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「100万円くらい」でヨットは買えるキャプテンながはまの100万円で「船長」になる(1)(2/2 ページ)

「何も考えず、ただぼーっと船で過ごす世界」へのお誘いです。

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中古艇購入時のチェックポイント

 中古艇業者が扱う中古艇は、原則として業者が整備をして売りに出します。

 ただし、業者の整備が適切なものなのかどうかを自分でチェックできるようにしておけば、その業者が信頼できるのかどうか判断材料にもなります。現物確認が重要なのは中古車も中古艇も同様です。中古艇の現物確認で特に注意しておきたいポイントを挙げておきましょう。

エンジンルームがきれいかどうか

 ヨットは、前述した通り、船体は長持ちします。しかし、整備されていなかったエンジンは早く劣化します。ここが1つのポイントです。

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 整備されていないエンジンは「サビ」「オイル漏れ」、そして、冷却系やプロペラシャフトの船体貫通孔から侵入した海水「ビルジのたまり」などが目立ちます。さらにはパイプや、エンジンの右下あたりにある海水ポンプのカバーから「潮が吹いている」のも見られます。要は「汚い」のですね。

 そういうエンジンが載っているヨットは、購入後にエンジントラブルで修理費が余計にかかる可能性が高くなります。はじめてならば避けるのが肝要です。


手が届きにくいエンジンとスクリューシャフトを接続する部分まできれいだったらきっと大丈夫

25~26フィートの中古ヨットに大抵載っているエンジン「ヤンマー 1GM」は一番下手前の潤滑油パイプがサビやすいので、状態を必ず確認しておきたい

船内やロッカーがきれいかどうか

 船内の様子もエンジンルームと同様です。ていねいに乗り、手入れされてきた船は大抵の場合、前の持ち主が売りに出すときにきれいに整理するものです。室内のすぐ目に付く場所だけでなく、ロッカーなども要チェックです。こちらも中古車購入時におけるトランク内チェックのようなイメージでしょうかね。

 ちなみに船内やロッカーに不用品(壊れて使えないようなモロモロ)があった場合、その処分費用も掛かることがあります。

船にはどんな設備があるといいのか

 ヨットには省力化のための便利な設備がたくさんあります。船用語でこれを「艤装」といいます。法律で搭載を義務付けられている設備もあります。これらの設備が正しく用意されているかどうかをまず確認しましょう。

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 ただし、前の持ち主が乗り換えた新しい船で使うために全部移してしまった場合も多いので、必ずあるものではありません。「あったらお得」くらいに考えるのがいいでしょう。ちなみに、持ち主が高齢などを理由に趣味をやめて手放した、設備がそのまま残っているお得な「居抜き」ヨットも最近は多いです。

 具体的には以下の設備があると便利です。

  • オートパイロット:舵を自動操作してくれる装備
  • ジブファーラー:前方に揚げる帆「ヘッドセール」を巻き取ったり伸ばしたりするだけで使えるようにするツール

 この2つは一人船長・船員役の筆者経験から、あるととても便利です。

 この他に必須なものとしては、中古艇業者にこう問い合わせるとよいでしょう。

  • 「船舶検査(船検)」で必要な安全備品はそろっていますか?
  • 「船舶検査」は切れていませんか?

 ここで、安全備品は「あります」「これとこれはありません」、船検は「切れていない/いつまで残っている」「間もなく切れる」「切れているから検査が必要」などと、ある/ない、ないならばどうする/いくら掛かるを明確に説明してくれる業者さんならば信頼できます。

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救命胴衣や黒球、黒三角すいなどなど、法律で定められている安全備品が付いたりするとお得

そもそも船が正常に動くのか

 最後に、可能ならば試乗して次の2つを確認しましょう。

  • エンジンは一発で始動し、調子よく動き続けているか
  • 帆は2枚ともスムーズに揚げ降ろしができるか

 オートパイロットやジブファーラー付きの状態のいいヤマハ・Y-25 マイレディだと、2018年9月現在は100万円前後が相場です。新しいほど、また搭載するツールが多いほど高くなる傾向ですが、それでも150万円あたりが上限でしょうか。

購入する船が決まったらやること、発生する金額

 購入する船が決まったら、「小型船舶検査機構(JCI)」でもろもろの手続きをします。


小型船舶検査機構(JCI)」のWebサイト

 中古艇は、「名義変更」と「住所、氏名、船籍港変更」の手続きが必要です。船舶検査期限が切れている艇ならば、その検査を受ける必要もあります。JCIへの手数料は登録書き換えで2950円、検査も必要ならば2万4300円です。

 基本は購入する業者に手続きを依頼するのがいいと思います。大抵の場合、有料ですが手続きを代行してくれます。これに加えて、購入した場所から自分が契約した港までの輸送費や任意損害保険料なども別途かかります。

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 ちなみに中古艇は上記の手続き費用以外に、自家用車にある自動車取得税や自動車重量税のような法的な費用は掛かりません。

ヨットは「100万円くらい」で買える!

 以上、今回はまず「ヨットを買う」ことの基本を紹介しました。要点をまとめましょう。

  • 「船で旅をする」「船でボーっと過ごす」ならばヨット一択
  • 中古ヨットは20年落ちのモノでも大丈夫
  • 初めてのヨットの狙い目は「ヤマハ・Y-25 マイレディ」「ソレイユルボン」「リベッチオ」
  • 実績のある中古艇業者から買うとよい
  • 「エンジン、船内がきれい」な船を選ぶ
  • エンジンが正常に動いて帆が正常に揚げ下ろしできる
  • 購入時の諸経費(税金など)はあまり掛からない

 いかがでしょう。「100万円くらい」ならばなんとかなりそうではないですか?

 続いて気になるのは「維持費」ですよね。船を購入するには、繋留する港やマリーナが必要です。「マリーナこそ、べらぼうに金が掛かるのではないか」とお思いかもしれません。それは今は昔のことです。

 ということで次回は「マリーナも駐車場費ぐらいで済む」話をいたします。お楽しみにー。

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青い空に青い海。あれに見えるは伊豆大島

長浜和也

 IT記者は仮の姿で本業は船長(自称)。小型帆船を三浦半島の先っちょに係留する“一人旅”セイラー。伊豆諸島を旅するため、学連経験やクルー修行をすっとばして、いきなり1級船舶免許を取得してヨットに乗りはじめて早20年。かつて船で使うデジタルガジェットを紹介する不定期連載も。

 →「海で使うIT」

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