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大好きだった星空が「美しく見えなくなってしまった」ときの話

気持ちの持ちようで見え方はずいぶん変わるもんだ。

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 みなさんは、大好きだったものが大嫌いになってしまったことはありますか? あるいは美しいと思っていたものが、毒々しく見えるようになってしまったことは。

 私(てんもんたまご)はハンドルネームに「てんもん」と入れているほど天文学が好きです。中学時代にSFを書きたくて勉強した天文学にハマって以来、大学時代までずっと天文学を勉強するために生きていました。

 夢にあふれた中学時代には、とある公募で入選して天文台に泊まったこともありました。そのとき初めて見た天の川の美しさには息をのんだものです。

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 そんな私にも、星空が「美しく見えなくなってしまった」時期があったのです。

星空は「美しくて優しいもの」

 中学時代から私は実家のベランダで星を見るのが好きでした。瞬いている星を見ると、星空が優しく語りかけているような心地がして、とても癒されたものです。少しくらいつらいことがあっても美しい星がいつも私を励ましてくれました。

 受験に失敗して、さらに家庭が荒れて辛かったときに、たまたま見あげた「オリオン座流星群」には涙がこぼれて、天文学が学べる大学へ入る決意を新たにしたことも、昨日のことのように思い出せます。

 私にとっては、星はずぅっと「美しくて優しいもの」だったのです。

星は「怖い」もの?

 しかし大学4年生の卒業研究時代、「星なんて見たくもない」時期が訪れました。

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というのも、大学4年生のときに病気をしてしまい、思うように卒業研究に専念できなかったのです。

 「待ちに待った卒業研究で、研究テーマだって直段判して自分で決めたのに」
 「家族に協力してもらって浪人して、上京してまで天文学を学びにきたのに」
 「なんで身体が言うこと聞かないの? なんでこんなにポンコツになっちゃったの?」

 ついには自己嫌悪になり、「星なんか見たくない」という気持ちにまでなってしまいました。

 そのころはプラネタリウムや本物の星を見ても、明るい星の光が針山のようにトゲトゲしているものに見えて、自分が責められているかのような気持ちになってしまいました。

 それもそのはずで、当時は自動でふたが閉まるウォシュレット便器にすら「うう、便器すら私を急かしてくる……」と思うほど追いつめられていた、というか自分で自分を追いつめてしまっていたのです(いまではそれもすっかり笑い話ですが)。

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気持ちが変わると物事の見え方も変わる

 星や宇宙は、一般的には「美しいもの」だったり、「自分や悩みがちっぽけに感じるもの」だったり、「ロマンチックなもの」だとかいわれますが、私は人生のその時々で、まったく違う夜空を眺めてきたような気がします。

 もちろん星空はその日の湿度などの物理的な状況によっても見え方が違うというのもありますが、それよりもその日によって常に違う気持ちで星を眺めるからです。

 でも気持ちによって見え方が変わるものは、星だけとは限りません。もっと身近なことでも起こる現象です。

 例えば、雑草ひとつとっても、名前を知っていると親しみがわいてかわいらしく見えますし、毒草と知っているとその花の美しささえ恐ろしいと感じてしまいます。

 あるいは、昔は好きだった人の嫌いな言動が目立って見えてきたとき、案外自分が疲れていたり寝不足だったりすることもあります。

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 みなさんにも似たような経験はありませんか? もしもそんな経験をしたら、自分の心の中を一度見直してみてはいかがでしょうか? 案外自分の精神状態や健康状態に振り回されているだけなのかもしれませんよ。

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