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教師×作家×家事の“三足のわらじ” ネット小説大賞受賞作家はなぜ兼業の道を選んだのか(1/2 ページ)

デビューから気になる印税まで、兼業作家のリアルな生活について聞いてみました。

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 1日平均11時間以上という激務に追われながら、ネット上の小説大賞受賞をきっかけに兼業作家として歩みだした教職員、文野さとさん。なぜ学校の先生が作家になったのか、またなぜあえて専業の道を選ばないのか――兼業作家のリアルに迫ります。

文野さとさんの著書『灰色のマリエ』(左)と『シャドウ・ガール』(右)。『灰色のマリエ』は「第7回恋愛小説大賞」で445作品の中から「読者賞」を受賞した。

 今回お話を伺ったのは第7回恋愛小説大賞で読者からもっとも支持された作品に贈られる「読者賞」を受賞したことをきっかけに『灰色のマリエ』で書籍デビューを果たしたライトノベル作家、文野さとさん。本業は教師で、大学在学中に教員採用試験に合格後、現在に至るまで20年以上キャリアを積んできました。

 そんな文野さんに転機が訪れたのは30代のころ。自身のサイト「ぷんにゃごぱぁくす(現:P-PARK)」を中心にオリジナル小説の執筆を始めると、乙女心をくすぐる作風が注目を集め、「第4回ネット小説大賞」の大賞受賞作が書籍化されるなど躍進。ネット発の作家として注目を集める一人です。

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教職、文筆業、家事――3足のわらじを選んだ理由

――文野さんは教職と文筆業を兼業されています。一般的に教員といえば多忙だというイメージがあるのですが、両立は大変ではないですか。

文野確かに大変ですが楽しんでやっています。私の場合は教師と並行して文筆活動、そして家に帰ったら家事も行っているので、ある意味“三足のわらじ”なのかもしれません(笑)。

――文野さんは教師という職業について、どんな仕事だと捉えていますか。

文野「“お母さん”の立場と似ているな」と思います。手を抜こうと思えば抜けるのですが、逆に愛情をかけて「やろう」と思えば、いくらでもやることが見つかるんです。業務内容の幅も広く、教科指導などの基本的な仕事以外にも、部活動の顧問やある程度の校内清掃、校舎の簡単な修繕を行う場合もあります。残業手当が出るわけでもないですし(※)、勤務時間はあってないようなものですが、やっぱり私は教職が好きなので続けられていると思います。

(※)編集部注:公立学校の教員については、「国立の義務教育諸学校等の教諭等に対する教職調整額の支給等に関する特別措置法(通称「給特法」)」により時間外勤務手当(いわゆる残業代)が支払われず、教職員の給料月額の4%に相当する「教職調整額」のみを一律で支給するのみにとどめられている(関連記事)。

――教員をやっていて良かったなと思うことはなんでしょうか。

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文野疲れてヘトヘトになることもありますが、子どもと一緒にいるとエネルギーをたくさんもらえますし、生徒の親でもない私が子どもの成長を間近で見られるというのは素晴らしいことだと思います。また保護者の質問や要望に真摯に対応することにより、自分の中の“言葉の畑”が耕されるという点も良いところだと思います。

プロ小説家になっても私の日常は変わらない

――そんな文野さんが小説家を志したきっかけは何だったのでしょうか。また専業作家になろうとは思いませんか。

文野もともとはあくまでも趣味でオンライン小説を書いていたので、実は賞をいただくまで、「小説家になろう」だとか、自分が文筆業をはじめることになるとは思っていませんでした。受賞が決まったときも「たまたま宝くじが当たったんだ」ぐらいの感覚でしたし、もともと子どもと、教えることが好きで教員になったので、今のところ専業作家になろうとは思いません。

――意外ですね。小説を書き始めたきっかけを教えてください。

文野10年ほど前にひかわきょうこ先生の『彼方から』という漫画にどハマりして、二次創作の小説やイラストを描くようになったのがきっかけです。そこからオリジナルの作品も書き始め、オンラインノベルのサイトに作品を投稿するようになりました。

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――賞に応募したのは何かきっかけがあったのでしょうか。

文野私が作品を発表していたサイトから簡単に応募することができたからです。エントリーするという目標を設けることで創作活動の動機づけになるかなと考えて応募しはじめました。

――創作の時間はどうやって捻出しているのですか。

文野平日は仕事に家事にとほぼ時間が作れないので、基本的には土日を中心に作業しています。といってもクリエイティブな仕事のため、「頑張れば書ける」というものではないのが難しいところで、たとえ無理やり書いたとしても結局ボツにすることが多いです。

――プロの小説家になって「ここが変わったな」というところは。

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文野プロになったからと言って私の日常が変わることはないですね。本業(教職)もこれまで通り全力で頑張っています。また家族とも「あそこの本屋さんに(私の本が)置いてあったよ」とかそういう会話くらいはしますが、家では仕事の話をしないことにしているので、これといって文筆業についての相談や会話はしません。

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