもそもまずルールが複雑で分かりにくい、狙う場所が常に同じで展開の変化に乏しいなど、昔からのファンにとっては物足りないものばかりなのだといいます。そういった「現在のピンボールゲーム」へのカウンターとして、「Pinball Parlor」ではあえて80年代以前のギミックだけで台を構成。シンプルながらも個性的、なおかつクラシックな魅力を持つフィールドに仕上げたそうです。

 Pinball ParlorはSteamで12月24日より配信中、価格は1280円となっています。

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故・スティーブ・コーデックさんと市川幹人さん。ピンボール開発会社・ウィリアムスの本社エントランスにて撮影
"Chicago Flipper" created by Micky Albert + John Popadiuk.
(C) Mindware

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ピンボール | ゲーム | Steam | 開発者 | ゲーム開発

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