人間を呪い殺すはずが……? 憎しみのオーラ漂う市松人形とおじいちゃんの漫画が怖い話から一気に泣ける展開へ
呪いの人形も出会いで変わる。
人間を恨む市松人形が登場する、導入が怖い話の漫画が予想外のほっこり展開で人気です。2017年8月末に公開されたものですが、最近になって再び注目を集めています。思い出してはまた読みたくなるお話。
気味悪がられて物置に長い間放置され、「許せない許せない」と黒いオーラを放つ市松人形。「呪い殺してくれるわ…!!」とすさまじい憎しみの感情が恐ろしいですが、ついに現れたその“獲物”は年老いたおじいちゃん。これには市松人形も「放っといても死にそうな奴きた…」と複雑そうな心境に。
しかし夜になっては「もうこいつでもいい…!!」と、寝ている間に髪が伸びる(歯も生える)という呪いの人形らしい怪異で怯えさせようとします。……が、おじいちゃんから返ってきたのは「成長期の子供はさすがじゃのう」とよしよしして、「年を取ると毛も歯も抜けるばっかりでの」とうらやましがる言葉でした。「まさかの反応だわ」と市松人形。おじいちゃんのメンタルの方が強かったか……。
その後もつげ櫛で髪をきれいにブラッシングされては、さり気なく亡くなったおばあさんとのノロケ話を聞かされる平和な時間を過ごします。まだ夜は相変わらず黒いオーラを放ってはいますが、おじいちゃんの長いこと停止した寝息を心配するようにガタガタと音を立てて生死を確認して、「よかった…生きてたわ…」とホッとする市松人形なのでした。怖いかと思いきや和む話だった……!
さらに続きの漫画では、お隣の家のヨネさんに作ってもらったという“新しいおべべ”を着させてもらって「まるでお姫様みたいじゃ」と褒められ、「悪くないわね」とキラキラする市松人形の姿が。そしてその夜、おじいちゃんを迎えに来た死神を追い払ってお布団に寄り、「あなたの奥さまに逢って、あなたがどんな人だったかきくのよ」と、呪い殺すことをやめて極楽浄土に行くことを伝えます。やさしい笑みのかわいい“お嬢ちゃん”がそこにはいました。
別れ際には、「じじいの独り言に付き合ってくれてありがとうね」とお嬢ちゃんの後ろ姿に声をかけ、おばあさんへ「頃合いを見て行くよ」という伝言を頼むおじいちゃんと、その言葉に驚いて頷きつつも「でも」「長生きしてねおじいちゃん」とやさしい表情で答える市松人形の姿が描かれています。なにこれ泣ける……。
投稿したのは漫画家の櫻日和鮎実(さくらかわ あゆみ)さん(@ayuneo)。櫻日和さんは他にも「精神科へ行くのには抵抗があるよねって方々に届いてほしい」と投稿した、心の病気についておかしいと思ったら「すぐに病院を探そう!」と訴える漫画も共感の声を集め話題になりました。他にもさまざまな作品を公開しており、現在は『月刊コミックフラッパー』でパニック障害エッセイ漫画『パニくる!?』が連載中のほか、Web漫画サイト「くらげバンチ」で美少年生態解明ギャグ漫画『ビネ先生とショ太くん』を短期連載中です。ちなみに以前にはフラグ立て放題のLINEスタンプ「余計なモノローグ」を作っていることでも話題になりました(関連記事)。
Twitterではたくさんの「ええ話しや…」「泣ける」と感動した人の声が上がっていて、「何回見ても泣く」「この話好き」と何度も読み直している人の声も上がる人気となっています。
画像提供:櫻日和鮎実(@ayuneo)さん
櫻日和鮎実さんの書籍(Kindle Storeで配信中)
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