2月23日は「富士山の日」 もしも噴火したら?
意外と知らない噴火の被害。
2月23日は「富士山の日」です。毎年20万人以上の登山者がおり、2013年には世界遺産登録もされた富士山。しかし忘れてはならないのが、富士山が“活火山”であるということ。火山が噴火したらどうすれば良いのか? 普段はあまり考えないシチュエーションかもしれませんが、「富士山の日」という良い機会にちょっと考えてみましょう。
日本には実に110の活火山が存在します。その内、気象庁が「火山防災のために監視・観測」しているものは50。まずは自分の生活圏にどんな活火山があるのか、調べてみるのが良いでしょう。
火山が大噴火した場合、落下してくる岩石や高温な「火砕流(かさいりゅう)」などが襲ってくる火山付近からの避難が必要になるのはもちろんですが、より広範囲に被害をもたらすのが火山灰の「降灰」になります。火山は一回の噴火で数万~数十万トンの灰を降らせるといわれており、1707年の「富士山宝永大噴火」では実に10億5000万トンの火山灰が降ったと考えられています。内閣府によると、これは東日本大震災において発生したがれき総量の約65倍。除灰作業が一筋縄には進まないことが容易に想像できます。
いざ火山が噴火したときに、降灰量を知るために無くてはならないのが気象庁による「降灰予報」です。降灰予報は2008年にスタートしましたが、実は2015年に大幅にパワーアップ。以前は約6時間先までの予報でしたが、現在は18時間先までの予報が「定時」「速報」「詳細」の3段階で詳細に発表されるようになっています。
気象庁は降灰時の対応について、0.1ミリ未満の降灰でも窓を閉め、0.1~1ミリの降灰ではマスクを着用するよう呼びかけています。また、1ミリ以上の降灰がある場合は外出を控えるよう呼びかけています。過去には降灰が0.1ミリ以上だった地域でぜんそく患者の40%以上が症状悪化したというデータや、6ミリ以上で喉、鼻、眼の異常を訴える人が増大したという報告があります。
火山灰が積もった状況では、厚みが1ミリ以下でも車道のセンターラインは見えにくくなり、雨が降れば車がスリップする危険性が格段に上がります。晴れていても1~2センチで運転に支障が出始め、5センチ以上で通行不能に。また、雨天時は5ミリの降灰で除灰用の車が走行できなくなり、通行不能状態になってしまいます。鉄道も5ミリ程度の降灰で運行停止と想定されるなど、大きな影響が考えられます。仮に富士山が大きな噴火をした場合、場所によっては100キロ以上離れていても2センチ以上の降灰が予想されます。案外ひとごとではないのです。
もしも富士山が噴火したら、交通の復旧にはどの程度の時間がかかるのでしょうか? また、具体的な除灰作業の方法は? ねとらぼ編集部では内閣府、国土交通省、JR東日本に取材を行いましたが、いずれも「どのくらいの時間がかかるかは分からないし、具体的な除灰方法も決まっていない」という回答でした。交通網に混乱が生じることが予想される以上、やはり非常食の備蓄や、付近の避難場所の確認など、日ごろからの備えが重要となりそうです。
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