まとめサイト「やらおん!」「オレ的ゲーム速報」をTogetterが名指し批判 無断転載で問われるまとめサイトの責任とは(2/2 ページ)
「あまりにも悪質」とTogetter。
「やらおん!」「オレ的ゲーム速報」側の回答は
また、本件について編集部からも「やらおん!」「オレ的」に対し問い合わせメールを送ってみましたが、「やらおん!」側はやはり回答なし。一方「オレ的」側からは、取材には基本的に応じる方針だが、ねとらぼの副編集長がTwitterで当ブログの内容を無断転載し、一般人に当ブログを攻撃するようけしかけているため、問い合わせに対し安心して答えることができない、という趣旨の返信があり、こちらもいったんは回答を拒否されました。
しかしその後やりとりを続けたところ、「オレ的」側から次のようなコメントが送られてきました。
オレ的:
Togetter様からの問い合わせにつきましては、当方の連絡先へTogetter様からのメール等が届いていなかった為、該当のツイートにて自体を把握、即座に私からTogetter様へ連絡して事実内容の確認をし、該当の記事の削除、今後の転載は行わない旨をお伝えし、お詫び致しました。
当ブログではインターネット上で話題になっている面白い記事を紹介することを目的としており、決して掲載元に迷惑を掛けるつもりはございません。
Togetter様も、まとめサイトということで面白い記事を共有できれば、との考えで紹介しておりましたが、ご迷惑をお掛けしたようなので今後は転載を行わないよう致します。
Togetter様のコメント欄にて「マジかよ、やらおん最低だな!!!」とコメントした件におきましては、一部のまとめサイトによる悪質な転載方法に腹が立ってしまい、思わず感情的になり、書き込みをしてしまいました。
まとめサイトの中には転載を行うことに責任を持たない悪質なサイトも存在致します。
当ブログではこのようなサイトと混合されないよう、著作権者による申し立てにつきましては即時対応させて頂いており、細心の注意をはらう所存でございます。
【5月8日19時20分追記】オレ的ゲーム速報管理人から、メール文面の無断転載は許可しておらず、メールのスクリーンショットを削除してほしいとの要請がありました。編集部としては、メール文面も含めてこちらの問い合わせに対する回答の一部と考えていますが、先方の心情に配慮し、メール画像を一部差し替えさせていただきました
【5月11日9時30分追記】一部表現を修正しました
「責任」発言、意味はない?
「オレ的」側の主張は、「転載を行うことに責任を持たない悪質なサイトと異なり、オレ的は申し立てがあれば即時対応している」というものでした。指摘があっても応じない「やらおん!」に比べれば多少はまともな対応に見えますが、果たしてこれで「責任を持って運営している」といえるのでしょうか。
廣江総合法律事務所の廣江信行弁護士に、まとめサイトにおける著作権について聞きました。
―― 「やらおん!」や「オレ的」のようなまとめサイトにおいて、権利者から申し立てがあった場合、事後であっても即時対応すれば、著作権侵害について免責されるということはあるのでしょうか。
廣江弁護士:
まとめサイトの管理者などが、故意に著作権侵害などを行っている場合(適法な「引用」の要件を備えていない場合など)には、権利者からの申立てがあっても対応すれば免責されるという法律上の根拠はありません。直ちに対応していれば事実上、権利者も損害賠償や刑事告訴などの法的措置を執らないことが多いというだけでしょう。
これに対し、本件とは異なりますが、サイトの管理者と投稿者(ユーザー)が分かれている場合(※1)は、ユーザーの投稿が著作権侵害などに該当していても、「プロバイダ責任制限法」(※2)によって、サイト側の責任が免除される場合もあります。
「オレ的」の「即時対応している」という主張は恐らくこれを意識しているものだと思われますが、故意に違法な転載などの著作権侵害をしている場合とでは論点が異なっています。
※1:ユーザーが自分で記事や動画、画像などを投稿できるサービス、例えばYouTubeなどの動画サイトや、一部のまとめ、キュレーションサイトなどがこれにあたる
※2:例えばユーザーが投稿した「まとめ記事」の中に他人の権利を侵害するものがあっても、サイト側がそれを知りえず、問題となる情報の削除などの措置をとった場合には、サイト側は損害賠償責任などを負わないという法律
―― まとめサイトの中には、「当サイトで紹介している動画、画像等の著作権は、製作者様と発案様に帰属し、著作権その他の侵害を目的とするものでございません」といった説明を行っているものもあります。これはどこまで意味があるのでしょうか。
廣江弁護士:
特に免責の理由にはなりませんし、法的に意味のある記述でもないと思います。
表向きは“引用”名目も、大半の記事が“無断転載”
「やらおん!」も「オレ的」も2010年以前から存在する古参まとめサイトですが、どちらも2012年に2ちゃんねる(現5ちゃんねる)から名指しで「転載禁止」を言い渡されており、以降は掲示板以外のソースからニュースやコメントを“引用”し、管理人が一言コメントを添えるという形で記事を作成しています。しかし現実には引用要件を正しく満たしているケースはまれで、実際にはほとんどの記事が無断転載というのが実情でした。
加えて、両サイトとも詳細な管理者情報を明かしていないため、今回のように問い合わせを無視されてしまうと、権利者としてはそれ以上手の打ちようがありません(※)。このあたりの構造は「漫画村」などの海賊版サイト問題とも似ており、どちらのサイトも実際はほぼ「無断転載し放題」「たとえ指摘されても削除に応じれば責任を問われない」という“無敵の人”状態での運用が続いていました。
※仮に裁判に訴えるとしても、まずは管理人情報の開示請求から行わなければならず、コストや裁判期間などを考えると個人レベルで行うのは非常に困難
まとめサイトの無断転載問題を巡っては4月26日、朝日新聞社など報道7社からの申し入れで「NAVERまとめ」が無断転載34万件を認め、再発防止などの措置を講じると発表したばかり(関連記事)。ちなみにその後「やらおん!」は指摘があった記事を削除(Togetter側には相変わらず連絡がないとのこと)、「オレ的」もTogetterをソースとする記事を削除しており、少なくともサイト内検索で見るかぎりでは、Togetter関連の記事はなくなっているようです。
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