レビュー

「緊急取調室」8話 小石川(小日向文世)「居場所って……」 自分の居場所が揺らぐリストラ候補者たちと重なった“キントリの運命”(1/2 ページ)

サラリーマンたちが「居場所」を求めてもがいた8話。キントリの状況と重なるエピソードでした

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 6月6日に放送された「緊急取調室」(テレビ朝日系)の第8話は、「居場所」をキーワードに被疑者とキントリが通じ合う小石川回だった。

事件を通して「居場所」としてのキントリの意味が問われ、じーんとした イラスト/納口龍司

第8話あらすじ、キントリが被疑者に謝罪する

 平日の昼休みに、ネット広告会社の社長・宇佐美友香(霧島れいか)が社長室で殺された。しかも、凶器と思われるPCは現場から消えていた。「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」は取り調べ専任チームであるにもかかわらず、なぜか初動捜査への応援を要請され、事件現場へと急行。そして、事件前日に営業部の橋下拓海(入江甚儀)が友香に叱責されたという情報をつかんだ。だが、橋下は事件当日の昼休みはアーカイブ室長の木崎勝則(橋本じゅん)と2人きりだったと証言する。

 社長室から消えたPCは、第一発見者であり人事部の梅田信吾(三宅弘城)が事件直後に持ち出し、駅のロッカーに隠していたと判明した。さらに、アーカイブ室のゴミ箱には3人分の弁当の空き箱が捨ててあったことから、キントリは木崎、梅田、橋下の3人が共謀したと推測。そこで、真壁有希子(天海祐希)はまず梅田を取り調べることにした。しかし、有希子の威圧的な取り調べを受けた梅田は「こういうのは圧迫面接と言う」と反発。梅田はこのことをSNSに書き込んだ。これをきっかけに、キントリは3人のつながりがSNSにあるとにらむ。

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 会社のCMに関するブログを書き、それは情報漏えいにあたると友香から指摘されて懲戒解雇を迫られたのでは? と、キントリは木崎を問い詰めた。さらに、木崎に「梅田と橋下が木崎の退職金を狙っている」と伝えると、木崎は友香の殺害を自供した。

 しかし、梅田と橋下を取り調べると退職金目当てではないと否定する。社内に居場所を作ってくれた木崎が退職金を受け取れるよう隠蔽工作を行ったのが真相だと2人は告白した。後日、有希子と小石川春夫(小日向文世)は誤った情報を伝えたことを木崎に謝罪した。

8話の見どころ。「居場所」と向き合うおじさんたちの思いがぎゅうぎゅう詰め。 イラスト/納口龍司

居場所を持てなかった被疑者、居場所を失いそうな小石川と菱本

 今回のテーマは「居場所」。自分の居場所を持てない男たち3人には、年齢を超えた友情があった。

 それにしても、友香の木崎への引導の渡し方がひどい。

 「恥ずかしくないんですか? 色あせたポスター壁に貼って、会社にも過去の栄光にもしがみついて。時代についていけない使えない人間は、ウチの会社にはもういりません」

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 木崎の功績で獲得した盾をゴミ箱に投げ捨て、友香はクビを言い渡した。人生は、誰かから必要とされることが重要だ。

 初動捜査から帰ってきた小石川と菱本進(でんでん)は、久々の疲労にこぼした。

 小石川「やっぱり、外よりこの部屋が一番だよ」

 菱本「ここは俺たちの居場所だからな(笑)」

 取り調べ中、小石川が木崎に語りかけた心情は本音である。

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 「私は駄目だ。ここから追い出されそうです。警視庁内の若手エースを後釜に据えるらしくて。時代に合った捜査と捜査員、それを求められてね。そんなとき、ふと感じるんですよねえ。時代を作ってきた自分が、時代から取り残されたようで。情けないような、むなしいような……」

 今回の3人と、キントリの小石川と菱本の現状はリンクしている。

 この事件は、解決までの道のりがこじれた。居場所を作ってくれた“友達”に梅田と橋下が恩返ししようと真実を隠蔽したからである。居場所があるから、今までひどい仕打ちにも耐えることができた。同じ弁当、同じ飲み物でランチをしていた3人。どれだけ仲がいいのか。

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