4年ぶりの同時公開に歓喜! ワレ「しんかい6500」と「よこすか」の“超スゲーところ”に肉薄す:キャプテンながはまのマニアックすぎるシリーズ(1/4 ページ)
“メカメカ”成分、超多め。(写真大盛り135枚)
うぉぉ! これがあの「しんかい6500」かっ!
神奈川県横須賀市にある海洋研究開発機構(JAMSTEC)横須賀本部で5月12日、毎年恒例の施設公開イベントが行われました。
海洋研究開発機構は、大深度有人調査船「しんかい6500」やその母船である「よこすか」などの海洋調査船を所有して海洋や海底の調査研究を手掛ける文部科学省所轄の独立行政法人です。
人気のしんかい6500、そしてよこすかの船内を間近で見られるとあって、航海当日は無料シャトルバスが出る最寄りの京浜急行追浜駅のバス乗り場で30分以上の待ち時間になるなど、実に多くの来場者でにぎわいました。貴重な海洋調査船の様子、じっくりと眺めていきましょう。
人気ダントツ! 「しんかい6500」
しんかい6500はその名前の通り、水深6500メートルの深海まで潜水できる有人潜水調査船です。就役は1989年で、2019年には船歴30年になるベテラン船。全長9.7メートル、幅2.8メートルとキャビン付きヨットと同じくらいのサイズながら、船体の高さは4.1メートル、空中重量は26.7トンもあります。乗員は3人、通常潜航時間は8時間(緊急時の生命維持時間は最大で129時間)、最大150キロの装備や採集したサンプルを収容できます。
就役から間もなく30年が経過しますが、搭載する観測機器やカメラ、情報処理機器を随時更新しており、年々進化しています。2018年現在はハイビジョンテレビカメラを2台に、最新のデジタルカメラやPCなどを活用しています。
マニピュレータの駆動系をはじめとしてしんかい6500の制御系パーツは、耐圧船殻内部ではなく外部に露出した状態で艤装(ぎそう)している。水圧に対しては内部に充填した「油」の圧力で対抗する「均圧方式」を取っている
しんかい6500はこれまで1500回以上の大深度潜航を実施し、数多くの貴重な成果を挙げています。海洋研究開発機構の所属船の中では特に知られている調査船の1つです。それだけに紹介される機会も多く、その姿や調査実績、詳細な仕様などを知る人は多いと思います。
しかしそれでも、直近で実際に船体を見て、解説員の説明を聞くとまた新しい発見があります。今回はしんかい6500を実際に運航しているチームのメンバーが解説員として参加し、実にファン心理を満たす貴重な話が聞けました。
大深度に潜航するしんかい6500では、電波が届かないので位置測定にGPSを使えない。そのため、背中に乗せたこの「同期ビンガ」と呼ぶソナーを使った音響航行装置で母船の位置を把握し、三角測量の手法で位置を測定する
しんかい6500は、6500メートルの深海まで行ける潜水艇。「水圧は10メートルもぐるごとに1気圧ずつ増える」ことを聞いたことがあると思います。水深6500メートルの世界は、1平方センチに約650キロもの“スゲー力”が掛かる想像しがたい世界です。
そんな膨大な水圧に耐えるために、当初は船全体を耐圧構造にしていると思っていました。しかしちょっと違いました。実際に耐圧構造としているのは潜航員や研究者がいる船室と主要部分を備えている部分のみです。その他の部分は打ち出しチタンの骨組みに機器を搭載し、圧縮空気を蓄えるタンクや油圧タンク、油圧管などは母船における整備のしやすさなどを考慮して“むき出し”になっているのです。
おっ。船体の両舷前方よりの船名の上に船検番号が貼ってあるじゃないですか。あれ? しんかい6500ってもしかして小型船舶の扱いなんですか?
「はい。しんかい6500の操船には小型船舶1級の免許が必要です」
やったー。私でも操船できるじゃないですか(ライセンス的には)!
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