コラム

「リボンの騎士」から「CCさくら」まで250点もの原画で乙女な時間 「創刊65周年記念『なかよし』展」レポート

少女漫画ファンが内覧会に足を運んできました。

advertisement

 弥生美術館(東京都文京区)で、少女漫画雑載「なかよし」の65周年を記念した原画展「創刊65周年記念『なかよし』展 ~乙女には恋と夢(ファンタジー)が必要だ☆~」がスタート! 少女漫画ファンである筆者がその魅力を、前日に行われた内覧会のレポートとともにお届けします!

モダンな雰囲気の弥生美術館

 本展について別記事の取材で、同編集部の方から「けっこうレア」な企画と伺っていました。「カードキャプターさくら」単独の企画は多かったものの、「なかよし」としての原画展は珍しいのだとか。

 内覧会の会見でも「65年という歴史を持つ『なかよし』ですが、250点もの原画を飾る機会は今までになく、とても歴史的なことだと感じております」(同誌編集長)、「約1年前から総力を挙げてこの企画に取り組んでまいりました」(弥生美術館・学芸員)と熱意の伝わるコメントが。

advertisement

少女漫画雑誌の歴史を感じる1階展示

 展示は弥生美術館1、2階部分で行われており、日本の現存する漫画雑誌の中でもっとも長い歴史を持っているという「なかよし」の誕生から現在までの流れをたどれる構成。実は「なかよし」創刊当時、少女漫画の描き手は男性がほとんどで、女性漫画家が増えたのは60年代になってから、内容面ではギャグ漫画や不幸な物語が多かったのが、70年代以降ラブコメ要素が強まるなどの変遷があったのだとか。

 1階の展示スペースに足を踏み入れると、まずは創刊号(1954/昭和29年12月刊行)が目に飛び込んできます。原画では「リボンの騎士」(手塚治虫先生)、「妖鬼妃伝」(美内すずえ先生)などの展示が行われており、大興奮。「ガラスの仮面」以外の美内作品、生で見るの初めてだ……!

 しかし、その中でも異色なのが「わんころべえ」(あべゆりこ先生)。同作は1976年に連載開始した“古い作品”であり、1階に展示されているのですが、実は現在でも連載が続いている“新しい作品”でもあるのです。1970年代と2000年代の原稿が比較できるようになっていました。

1階展示スペース
創刊した1950年代から「なかよし」の歴史がたどれる構成
美内すずえ先生作品の展示。この数の原画が間近で見られます!

「美少女戦士セーラームーン」「カードキャプターさくら」などが楽しめる2階展示

 2階では、時代が進んで80年代から現在に至るまでの展示。特に「美少女戦士セーラームーン」「魔法騎士レイアース」「カードキャプターさくら」などのファンタジー作品が人気を博し、最大部数を記録した90年代の展示が多かった印象。世代的に筆者は、子どもの頃に大好きだった「怪盗セイント・テール」の複製原画や、「あずきちゃん」「デリシャス!」「だぁ!だぁ!だぁ!」などの原画を目の前にして、テンション上がりまくります。

 全国規模で開催された「カードキャプターさくら」展などには足を運んでいましたが、それ以外の多くの作品はここでしか見られないものばかり。本当に感無量です……! アナログ原稿の工夫を間近で見られるのも魅力で、カラー着彩の上にホワイトを重ねて立体感をを演出していることなどもよく分かり、繊細さや迫力が感じられました。

advertisement
2階展示スペース。部屋奥から撮影しており、正面の出入り口に見えるのは……
来場した作家さんたちによるサイン。撮影可能なスペースになっています

付録も見ごたえアリ!

 同展では付録の歴史も紹介。1960年頃までは、プラスチック素材などを使用したおしゃれ小物が人気で、80年代になると紙の組み立て付録がだんだん登場するようになり……と変わっていったのだとか。

 そういった少女漫画雑誌の時代を感じる興味深さがある一方、数々の付録を目にしていると、「『レイアース』のトランプで友達とめちゃくちゃ遊んだなぁ」「初めてチョコを作ったとき、『カードキャプターさくら』のケロちゃんの型を使ったっけ」と幼い頃の記憶もよみがえってきます。

古い付録は1階、新しいものは2階と時代に分けて展示されています

 モダンで落ち着いた雰囲気の弥生美術館で、(一応仕事で来たんだけど)心ゆくまで乙女な時間を過ごした筆者は、取材を終えると物販コーナーで袋に入ったコースターを購入。絵柄は全18種で、袋にはそのうちの3種類がランダムに入っています。

 美術館を出るとすぐそこには弥生美術館に併設されたカフェの入り口が。こちらでは「わんころべえ」のラテアートが楽しめるそうです。筆者はそこでゆっくりとした時間を過ごしながら、「どんなコースターが入ってるかなあ……」と袋の中身に思いをはせていました(これから原稿書かないとなんだけど)。

併設のカフェ「港や」
ちなみに、筆者がゲットしたコースターの絵柄は「魔法騎士レイアース」「きんぎょ注意報!」「東京ミュウミュウ」でした

創刊65周年記念『なかよし』展 ~乙女には恋と夢(ファンタジー)が必要だ☆~

展示情報

  • 場所:弥生美術館(東京都文京区)
  • 期間:10月4日~12月25日
  • 場所:料金:一般900円/大・高生800円/中・小生400円

展示予定作品

  • 手塚治虫「リボンの騎士」
  • 大和和紀「青空にとびだせ!」、「マイ・ピンキー」(原作/神保史郎)
  • 高階良子「地獄でメスがひかる」、「血まみれ観音」(原作/横溝正史)、「ドクターGの島」(原作/江戸川乱歩)
  • あべゆりこ「わんころべえ」
  • たかなししずえ(※)「おはよう!スパンク」(原作/雪室俊一)
  • 美内すずえ「妖鬼妃伝」
  • あさぎり夕「あこがれ冒険者(アドベンチャー)」(前期)、「なな色マジック」、「ミンミン!」ほか
  • ひうらさとる「月下美人」ほか
  • 猫部ねこ「きんぎょ注意報!」
  • 秋元奈美「ミラクル☆ガールズ」
  • 武内直子「美少女戦士セーラームーン」
  • 海野つなみ「恋の熱帯低気圧」(前期展示)「ロマンスのたまご」(中期展示)、「西園寺さんと山田くん」(後期展示)他
  • 木村千歌「あずきちゃん」(原作/秋元康)
  • 高瀬綾「くるみと七人のこびとたち」
  • CLAMP「魔法騎士レイアース2」、「カードキャプターさくら クリアカード編」(※)
  • あゆみゆい「ようこそ!微笑寮へ」(原作/遠藤察男)、「デリシャス!」(原作/小林深雪)
  • 立川恵「怪盗セイント・テール」(複製原画)
  • 早稲田ちえ「―女神―」(前期展示)、「NERVOUS VENUS NumberZERO」(中期展示)、「純情事情―春と修羅―」(後期展示)
  • 川村美香「だぁ!だぁ!だぁ!」
  • 征海未亜「東京ミュウミュウ」(シナリオ/吉田玲子、複製原画)
  • 花森ぴんく「ぴちぴちピッチ」(シナリオ/横手美智子)
  • 安野モヨコ「シュガシュガルーン」
  • 安藤なつみ「キッチンのお姫さま」(原作/小林深雪)
  • PEACH-PIT「しゅごキャラ!」

※「たかなし」「しずえ」のあいだにハートマークが入る

 前・中・後期の3期展示。会場構成、出展作家は変わりませんが、原画のみ入れ替わるものも。詳細は「なかよし」、弥生美術館のWebサイトからご確認ください。

直江あき

advertisement

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 「これは名品」 ユニクロの新作“6990円アウター”が売り切れ続出の大反響 「想像以上」「他の商品とは違う」
  2. 「スト6」の公式世界大会で福島県のチームに所属する「翔」が優勝 賞金100万ドル獲得
  3. フォークに毛糸を巻き付けていくと…… とってもかわいいアイテムの作り方が330万再生「シンプルで美しい」【海外】
  4. 「ウソやろ」 松屋の“530円丼”、衝撃的なビジュアルにネット騒然 「コレで良いんだよ丼」「開き直り感がすごい」
  5. 「もっと早く購入すれば良かった」 無印良品の“4990円パジャマ”に絶賛相次ぐ 「1年中着れる!」「100点満点」
  6. 妻が夫に作った弁当、のり巻きだけかと思いきや…… 「ぎゃー!」とんでもない“おかず”に絶叫「こ、こっち見てる」
  7. 「マジで天才」 無印良品から新発売の“350円文房具”に絶賛の声相次ぐ 「便利すぎる!」「これはいい」
  8. 壊れて捨てるしかないバケツをリメイクしたら…… 想像もつかない大変身が830万再生「想像力がすごい」【海外】
  9. グッズを高額転売された人気VTuber→「強すぎる」まさかの対処法が「天才か?」「めっちゃいい案」と560万表示
  10. ダイソーのセルフレジが「身に覚えのない商品」を認識→“まさかの正体”に大仰天 「そんなことあるんですね」