ゲイと腐女子の恋の結末、「QUEEN」楽曲に込められた意味とは? 攻めたNHK「腐女子、うっかりゲイに告る。」最終回(1/2 ページ)
ゲイの悩みを真っ正面から取り上げた佳作だった。
学校でゲイバレし、自殺未遂騒動を起こし……かなりメチャクチャにな状況になった上に、彼女が体育館の壇上で、よかれと思っていろいろぶっちゃけるという、地獄のような展開となった先週(レビュー)。
一応、あれでいろいろな問題は解決したようで(マジか!?)、エピローグ感の強い「腐女子、うっかりゲイに告る。」(NHK総合・土曜23時30分~)最終回。
ただの中二病かよ!
亡くなったチャット仲間・ファーレンハイト(声・小野賢章)から頼まれていた「僕が彼からもらった『QUEEN II』を彼の墓に供えてくれ」という約束を果たすため、会ったことのないファーレンハイトの実家へと向かう安藤純(金子大地)。なぜか三浦紗枝(藤野涼子)と一緒に。
ファーレンハイトの母親は、同性愛者であるはずの純が彼女を一緒にやって来たのを見ていぶかしがる。
「彼女と付き合うことで自分を変えようとしました。結局、ダメだったんですけど」
「そんなに大切だって思えたんなら、『異性愛者になった』って言ってもいいんじゃないですか?」
「あり得ないです。僕が好きな男性を思う気持ちと、彼女を思う気持ちはまったく違います」
「……治らなかったんですねぇ」
一連の騒動によって、それなりに理解を示そうとしてくれた純の周囲とはまったく違う反応。恋人が亡くなったこともあるだろうが、それ以上に家族の無理解がファーレンハイトを自殺に追い込んでしまったのではないかとすら感じさせる。
はじめて対面したファーレンハイトの遺影は、なんと思いっきり中学生。これまでチャットで送られてきた数々のアドバイスは、ファーレンハイトが年上だと思っていたからこそ、小野賢章のイケボで再生されていたが、中学生と知ったら話が違ってくる。
「ボクたちのような人間は、どうして生まれてくると思う?」
弱々しい子どもの声で再生される言葉は、純を励ますメッセージではなく、中学生からのSOSだったのではないだろうか。誰よりも通じ合えていると思っていたファーレンハイトの本当の姿すら見抜けていなかったのだ。インターネットって難しい。
「ただの中二病かよ!」「バッカヤロー!」
純の叫びには「だまされていた」怒りとともに、「中学生だと知っていたら逆に助けてあげられたかもしれない」という後悔の念も含まれていた。
魂の深いところでつながっているふたり
ファーレンハイトの彼氏の墓にCDを供えた帰り、ふたりは海辺に座って純の一番好きなQUEEN楽曲「Love Of My Life」を聴く。
フレディ・マーキュリーが、かつて婚約までしていた女性の恋人メアリー・オースティンと別れた時に作ったといわれている曲だ。
「こんなキレイな曲ができるくらい好きだったんだね、その人のこと」
「結婚して子どもをもうけてっていう男女の関係にはなれなかったけど、魂の深いところでつながっているふたりだったんだ」
純も紗枝も、フレディ&メアリーを自分たちの関係と重ね合わせながら聴いていたことだろう。
「安藤くん、私たち別れよう!」「よし、これで振ったの私だからね!」
泣きそうな表情で強がりを言う藤野涼子ちゃんの演技がタマラナイ。どこまでいい子なんだ……(体育館でぶっちゃけた件はどうかと思うけど)。
フレディとメアリーは別れた後も固い絆で結ばれており、後にメアリーが別の男性と結婚して子どもを生んだ際には、フレディがその子の名付け親となっている。ふたりも将来、そんな関係になっていたらいいな。
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