「セフィロスの人」から「カラーコーンの人」へ 漫画家・やしろあずきにカラーコーン借りてみた(2/2 ページ)
再現動画のエンドロールにもご注目……!
――カラーコーンが代名詞のやしろ先生ですが、そもそものきっかけは何だったんでしょうか。
やしろ:2016年の誕生日にAmazonの「ほしい物リスト」機能を使って、誰かからPS4とかをもらおうと画策していたんですよ。でも高いものばっかりリストに入れていたらいやらしい人間に見えてしまうじゃないですか。だから間に“クソゴミ”(=カラーコーン)を入れて緩和剤にしようと思ったら、カラーコーンしか届かなかったんですよ。
――えっ、誕生日にカラーコーン“しか”届かなかったんですか。
やしろ:カラーコーンしか届かなかったんです。ムカつきますよねぇ(笑)。いや、最初にいくつかは来るかなって想定はしてたんですけど。……カラーコーンだけじゃなくてPS4も送ってくれる人がいるだろうと。結局僕は地下アイドルにはなれませんでした……。
――カラーコーンですが、最初に何個ぐらい来たんですか。
やしろ:最初は4つぐらいだったんですけど、僕がそれをネタにしたら調子に乗った読者が無限に送りつけてきて。誕生月はトータルで50個ぐらいは届きましたね。
――自宅に50個のカラーコーン……! でもその後ファンにカラーコーンを配布する「配布会」を行われたんですよね。ずいぶん減ったんじゃないですか。
やしろ:配布会をやってすぐに全部はけたんですけど、現地に倍量のカラーコーンを持ってきたやつがいて(笑)。そのまま無限ループみたいな感じになって今に至っています。
――つまりかれこれ3年ぐらいカラーコーンが送りつけられているという。
やしろ:そうです。まぁでも良い持ちネタになっているので(笑)。
――これまでいくつぐらいのカラーコーンが届きましたか。
やしろ:この間出した漫画を描くときに一度数えてみたんですが、100は優に超えていますね。
――100個も届いているんですか。それと今回こちらに伺って初めて知ったのですが、カラーコーンだけじゃなくてカラーコーンにつけるバーとかいろいろな工事グッズも届いているんですね。
やしろ:そうなんですが、中でもこれが一番困るんですよ、車で踏んでも壊れない「ポール型コーン」。カラーコーンは重ねられるから良いんですが、ポール型だと重ねられないので本当にヤバイんですよね。
――これだけ大きなものが日々運ばれてくるわけですから、宅配の人もビックリしているんじゃないですか。
やしろ:いやもう慣れちゃってますね(笑)。2016年の誕生月に一気に50個届いたときには「ちょっとこれ……嫌がらせされてますよ。マジ警察呼んだ方が良いっすよ……」みたいな感じだったのですが、そのうち慣れていって。今のエリアの宅配業者さんともすっかり仲良くなっています。
――すごく立派なお宅にカラーコーンがあるのが新鮮すぎてインタビュー中の今もビックリしているんですが、他のカラーコーンは今どこにあるんですか。
やしろ:このマンションの中に倉庫があって、そこを借りています。最初はめちゃくちゃ積み重ねていたんですが、景観が壊れるし、せっかく倉庫を借りられるなら一緒に借りちゃおうと思って。倉庫代は月に数万円ぐらいですかね。入れるものが無くなったら解約しようと思っています。
――カラーコーン仕事っていうジャンルもあるんですか。
やしろ:この間カラーコーンメーカーさんとのお仕事がありました。他にはゲーム会社でイベントをやるときにレンタルしたりですかね。珍しい案件としては「駐車場にカラーコーンを置きたい」という個人の方とかに差し上げたというものもありました。個人の方とのやりとりっていうのは本当にまれなんですけれども、「面白そうだな」と思ったものには返信したりしますね。
――奥様はこの状況についてどうおっしゃっていますか。
やしろ:最初は「マジか……」みたいな感じでしたけど、今はもう何も言ってないですね。最近は三角コーンのアクセサリーとか作り出しちゃってますしね(笑)。かわいいのでぜひ買ってあげてください。
――カラーコーンのおかげで良かったことは何かありますか。
やしろ:知名度じゃないですかね(笑)。「〇〇の人」と認知されるのはこの業界では結構重要なことなので、「セフィロスの人」から「カラーコーンの人」になったことによって、ネタキャラとして振り切れるようになった感じはします。
――最近はカラーコーンにもさまざまな色が出ているみたいですが、一番愛着があるのはどのカラー何ですか。
やしろ:まぁ「コーンといったら赤」というところはあるので、赤は好きですが、最近は黒が結構好きです。
――じゃあ今度送ってもらうなら黒ですか。
やしろ:黒ですね。黒は結構欲しいです。なんかカッコいいじゃないですか、黒! 黒と黄色は中にライトを入れると、すごいカッコいいんですよ。
そんなこんなで「別にカラーコーンレンタル業なんかしてないんだからね!」と言いつつ、やしろ先生がカラーコーン6つを貸し出してくださいました。高級な玄関を出て、筆者が自宅から持ってきたキャリーカートにカラーコーン6つを載せて歩きだすと「え、そのまま帰るんですか!?」とやしろ先生。「タクシー呼ばないんですか」「ねぇそれで電車乗るの? ヤバイ(笑)」と爆笑するやしろ先生でしたが、真顔で電車に乗りました。
最終章:カラーコーンとわたし
そして来る3月19日。SKM21チームは、土地・建物の所有者である伊勢甚本社と、ゆうきフィルムコミッションの協力を得て、「黒い羊」のMV完全再現取材を敢行しました。
もちろん冒頭のシーンにはやしろ先生からお借りしたカラーコーンを使用。再現の模様は以下の前後編に分かれた記事でご紹介しているので、興味のある方はぜひそちらも合わせてお読みください。
- ロケ地探訪「黒い羊」前編:【動画】欅坂46『黒い羊』ロケ地で踊ってみた! ワンカメラ・ノーカット・ワンテイクでMV完全再現に挑戦
- ロケ地探訪「黒い羊」後編:『黒い羊』MV完全再現にチャレンジして分かった“欅坂46のスゴさ” ロケ地協力でキセキの実現!
そうしてロケを終えた私たち。完成した再現動画のエンドロールに「カラーコーンレンタル やしろあずき」のクレジットを入れて記事掲載のご報告をしたところ、「三角コーンが使われ、役立っていて良かったです。ありがとうございます」とのコメントをいただいたほか、Twitterでも「わかりますか皆様。様々な場所で僕のコーンは役に立っているのです。そう、社会を回している」と紹介され、6万2000件もの“いいね”をたたきだしていました。
そして多分それに気を良くしたやしろ先生から「もしご迷惑でなければ(カラーコーンを)差し上げます。ご迷惑でなければ…!」とカラーコーン進呈のお誘いがあり、せっかくのご厚意なのでありがたくちょうだいすることとしました。
というわけで今この記事を書いている私の部屋にはカラーコーンが6つ鎮座しています。筆者はエレベーターのないボロい雑居ビルに住んでいるため、ハァハァ言いながら連れて帰ってきたカラーコーン。今では謎の愛着があり、ときに抱きまくらに。ときにこたつの友にと大活躍しています。
これからも末永くカラーコーンと暮らしていこうと思います。
(Kikka)
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