レビュー

高畑充希「同期のサクラ」10年前の職場意識に言葉を失う2話 「応援団にいたから体力だけは自信ある」「大学の先輩に見捨てられたら終わり」って(1/2 ページ)

椎名桔平の立ち位置が気になる。

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 10月16日に「同期のサクラ」(日本テレビ系)の第2話が放送された。2010年、働き方改革以前のパワハラの実態がクローズアップされた。

融通の効かないサクラに終始ハラハラ イラスト/まつもとりえこ

俺の目の黒いうちはお前を絶対土木に入れない

 眠り続ける北野サクラ(高畑充希)の病室で清水菊夫(竜星涼)は、過去のある出来事に思いを馳せた。

 2010年5月、サクラは花村建設人事部で社会人2年目を迎えていた。「経費削減のために無駄な残業時間を減らせ」という上からのお達しを、火野すみれ(相武紗季)とサクラは各部署へお願いしに回る。その流れで、サクラは営業部に配属された菊夫と再会した。このとき、菊夫は営業部長の桑原(丸山智己)から図書館の建設現場の工期を1カ月早めるよう無茶振りを受けていた。作業員からは「無理だ」と言われ、板挟みに遭う菊夫。

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 1週間後、営業部の残業時間は減るどころか増えていると人事部で問題に上がる。残業時間を減らすようサクラが営業部へ伝えに行くと、菊夫は桑原に「工期を早めるまで戻ってくるな」と怒鳴られていた。それを見たサクラは「菊夫君は今日は定時に帰らせていただけますか?」と割って入る。怒った桑原は人事部に乗り込み、人事部長の黒川森雄(椎名桔平)に激昂。黒川は「二度と営業部に行くな」とサクラに注意した。

 後日、菊夫の残業を止めようと会社のロビーで待ち伏せするサクラ。そして、菊夫が桑原と共に現れる。サクラは「菊夫君が体調を崩したら管理責任を問われる覚悟はおありでしょうか」「菊夫君が体を壊して会社を辞められたら困る」と桑原に迫るが、菊夫は桑原に付いて外出してしまった。

 サクラは落ち込み、祖父の柊作(津嘉山正種)に「どういう人を大人と言うのかわからない」とFAXを送る。すると、柊作から「大人になるとは自分の弱さを認めること」とFAXが返ってきた。

 そこに菊夫が倒れたと連絡が入り、サクラは病院へ向かう。病室で点滴を打つ菊夫は「自分が何のために働いてるのかわからなくなった」と心境を吐露。サクラは祖父の言葉を伝えた。

 翌朝、菊夫は桑原に「部長の言う通りにはできません。やらされるんじゃなく、自分がやるべきと思った仕事をやりたい」と思いを伝えた。そこに、菊夫が担当する図書館の水道管が破裂したとの連絡が。現場に直行した菊夫の協力もあって危機は脱し、作業員は「菊夫のために工期を早める」と言ってくれたが、菊夫は「今まで通り、いい仕事をすることを一番に考えてほしい」と伝えた。

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 その後、桑原はサクラが希望する土木部の担当役員に異動。「俺の目の黒いうちはお前を絶対土木に入れない」と宣言する桑原に、サクラは「部長のオーデコロンの匂いは強過ぎる」と注意した。

悩む菊夫が、サクラに力いっぱいお尻を叩いて立ち直ろうとするシーンもあった イラスト/まつもとりえこ

働き方改革以前のパワハラ

 第2話の主役は菊夫だ。時代は2010年。黒川はろくに仕事もせず、勤務中に書籍『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』を読みふけっている。同年はまだ働き方改革が行われる前の時代で「パワハラ」というワードがさほど浸透していない頃だった。

 菊夫の残業時間は100時間に達しようとしていたし、仕事が終わった後も接待に駆り出される毎日。「ゴルフに行くぞ」「車を買え」「免許を取れ」という桑原からの圧。休日も会社の上下関係から逃れられず、稼いだ給料の使い道を強制されるという地獄の日々は続く。「お前のためを思っての愛情だ」という言葉は新人にとって重しになり、また、この手の言葉を吐く者が己を第一に考えているのは世のパターンである。

 救いがないのは、きっと桑原も新人の頃はこんな扱いを受け、乗り越えた記憶が成功体験になってしまっていること。「俺の時代はもっと辛かった。でも、今の若いモンは……」と桑原が切って捨てている姿が目に浮かぶようだ。

 実は、黒川の上司ぶりもよくわからない。苦手な桑原の対応をサクラに任せ、「北野も連れていけ。あの顔で頼まれたら何か断れない迫力がある」と自らの手を汚そうとしない狡猾さ。実は、勤務時間中にずっと読書しているこの人が一番仕事をしていない。何か狙いがあるのだろうか?

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サクラを大切に思う同期の相関図 イラスト/まつもとりえこ
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