レビュー

深田恭子「ルパンの娘」早くも5話でバレた華の正体 「バレたら一巻の終わり」から「敵同士が結ばれる可能性」に物語は変奏するのか(2/2 ページ)

嘘をつきたくない華と正体を知りたくない和馬の分岐点になった回。

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「嘘をつきたくない」と華は和馬に無抵抗だった

 華が桜庭家に携帯電話を忘れてしまう。それを届けに三雲家の前まで来た和馬。しかし、家は真っ暗だ。インターホンを押しても反応はない。和馬は悦子からの電話を受け、華に代わってもらった。

 和馬「華、うちに携帯忘れたろ? 今、どこにいるの?」

 「ちょうど今、家に着いたところ」

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 和馬「家? 今、家にいるの?」

 和馬に疑いの気持ちが芽生える。信じたくない気持ちと悲しみが混ざり、一瞬で涙目になった。声は震え、涙声になっている。

 調査をするほど、華の素性の怪しさが増していく。疑いは確信に変わっていった。美羽に“Lの一族”の情報を話すよう迫られたとき、和馬はこう答えている。

 「言っておくが、お前ごときが敵う相手じゃない」

 無意識にLの一族の肩を持つ和馬。Lの一族=華という確信が彼の言動に表れている。美羽に捕らわれる男たちがてんとう虫によって救われたと知り、和馬は涙目になって取り乱した。華の正体を知ってしまう恐怖が、またしても行動に表れている。

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 和馬が拘束される部屋には無数のキャンドルが立っている。レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ロミオ+ジュリエット」をオマージュしていることは明らか。和馬を縛る紐をほどき立ち去ろうとする華の手を、和馬は握って離さない。

 「試すような真似をしてごめん。もし、君がLの一族なら来ると思ったんだ。でも、本当は……来ないでほしかった。もし来たら……俺と君はもう……」

 「キャッツ・アイ」のようにバレそうでバレないまま最後まで引っ張る展開も予想していたが、安易な読みを裏切り、5話にして華の正体は遂に和馬にバレた。「もう嘘はつきたくない」と口にした華は、マスクを取ろうとする和馬に無抵抗だった。

 「ルパンの娘」が全10話だとすると、5話は折り返し地点だ。次回から話は大きく転換するはず。前半は「和馬に泥棒だとバレないよう振る舞う華」が描かれ、6話からは「泥棒の華と警察官の和馬の恋は成就するか?」のフェーズへと移っていく。

 今回、冒頭で描かれたのは三雲家と桜庭家が合同で開催した結婚記念パーティーだった。尊と悦子も、典和(信太昌之)と美佐子(マルシア)も、同じ職場で手と手が触れ合い、問題なく結ばれた。しかし、華と和馬には大きな障害がある。次回予告によると、華の恋敵・エミリは「見ないでください」の口癖を返上し、「私のことも見てください」と和馬に抱きついている。また、原作小説の和馬は華が泥棒と知った途端、手のひらを返す対応をしていたのも気になる。

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 円城寺輝(大貫勇輔)が防犯レーダーをダンスで避けて突破する「オーシャンズ12」のオマージュ、田中みな実のキャラクターとかぶる恋をこじらせた女泥棒の悲哀、小沢真珠による財布ステーキ(「牡丹と薔薇」)のセルフパロディ、深田恭子の「誰がドロンジョだっていい」というセリフなど、小ネタも盛りだくさんで楽しかった今回。笑いと涙のバランスが第5話は揃っていた。コメディのベクトルとシリアスのベクトル、どちらもハイクオリティだったと思う。今までで一番面白い回だった。

寺西ジャジューカ

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