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「天才とはイっちゃってる人」「プロは思考を言語化しない」 『アオアシ』小林有吾×棋士・広瀬章人が語る、自分の世界を広げる方法(4/6 ページ)

将棋とサッカーと漫画、ジャンルを飛び越えて「世界を広げる方法」を探る。

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育成年代における練習の考え方

――アオアシでは、本番である試合のシーンと同じくらい、日々の「練習」のシーンが象徴的に描かれています。

小林:そうですね。夜練(夜間練習)とか、ずっとやってますからね。実際のユースの選手は、オーバーワークにもなるのであれほどやるということはないと思いますが、夜練自体がどうこうというよりも気持ちの強さを描いているつもりです。どんな手を使ってでも身に付けたい、という気持ちを表現するために。

広瀬:門限破ってるのに、途中からは監督まで手伝ってますもんね(笑)。憧れの福田監督(※)からアドバイスをもらえて、みんなうれしそうですし。

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福田達也

主人公のアシトが所属するユースチームの若き指導者。元は同クラブのプレイヤーで、海外移籍し日本代表でも活躍したレジェンド。人を惹き付けるカリスマ性があり、鋭すぎてたまにちょっと怖い。

――あれは将棋で言うと、羽生さんが奨励会員に「こうやったほうがいいんじゃないか」とか教えてくれるのと同じようなことなのでは?

小林:それはいいなあ!(笑) 自分で描いたものだけど、いいなあと思ってしまった……。将棋の世界で夜練みたいなことはありますか?

広瀬:昔は泊りがけの奨励会旅行っていうのがあったんですよ。そのときは将棋やらなんやら、夜通しでやってましたね。

 他には、昔はプロの将棋の記録係をやっていて終電がなくなると、その場に残るしかないんですけど、始発が出るまで1手10秒の将棋をひたすら指したりもしてましたね。

小林:みんなでやるほうが効率はいいですか?

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広瀬:相手のいる実戦は、プロになる前の年代だと重要ですね。実戦を積み重ねることで大局観、実戦感覚を養えるので。

 昔は先輩棋士が、将棋連盟に暇そうな奨励会員がいたら声を掛けて、10秒将棋を指すこともありました。ぶつかり稽古ですね。世代によって感覚の違いもあるので、先輩棋士としても学べることがあって。

小林:アオアシでも他のメンバーがアシトの練習に付き合いますが、あれってアシトのためにやってるんじゃないですよね。みんなプロになりたいから、得られるものがあると思ってやってるはずなんで。僕も同じ状況だったらそうするかなと思いますね。

 アシトが冨樫に教えるシーンとかがまさにそうで、人に教えるのって難しいんですよね。自分に分かるように、自分に説明するように(他人に)説明する、っていう感じなんで。

――上達するにあたっては、スマホなどのデジタルデバイスの進化による恩恵も大きいみたいですね。

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小林:あるユースクラブでは、練習試合を全て撮影していて、その日のうちにタブレットを使ってプレイ内容を確認できるようにしていました。

 ここ数年サッカーのレベルが飛躍的に上がったと言われているのも、やっぱりYouTubeの存在が大きくて、どこかのチームが新しい戦術を考えると、それが全世界にあっという間に広がって、その対応策が出てきて、またそれが広まって……というのが早いペースで繰り返されているから。

広瀬:将棋も、重要な対局はリアルタイムでネット中継されるようになって、だいぶ環境が変わりましたね。

将棋とサッカー、それぞれの楽しみ方

――広瀬八段が、アオアシで一番印象に残っているシーンを教えてください。

広瀬:そうですね、シーンとしてはやっぱりあの……。

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(本パートはアオアシ本編の重大なネタバレを含むので、次ページ以降でご確認ください)

――それでは最後に、お二人が考える将棋とサッカーそれぞれの楽しみ方を。

広瀬:将棋は、最近はいろんなコンテンツで対局風景を見てもらう機会が増えました。それこそサッカーを見るような感覚で中継を見てほしいです。技術的なものは分からなくても、着ているものやおやつなど、ファンの方には自由に盛り上がってもらえているので。サッカーは、選手たちが連動して動いているのを見ると楽しいので、そこを自分は特に楽しんでいます。

小林:将棋もサッカーも単純で簡単で、分かりやすいと思うんですよね。単純明快だから多くの人に受け入れられている。すごく身近にあるものだと思うんですよ。将棋なんかぜひやってみてほしい。ハマれる人はすぐハマれる、敷居がそんなに高くないものだとおもうので、ぜひやってみてほしいです。


対談を終えた広瀬八段。小林さんが描かれた似顔絵色紙とともに

対談後には二人による対局も行われた。結果は……?

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