インタビュー

学校の先生が“規制逃れ”に手を尽くす「闇部活」の実態 現役中学教員に聞く「ブラック職場としての学校」(2/3 ページ)

部活の活動時間規制と“どうしても部活がしたい教員たち”のイタチごっこ。

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「部活に熱心な先生は皆、『闇部活』をやってる」

 ガイドラインは部活に関するもの。逆手に取ると、活動内容は部活と変わらなくても「これは部活ではない」という体裁にすれば、ガイドラインの適用外になるはずだよね。

 こういう手法は「闇部活」と呼ばれていて、少なくとも俺の都道府県で流行ってるのは「社会教育団体」を利用したやり方。

―― 社会教育団体って?

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 一般市民の健康増進、生涯学習などを目的とした団体なんだけど、この話で重要なのは「学校とは関係のない団体」ということ。

 立ち上げた社会教育団体に部員たちを所属させ、顧問がボランティアの指導者として入ると“部活をコピーした団体”が作れるわけだけど、学校とは関係がないことになってるから、教育委員会は活動に関与できない。

 つまり、ガイドラインを気にしなくていいことになる。例えば、「土日のどちらかは休み」という規制に関しては「土曜日は部としての活動、日曜日は社会教育団体としての活動」ということにすればクリアできる。

―― でも、それかなり大変そうじゃない? 団体の立ち上げとか、学校と無関係ならどうやって練習場所を探すのかとか……

 そうでもないみたいだよ。社会教育団体は一般市民のためのものだから、どこの市町村でも簡単に作れる。また、学校も一般市民にグラウンドや体育館を貸し出してるところが多いんだよね。

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 極端な例だと「強豪なのに、16時半くらいには活動が終わってしまう運動部」を知ってる。6時間目まで授業があるとほとんど何もできないくらい短い練習時間で、最初はどうして強いのか分からなかっんだけど、部活終了後、近くの小学校の体育館で毎日夜中まで練習しているらしい。

 つまり、メインの練習はガイドラインでは許可されていない長時間練習で、“社会教育団体として”行っていたというわけ。そりゃあ強いわけだよ。“部としての練習時間”がちょっとだけあるのは、教員の退勤時間(16時45分)を待つためじゃないかな。

 俺の知る限り、部活に熱心な先生は皆こんな風に闇部活をやってるよ。教員のあいだでは「社会教育団体を持たない部活はやる気がない」という認識が広まっているくらい。

―― 教員がそんな“脱法行為”みたいなことをしていても、保護者は何も言わないの?

 学校には「生徒のため」という魔法の言葉があってね。「ガイドラインを無視して平日は夜中まで、土日も休みなしで部活をします。なぜなら、県大会で優勝させるのが生徒のためだから」みたいに言うと、口出しされなくなるんだよ。

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(続く)

※本企画は、1人の現役教員の声をそのまま記事化したものです。実際の労働環境は自治体、学校などによって異なる可能性があります。

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