「FF7」の衝撃はいかにして生まれたか? 田中圭一、電ファミでゲーム業界の「青春期」描く新連載
80~90年代に奮闘したゲームクリエイターたちの熱い思い出を描く。
漫画家の田中圭一さんが新連載「若ゲのいたり~ゲームクリエイターの青春~」を、ゲーム専門メディア・電ファミニコゲーマーで開始しました。80~90年代のゲーム業界を「青春期」と呼び、当時大奮闘したクリエイターたちの熱い思い出を描くインタビュー漫画。第1回のゲストは「ファイナルファンタジー(FF)」の生みの親、坂口博信さんです。
冒頭は田中さんがとあるゲームメーカーに勤めていた1997年当時の思い出。発売されたばかりの「FF7」の映像を見て、「今日以降発売されるゲームはすべてこのグラフィックと比較されることになるのか」と震撼するスタッフの姿が描かれます。
そしてこの「FF7ショック」を引き起こした張本人こそ、旧スクウェア時代に同作を手掛けた坂口さんでした。美麗なグラフィックの秘訣を聞かれると、1986年に同社がPC向けに発売したRPG「クルーズチェイサー ブラスティー」の開発秘話を披露。ハードの限界を超えるアニメ表現を実現した成功体験が、映像にこだわるようになった発端と明かします。
「クルーズチェイサー ブラスティー」で成功した坂口さんでしたが、その後も高度な技術力を生かして「FF」シリーズの開発も順風満帆に――とはいきませんでした。初代「FF」の企画立ち上げ時に、坂口さんが「打倒ドラクエ」を旗印に掲げてしまったからです。当時RPGといえば「ドラクエ」が一強。スタッフが引いてしまい協力を得られなかったのも無理からず、坂口さんは求人誌を利用して開発者を募るしかなかったといいます。
しかし地道なスカウトが奏功し、チョコボの生みの親にしてのちに「聖剣伝説」を作る石井浩一さん、「サガ」シリーズの川津秋敏さん、ドッターの渋谷員子さんらそうそうたるメンバーが集結。飛空艇の高速スクロールを、ファミコンの制約を超えて実現した天才プログラマー、ナーシャ・ジベリさんも登場します。彼らの技術は「流麗なグラフィック」という武器を作り上げ、「FF」シリーズを「ドラクエ」と並ぶ二大巨頭に押し上げたのでした。
「FF7ショック」を生んだのは、「クルーズチェイサー ブラスティー」の成功体験から生まれた、「ハードの限界を超える」精神だったといえるでしょう。この挑戦心は「FF7」開発時にも発揮され実を結ぶわけですが、詳しくは漫画をご覧ください。
時代を作ったクリエイターの、若き日の奮闘を明らかにするこの連載、次回更新は6月30日予定。「アクアノートの休日」で知られる飯田和敏さんがゲストとして登場します。その斬新なゲームデザインを生んだ思想や、「風雲児」と呼ばれた故・飯野賢治さんとの友情や死別が語られるとのことで、今後も見逃せません。
(沓澤真二)
関連キーワード
ゲーム | ファイナルファンタジー | ゲームクリエイター | ファイナルファンタジーVII | 生みの親 | ゲーム業界 | 漫画家
関連記事
2ちゃんねるでは「和田が来たからクリエイターが辞めた」とディスられた―― 元スクエニ社長・和田洋一氏がFacebookで過去ぶっちゃける
5月31日の「黒川塾」で語られた内容を補足して公開。公式がご乱心 「ヤングブラック・ジャック」第11話のエンドカードに田中圭一先生登場で嫌な予感しかしない
正気か……。漫画家・田中圭一さんの新境地──うつ病からの脱出描く「うつヌケ」公開
パロディ漫画でおなじみの田中圭一さんの新作は、「うつ病」がテーマ。【ネタバレあり】ネットのマンガ好き騒然 「ど根性ガエルの娘」15話で何が起きたのか
まず1話と15話を先に読んでください!鳥嶋和彦、田尻智、シブサワ・コウ―― とんでもないインタビューを量産し続けるサイト「電ファミニコゲーマー」とは何者なのか
電ファミニコゲーマー編集長であり、インタビュー連載「ゲームの企画書」を手がけるリインフォース・平信一さんにお話を聞きました。田中圭一先生、おそ松さん×ブラックジャックのエンドカードを描く 手塚るみ子さん「元祖無断パロディ作家の意地を見せたな」
アニメ「ヤング・ブラックジャック」第11話で。FFシリーズの生みの親がラッパーデビュー? 坂口博信さん本人出演のコメディ動画がノリノリすぎる
坂口さん何やってんすか!田中圭一先生のご飯漫画に手塚先生の娘・るみ子さん登場 あれ、またイイ話だった……!
ところで「くぱぁ姫」って?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.