コラム

「美容垢」の光と影――“あるある”な炎上と、手厳しいわたしたち(2/2 ページ)

今夜もわたしは、美容垢やYouTuberたちをチェックする。

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どうしても手厳しくなってしまうわたしたち

 美容垢もキラキラアカウントもアイドルオタクも、アカウントを運営するのに何らかの資格が必要なわけではない。あくまで受け手側のわたしたちが「この人のツイート好きだな」とか「この情報有益だな」と思ったらフォローすればいいし、逆に「なんか違うな」「鼻につくな」と思ったらフォローを外すなりブロックするなりすればいい。

 だけど人間は「鼻につくな」という感情を誰かと共有したい生き物なので、なかなか難しい。わたしだって、学生時代にちょっとムカつくクラスの女子について「あの子、なんか嫌だよね」と友人と愚痴りあってしまった経験はある。

 特に美容に関する情報の信ぴょう性は、どうしても発信者の見た目と結びつきがちだ。例えば「このネイルオイルがおすすめです」というツイートとともにささくれ・あかぎれだらけの指先が写っていたらやっぱり説得力がないと感じてしまう。その延長で顔がととのった人がおすすめするコスメはいいものなんじゃないかと思うし、逆にすてきなコスメをたくさん紹介している人が自分の思い描いていた理想の顔じゃなかったとき、肩透かしを食らったような気持ちになってしまうこともある。

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最近気になる美容系YouTuber

 そんなわたしが、最近美容垢と同じくらい熱心に見ているのが、美容系YouTuberだ。動画という特性上、顔出しでメイク術やコスメのレビューをしている人がほとんどなので、顔バレで肩透かしを食らったり炎上したりという悲しい事件は起きづらい。

 とりわけ注目しているのが、「ななこ」さんと「KAJIERI MAKEUP」さん、そして「double soup」さん。最近はこの3人の動画を繰り返し見ている。

 「nanakoななこ」さんは登録者数41万人の現役大学生YouTuber。至近距離でもバレないアイプチ方法の動画が228万回再生されている。プチプラで実践しやすいメイクテクニックはもとより、とにかく本人の性格が明るくてかわいらしく、単純に見ていると元気が出る。人気のYouTuberになるにはキャラクターやタレント性も大事なんだなぁと、ななこさんを見ていると勉強になる。

 「KAJIERI MAKEUP」のかじえりさんは、資格をもっているプロのメイクアップアーティスト。普段は美容学校で講師などをやっているらしい。登録者数は19万人で、個人的にはもっと多くてもいいんじゃないか? と思っている。275万回再生された眉毛と目の距離を近づけ彫りを深く見せる動画は、わたしもメイクするときに参考にしている。

 「double soup」さんは、登録者数33万人のメイク系YouTuber。韓国人なのだけれど、最近は日本語字幕をつけて日本人向けにも動画を配信している。コメント欄で「化粧前の顔が声優の梅原裕一郎さん、化粧後の顔が橋本環奈さんに似てる!」と話題になっていて、化粧していてもしていなくてもめちゃくちゃきれいな方だ。元がよすぎてメイクテクニックはあまり参考にならないけれど、自分があこがれる顔にきれいなコスメがきれいに塗られていく様子は見ているだけで癒される。それに、日本と韓国のメイクトレンドの違いを知ることができるのが面白くて、最近は日本語字幕なしの動画もさかのぼってチェックするようになった。

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 社会で生きていく以上、「他者から自分がどう見られているか」は切っても切り離せない問題だ。「かわいい」「きれい」「好き」の基準は人それぞれだし、正解はないけれど、わたしはわたしが定めた正解に近づけるようにおしゃれを、メイクを続けていきたい。そう思って、今夜もわたしは美容垢やYouTuberたちが教えてくれる2019年春の新作コスメ情報をチェックし続けるのだ。

(ユッケ/劇団雌猫)

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