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1915年誕生「和文タイプライター」はいまだ現役だった! 日本の印刷を大きく支えた機械と人がつむぐ、103年後の言葉とは(1/5 ページ)

いまでも戸籍や司法書士の関係者には現役で使われています。

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 文字を入力する業務用の機器といえば、いまはパソコンが一般的。その前はワープロ。ではその前は……実は国内でその座を長きにわたり保持していたのが、「和文タイプライター」でした。

 アルファベットを打てば用が足りる英文のタイプライターとは違い、「和文タイプライター」では多くの種類の文字を扱います。特に漢字の数は膨大で、2000字をゆうに超える膨大な活字の中から使用する字を探し出して打ち出す、まさに「職人芸」が必要とされました。


2000字以上の活字の中から、使用する字を探し出して打ち出す「和文タイプライター」

実用邦文タイプライター教科書(竜成社出版部)より

 その和文タイプライターは1915年に活版術改良協会の技術主任だった杉本京太氏により「邦文タイプライター」として発明されたもの。これにより日本語の文書作成は一気に効率化し、1920年代以降の政府公文書や企業の商用文の多くはこれで作成されました。

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 日本の特許制度が100周年を迎えた1985年4月18日を記念して特許庁が「日本の発明家十傑」を選定した際には、この杉本氏の和文タイプライターも選ばれたほど。

実は1999年まで製造されていた

 その和文タイプライターも、ワープロが普及する1980年代からは急速に姿を消していったものの、実は少なくとも1999年5月という最近まで生産されていました。その和文タイプを駆逐したワープロがパソコンに押され、わずか4年後の2003年9月に生産終了となったのは皮肉なことです。


生産中止の発表を知らせる記事(日刊工業新聞 1999年5月13日号より)

 いわば“前々時代的”とでも言うべき入力機械の和文タイプライターですが、実はまだ使われている場所が少しだけあるのです。

まだ和文タイプライターを使う自治体も残っている!

 例えば全国の役所。戸籍をコンピュータで扱う電算化はかなり進んでいますが、京都府笠置町、北海道夕張市などの役所でまだ和文タイプライターが使用されています※1

【訂正:2018年7月8日18時20分 初出で「新潟県加茂市」としていましたが、京都府笠置町の誤りでした。お詫びして訂正いたします】

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 その中の1つである、京都府笠置町役場・戸籍担当の森本さんにお話を伺ったところ、戸籍をいまだ紙で管理していて、戸籍の届け出があったときに和文タイプライターを使うそうです。

※1……既に電算化されている自治体でも、古い戸籍を扱う際には和文タイプライターを使う場合もあるとか。


2018年度中に和文タイプライターの使用を終える、京都府笠置町(公式Webサイトより)

 しかし、2018年度中の戸籍の電算化が決まり、和文タイプを使うのはあとわずか。「和文タイプライターは手書きでもコンピュータでもなく、特殊なもの。寂しいとまでは行かないけれども、なくなることは残念やなとは思います」と語っています。

和文タイプライターを多く扱う、極めて希少な一店

 現在、日本で和文タイプライターの灯火を残す最後の砦……かもしれない店が福島にあります。貴重な和文タイプライターを複数台取り扱い、修理および消耗品や本体の販売を行う菅沼タイプライター福島販売さん。そこでこの道50年以上の佐々木直志さんと奥さんにお話を伺いました。


現代的な店構え

和文タイプライター一筋に50年以上。佐々木直志さん(恥ずかしがり屋の奥さんは撮影と名前NG)
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