15年描き続け、完成目標は2028年 架空の国を地図に描く「想像地図」プロジェクトの濃度がすごい(1/2 ページ)
架空の地図を描き続けてきた人に話を聞きました。
架空の国の全域を地図に描く――そんな壮大な創作活動「想像地図」に取り組んでいる人がいます。15年前に始まった活動はまだ完了しておらず、完成予定は2028年。地図を描いている「想像地図研究所」の中の人に話を聞きました。
想像地図は、地球によく似た「泉星」という惑星にある「城栄国」という架空の国の全域を地図にすることを目指しています。城栄国は人口規模や面積が日本に近く、「日本によく似ているけれど日本ではない島国」。11の地方と73の都道府県で構成され、首都は「南栄」……など、詳しい設定も作られており、そうした設定は描き上がった地図の部分とともにWebサイトで見られます。
1万分の1の縮尺で描かれている地図には、生方府、新山県など、見たことがあるようで知らない地名が並び、鉄道網や道路網も詳細に書き込まれています。設定データベースでは、鉄道の駅や高速道路、各市町村の名称や人口などを公開。細部への凝りっぷりがすごい……!
地図は完成するとA4用紙6万1000枚になる予定(城栄国の面積:約38万平方キロメートル)。この壮大な計画について、地図を描いているSirnokaさんに詳しい話を聞きました。
想像地図が生まれたワケ
子どものころから架空の地図を描くのが好きだったというSirnokaさん。想像地図の出発点となったのは、2003年夏に描き始めた「茶柱市」という架空の都市の地図でした。それまでは道路や線路を描くだけで地名をつけることはほとんどなかったものの、このときは全ての土地に地名をつけ、この街を舞台とする小説を執筆することも予定していたとのこと。
しかし、次第に「地図を描くこと」が目的になり、小説を執筆するという構想は忘れ去られることに。地図は広がっていき、2006年にSirnokaさんは「このまま続けたら60年後に完成するだろう」という予想を立てたそうです(その根拠についてはよく覚えていないとのこと)。「架空の惑星にある架空の国」という世界観を確定させたのは2010年で、このときに「2048年までに6万~7万枚の地図を描く」ことが目標に。
6万1000枚という具体的な目標が固まったのは2011年。そのためには年間2000枚を描く必要があるという試算でした。その後は描画速度が速まったため、完成目標が2028年に前倒しされています。
Sirnokaさんによると、2018年8月初めの時点で進捗は約58%となっています。
想像地図の作り方
想像地図は、A4用紙をテープでつないでその上にペンで地図を描き(1万分の1縮尺)、それをPCに取り込んで再配置する(このとき10万分の1に縮尺される)ことで作られています。当初は手描きのみでしたが、枚数が増え、描画済みの場所を把握しきれなくなったためPCに取り込み始めたといいます。
地名は地形を考慮しつつ、現実の地名などを参考にしながら考えているとのこと。日本では地名から苗字がつくケースも多いので、苗字も参考にしているのだそうです。
想像地図を見ていると実在の県をモデルにしたと思われる土地も見受けられます。Sirnokaさんによると、完全な創作か、実在の県をモデルにしているかの線引きは難しく、「ある部分は○○県をモデルに、別の部分は××県をモデルにした結果、全体としては完全オリジナル的になっている」というケースが非常に多いのだそうです。また、「名前がそれっぽくても、モデルが全然違うケース」もあり、例えば熊本と宮崎が混ざったような名前の「熊崎県」は、実際には愛知と静岡がモデルとなっています。
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