連載

「子どもを持つことだけが、女性の幸せではない」を描いていく「HUGっと!プリキュア」のすごさサラリーマン、プリキュアを語る(1/3 ページ)

キュアマシェリとキュアアムール……今年のプリキュアは何もかもが……すごい……尊い……。

advertisement

 2018年6月17日。プリキュアの歴史に新たな1ページが追加されました。

 「HUGっと!プリキュア」に新しいプリキュア「キュアマシェリ」と「キュアアムール」が登場しました。

プリキュア HUGっと!プリキュア 愛崎えみる キュアマシェリ ルールー キュアアムール 田村奈央 田村ゆかり
キュアマシェリ(愛崎えみる)声:田村奈央
プリキュア HUGっと!プリキュア 愛崎えみる キュアマシェリ ルールー キュアアムール 田村奈央 田村ゆかり
キュアアムール(ルールー)声:田村ゆかり

 その初変身の際、キュアマシェリとなった「愛崎えみる」と、キュアアムールとなった「ルールー・アムール」、“愛”を名に持つ2人の少女は言いました。

advertisement

 「あなたを愛し、わたしを愛する」。

 この言葉は「HUGっと!プリキュア」の製作者が子どもたちに伝えたいメッセージの1つなのではないのかと自分は思うのです。

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。

「キュアマシェリ」と「キュアアムール」初登場

 プリキュアになりたいと願う少女「愛崎えみる」と心を持つに至ったアンドロイド「ルールー・アムール」。

 この2人が「同時にプリキュアとして覚醒」した第20話「キュアマシェリとキュアアムール!フレフレ!愛のプリキュア」。

 プリキュア15年の歴史の中でも、2人同時に新しいプリキュアが加入することは初めてのこと。

advertisement
プリキュア HUGっと!プリキュア 愛崎えみる キュアマシェリ ルールー キュアアムール 田村奈央 田村ゆかり
キュアマシェリとキュアアムールの変身シーン。尊い

 初披露されたその2人の変身バンクが、それはもうすごいこと、すごいこと。

 画面中を動き回り、2人で手をつなぎ、心を通わせながら楽しそうに変身していく様は、プリキュア変身バンクの1つの到達点を見た気がします。

 ただ毎年「これを越える変身バンクはこの先出ないだろうな……」って思っているのに、翌年にはそれを越えるとんでもない変身バンクが作られているのが、プリキュアというアニメのすごさでもあります。

 変身バンクはコンテを佐藤順一監督が、原画はエンディングのスタッフロールなどからみると、板岡錦さんが担当されていると思われます。

(参考記事:「なんだあの動きは?」「板岡錦だ!」 プリキュアがカッコよく動く、アニメーター板岡錦の世界

advertisement

 2人のプリキュアの初の戦闘シーンも圧巻でした。

 2人で歌いながら息を合わせシンクロして戦うのが「2人の関係性」を体現していてカッコよかったですし、戦闘の場にいない2人(さあや、ほまれ)のシーンを挟み、2人は別の場所で「夢の実現のために戦っている」描写を挟んだのも良かったですよね。

 この先、何十年とプリキュアファンの間で語られるであろう、歴史的な初登場シーンでした。

 まさに、えみるの言う、

「メロディは私の心、そこにルールーの心が重なれば」

advertisement

「最強! 無敵!」

なのです!

「子どもを育てることだけが女性の幸せである」ことを刷り込みたくない

 さて、そんな「HUGっと!プリキュア」ですが、「2018年はプリキュア15周年」ということもあり、例年にも増して雑誌や新聞など、さまざまな媒体での露出に積極的であるように思われます。

 その中でも『月刊アニメージュ』2018年7月号(徳間書店)は、大々的な「HUGっと!プリキュア」特集号でした。


『アニメージュ』2018年7月号では16ページにも及ぶ大特集(Amazon.co.jpから)

 特集記事の中で「HUGっと!プリキュア」のシリーズ構成の坪田文さんが、興味深いことを言っています。

advertisement

シリーズ構成を手掛けた坪田文さん「『将来子どもを持つことが女性の幸せだ』という価値観を刷り込んでしまうことはやりたくない」(筆者所蔵の『アニメージュ』2018年7月号P29から)

 「子育てがテーマの作品ですが、観てくれる小さい女の子に『将来子どもを持つことが女性の幸せだ』という価値観を刷り込んでしまうことは、私は絶対やりたくないんです」。

 「HUGっと!プリキュア」は子育てを1つのテーマとして扱っています。

 その「HUGっと!プリキュア」で、子どもをもつこと「だけ」が女性の幸せではない、ということを描いていく、というシリーズ構成の坪田さん。


多様性を描いた「キラキラ☆プリキュアアラモード」

 坪田さんは、2017年の前作「キラキラ☆プリキュアアラモード」でも脚本家として参加され、琴爪ゆかりや剣城あきら、キラ星シエルなど多彩なキャラクターを通して「生き方の多様性」を描いてきましたが、今作ではシリーズ構成として、さらに踏み込んでいくようです。

 「HUGっと!プリキュア」でも「示唆する」レベルではなく、「直接的な言葉」でジェンダーや人生論に触れることも多く、そのお話の密度から、さまざまな事柄に対し、多くの反響、意見が出ています。

 そして個人的には今回の追加プリキュアである、「ルールーとえみる」のお話を語るのに家族というファクターは避けて通れないと思います。

 そこで今回は「HUGっと!プリキュア」の家族の描写を見ていきたいと思います。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 自宅の犬小屋に住み着いた野良猫、1年後の姿に「泣いた」と大反響 それからどうなった?現在の様子を聞いた
  2. ペットショップで売れ残っていた5万5000円の柴犬→お迎えして半年後…… “一目瞭然の姿”が240万表示「うるってなった」
  3. 普通のクリップを2つつなげるだけで…… あると助かる“便利グッズ”に大変身 「マジで!」「素晴らしいアイデア」【海外】
  4. 100万円の“錦鯉”を自宅の池に入れたら…… 「おかしいでしょ」3日後、まさかの事態に「鯉は難しい…」「信用が大切ですね」
  5. 中村江里子、20年間住み続けるパリ自宅が“ぶっ飛び”すぎていた! 4メートル高天井&来客のド肝抜くデザイン尽くしに視聴者「日本の既成概念からは遠い」
  6. 「買ってよかった」 ワークマンのEXILE TAKAHIRO監修“2900円パンツ”に高評価続出 プロデュース手腕に称賛の声も
  7. 松屋が、松屋を……! エイプリルフールに企業公式の投稿が続々→“楽しいウソ”に「コレは笑える」「素敵なコラボ」【エイプリルフールまとめ】
  8. 英国人女性と出会った男性→8年後…… まさかの姿に反響 「めちゃくちゃ垢抜け!」「爆イケに!」
  9. 四肢欠損のママタレ、育児動画に誹謗中傷で1カ月超の“沈黙”……4歳娘への書き込みが「最も胸に突き刺さった」
  10. 第5子妊娠の辻希美「昨夜から中学生が6人泊まりで来てまして」 食べ盛りの子どもたちに“大量に作ったごはん”が圧巻