やしろあずきの調査―― コスプレの武器ってどう作られてるの? 「コスプレ造形師」のスタジオに潜入してみた!(2/4 ページ)
最後、この企画の真意が明らかになる……。
いざ、コスプレ造形師さんの取材へ!
さて、待ちに待った取材当日! 今回取材させていただくコスプレ造形師さんがいる工房があるという、都内のとある場所に呼び出されたのですが……。
どうしよう、めちゃくちゃ怪しい
地下にあるのはわかるんですよ、工房って地下にあるイメージもあったし……。ただ、めちゃくちゃ暗いし普通に怖い……あとよく見たらなんか非常口だし。
本当にこんなところにコスプレ造形師さんの工房があるのだろうか……。もしかしたらやしろあずきアンチの仕組んだワナなんじゃないのか……?
つい先日、熱心なアンチから全身に松岡修造の刺青を入れてやるという脅迫メッセージが届いたこともあり、
このまま進むべきか非常に迷ったのですが、取材は取材。覚悟を決めて行くしかないと、簡単に蹴破れそうなドアを開けて中に突入します。刺青を入れられてたまるか。
アンチの襲来を覚悟しつつドアを開けるとそこに広がっていたのは……。
おおおお!?
おおおおおお!!? これは……エア!?
おおおおおおおおおおおおおお!!
ちゃんと造形師さんのスタジオだ!!!!
部屋の至る場所に置いてある無数の武器や衣装。造形に使うであろうさまざまな道具。鼻をつく接着剤や塗料の香り……。
まさにコスプレ造形師さんの工房でした!!! すごい!!
若くして造形師として活躍する「ねぎろぎ」さん登場!
そう、この方こそ今回取材を快く許可してくれたコスプレ造形師、ねぎろぎさんです!!
一緒に写っているFGOの盾はつい最近制作したものだそうです。すご過ぎ。
「本日はよろしくお願いします! ねぎろぎさんはコスプレ造形師として絶賛活躍中なんですよね?」
「はい。ただ最近はコスプレだけではなく、舞台で使う衣装や武器などの制作依頼も来るようになったのでコスプレ専門というわけではなくなってきましたね。そっちも造形という意味でやっている事は同じですけれど……」
「なるほど。コスプレ造形依頼を受けつつ、更に舞台などでも使われる道具の造形も請け負ってるなんて、もう完全にプロですね。ちなみにねぎろぎさん自身もコスプレはされるんですよね?」
「めちゃくちゃしますね! もちろん自分のコスプレに使う衣装や武器も基本は自作です」
「さすがだ……。工房を軽く案内してもらえたらなーと思うんですが、まずこの工房ってねぎろぎさんの所有物なんですか?」
「いえ、個人の所有物ではないです! 仲が良いコスプレ造形仲間数人でお金を出し合って借りているんです。やっぱり皆で作業してると集中できるし、サボることも少なくなるので……まあ、皆の作業場兼たまり場って感じですね」
「なるほど! 共通の趣味を持つ仲間がいつでも集まれる場所があるって良いですね……憧れるなぁ」
「ちなみに工房は仲間内で『ラボ』と呼んでいます!(笑)」
「ラボ!? めちゃくちゃ格好良い」
「ラボを利用する仲間は『ラボメン』です」
「エル・プサイ・コングルゥ……」
工房もとい「ラボ」の中を見学!
「それでは早速コスプレ造形師のラボを見学しながら金目の物を探していきましょう!」
「か、金目の物を……!? まあ、そんな広くはないので、すぐ紹介できちゃうと思うんですが……まず入ってすぐ右手にあるここがメインの制作ゾーンですね」
「大体ここで依頼された衣装、武器の制作をして……」
「隣接するこのスペースには主に制作に使う道具などを置いて管理してます」
「へえ……こういう制作に使う備品とかにかかる費用なんかも、皆で管理してるんですか?」
「そうですね、大きな買い物とかだったら相談して、使う人たちでお金を出し合ったり……」
「なるほど、備品などの費用も抑えられるのが共同管理の良いとこですね。ちなみにこの中で一番高価なものってなんですか?」
「な、なんで金目の物を……盗る気か……!?」
「できれば一番高価なわりに存在感が薄くて、無くなっててもなかなか気付かないようなものが望ましいです」
「盗る気が見えすぎてて逆に怖い」
「この奥のブルーシートで囲まれているあたりが塗装ゾーンです。塗装に使うスプレーなどはなるべく隔離された場所で使ったほうが良いので、こういう場所で使います」
「ちゃんと考えられてるんですね、さすがだ。ちなみに、塗装ゾーンの手前にめちゃくちゃ武器が置いてあるのは……?」
「ああ、倉庫的な……これまで作った武器などが置いてあるだけですね。一見、これに阻まれて塗装ゾーンに行けない状態に見えますが、そこは気合で通り抜けます」
「気合って便利な言葉だなぁ……」
「まあここは……何だろう、作業場でもあり、たまり場でもあるので……作業の間に息抜きをしたり、ラボメン同士で交流したり……交流ゾーンですかね」
「すごい、いろんなゲームハードが置いてある」
「(Nintendo)Switchもありますよ! 皆でマリオカートしたりできます」
「すごいんだけど、今のご時世、蹴破れば簡単に開くようなドアがある場所にSwitchを置いておくのはヤバい気がする」
「確かに」
「ここはまた、すごい趣味の集大成というか……」
「これはラボメンが各自好きなものを持ち寄って展示している感じですね! 結構高価なものもあったり……」
「もう早く蹴破れば簡単に開くようなドアをなんとかしたほうが良い気がする」
「善処します」
「しかし、ここはあれだな。交流ゾーンというにはちょっと設備が充実しすぎているので……わくわく……いや、わんぱくおあそびアイランドに名称変更しましょう」
「い……嫌だ!!! なんでそんな幼稚園児向けのお遊戯ゾーンみたいな名前を……」
「さて、ではこのわんランを最後に大体ラボは紹介していただけた感じでしょうか」
「早速略し始めた……。そうですね、大体は……あと紹介できそうな場所といえば洗面台兼シャワーとかでしょうか」
「え? シャワー??」
「はい。実はラボには風呂がついてないので、泊まるときとかには洗面台に頭を突っ込んでシャワーのかわりに使います。ちなみにガスは引いてないので1年中冷水です」
「なんでそこだけ東京に出てきたばっかの貧乏学生みたいなことになってるの? というかやっぱり泊まったりするんですね……」
「イベント前だったり制作に追われているときは結構泊まりますね……家が遠いし、コスプレイベントをよくやる会場へのアクセスも良いので。どうしてですか?」
「いや……空気が……失礼かと思って言わなかったんですが、塗装とかでものすごくスプレーとか使われるのと、地下ということもあって……めちゃくちゃ空気が悪くないですか? ここ」
「完全に自負しています。ですが、塗料などを使用する際には防毒マスクなどを着用しています」
「完全に自負していたのか……。でもちゃんと対策してるのは偉いですね」
「まあ、泊まると90%ぐらい風邪をひいたりするので、僕以外のラボメンは基本泊まりたがりませんね。僕は大丈夫なんですが。慣れてるし」
「(この人早死にしそうだな)」
……というわけで、ねぎろぎさんにラボを紹介してもらいました!
ガスが止まって冷水でシャワーを浴びなければいけない苦行や、下手な素人が宿泊したら三半規管をやられかねないという環境はともかく、仲間で集まり何かを作れる場所、漫画家でいうトキワ荘みたいな雰囲気があってすごくうらやましい環境だと感じました。多分ねぎろぎさんは早死にすると思いますが。
さて、この後は皆さまも気になっているであろうコスプレ造形師の仕事や、普段の生活などを軽く聞いてみることにします!
あ、文章だけじゃわかりづらいと思ったので。描いたラボの見取り図を載せておきますね。
「人のラボを勝手に魔界にするのはやめてください」
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