え!? こんな安いの? 船乗りが説く「フライ&クルーズ」で楽しむ新・船旅のススメ(1/3 ページ)
実は「海外ツアー通販価格くらい」で楽しめちゃいます。「船旅は超高い」は誤解なのですよー。【写真85枚】
夏休み目前という人も多そうなきょうこの頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。休暇の予定はもう決められましたか。ほう、旅行ですか。いいですね。どこへ行きます? あら、目的地選びで困っていると。世界各国あらかた行きつくして土産で買うものもないぐらいです、てか。なるほどー。
ならば、ねとらぼ交通課“おふね”担当としては、ここはぜひ「船旅」を試してもらいたいなと思うのであります。最近では「クルーズ」という言葉も知られるようになりました。皆さん、乗りもの旅、好きですよね。クルーズトレイン(関連記事)とかも人気です。でも船旅って「世界一周100日間1000万円とか、太平洋縦断1カ月500万円とか、日本一周2週間200万円とか、そういう旅ですよね、お金も休みもありませんから無理ですねー」などと思いませんでしたか?
「あ、それって誤解です」
確かに、そういうイメージで捉えている人が依然として大多数なんですよねえ、日本では。もちろん「高級」「高額」「長期間」な船旅があるのも事実です。例えば日本郵船の「飛鳥II」が実施した102日間世界一周クルーズでは2人部屋1人当たりの価格が最上級船室で「2625万円」、最下級船室でも「412万5000万円」だったり、商船三井客船の「にっぽん丸」が実施した12日間日本一周では2人部屋1人当たりの価格が最上級船室で「240万円」、最下級船室で「54万9000円」だったりします。
……しかしですね、そういう船旅だけではないのです。もっと短期間で、もう少し安く気軽に行ける船旅も最近では増えてきました。日本から飛行機で海外に出て、外国の港から出港してその港に戻ってくる外国の大型客船の船旅、あ、これを「フライ&クルーズ」というんですけれど、このフライ&クルーズならば1泊当たり1〜2万円という船旅がけっこうあります。しかも、期間も短くて週末の2泊3日から3泊4日、5泊6日と「現実的な休暇」の範囲で船旅ができたりします。
ええっ、そんなことあるわけないでしょうって疑いますか。いやまあ、いつもへらへらと適当なことを言っていますが「おふね」に関しては常時マジ! です。なに、まだ信用できませんよ、と。
「よぉーし! ならば、証拠をお見せしましょおおおかあああぁぁぁぁぁ!!」
「フライ&クルーズ」で外国の船旅を安く楽しむ
というわけで、やってきましたシンガポール。ここシンガポールにも日本からフライ&クルーズで利用しやすい船旅があります。なぜシンガポールを選んだかというと、日本と時差が少なく深夜便があるからです。深夜便でシンガポールには早朝に到着。帰るときも深夜便を使って翌日の朝には日本に着いてそのまま出勤も可能。休暇取得的に好都合なんですね。
そのシンガポールから出港する船旅の料金ですが、先ほど例に挙げた日本客船の日本発着船旅料金と比べたら「それはもうびっくり」するような価格だったりします。例えばプーケットに帰港する3泊4日の船旅では、往復の航空券に加えて2人部屋1人当たりの価格が、最も安い船室で「5万7400円」から。最短の2泊3日ならば「4万5100円」から選べます。
安い船旅だからといって、「雑魚寝部屋」ではない
はい? なんですか。ああ、そんな価格だったら、もしかして船室はフェリーや島を行き来する貨客船のような「雑魚寝」部屋じゃないですか? そんなの嫌ですっ、と。なるほど不安になりますか。
ならば、実際に船を見てもらいましょうか。私たちがこれから「3泊4日のプーケット寄港クルーズ」で上船する大型客船「ゲンティン ドリーム」がこちらっ。
ゲンティン ドリームは、船の容積を表す総トン数が15万695トンで、全長は335メートルあります。日本の船会社が持っている最も大きな客船「飛鳥II」は総トン数5万142トン、全長241メートル。これと比べて容積で約3倍、長さで1.3倍とはるかに大きい船です。分かりやすく軍艦で例えると、飛鳥IIが「護衛艦 いずも型」(関連記事)とほぼ同じで、ゲンティン ドリームは「空母 ニミッツ級」とほぼ同じ。え、全然分からないってか。ま、とにかく大きいということです。
ん、なんですか。まだ不安ですと。どんなに新しくて大きな客船でも「新しくて大きな雑魚寝部屋」じゃいやなんです、ってまだ言いますか。ならば、実際に船室を見てご覧なさい。ほぉーら!
こちらが今回利用したバルコニー付き船室「バルコニーデラックスステートルーム」。ダブルサイズベットにロッカー、デスク、ミニバー、ソファ、そして、シャワールームとトイレ、洗面台を備える。価格はちょっと高めになるが、それでも3泊4日で8万2000円から、2泊3日ならば5万7400円から
それから、旅慣れているあなたはよく分かると思いますが、気持ちよく滞在できるのに大事なのはベッドメーキングや清掃がシャワールームまでよく行き届いていること。
で、客船でそのあたりのサービス品質を提供できる指標としてよく使われているのが「乗組員(これをクルーと呼ぶ船が多い)一人当たりの船客数」(Crew to Passenger Ratioと呼ぶ)の値なんですね。この値が少なければ少ないほどクルーが担当する船客の数が少なくなって、より充実したサービスを受けやすい、ということになります。ちなみに、ゲンティン ドリームはこの値が「1.7」。飛鳥IIの1.85よりも少なかったりします。
【訂正:2018年7月29日17時 初出時、ゲンティン ドリームの総トン数表記に誤記がありました。お詫びして訂正いたします】
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