高畑充希「同期のサクラ」10年前の職場意識に言葉を失う2話 「応援団にいたから体力だけは自信ある」「大学の先輩に見捨てられたら終わり」って(2/2 ページ)
椎名桔平の立ち位置が気になる。
サクラの人間味が増している
会社ロビーで菊夫の残業を止めようとするサクラを桑原は一喝。そして、菊夫を連れて行こうとした。サクラは桑原に向けて言葉を発する。
「私には夢があります。故郷の島に橋を架けることです。私には夢があります。一生信じ合える仲間をつくることです。私には夢があります。その仲間とたくさんの人を幸せにする建物を造ることです。それだけは諦められないので、菊夫君が体を壊したりして会社を辞められたら困るんです」
桑原に言っているようで、明らかに桑原に言っていない。1年前、サクラは夢を語り同期4人に種をまいた。この日、同じ夢を語ることでサクラは菊夫を揺さぶり、彼の帰還を促したのだ。
「サクラちゃん。俺なら大丈夫っす。応援団にいたから体力だけは自信あるし。それに……俺はサクラちゃんと違って、大学の先輩に見捨てられたら終わりなんだ。この会社に入れたのも桑原さんのおかげだから」(菊夫)
菊夫の後ろ姿を見るサクラは無表情。でも、体じゅうから無念さが滲み出ている。サクラは明らかに第1話より人間味を増している。
「じいちゃんのコロッケが食べたい」と祖父へ送るFAXは、サクラの心が弱っている合図だ。
菊夫が倒れたと連絡を受け、サクラは病院に駆けつけた。「サクラちゃん、俺どうしたらいいですか?」と弱音を吐く菊夫だが、サクラは「いいことを言えそうもないので」と帰っていった。でも、望みではなかった人事部で「みんなが少しでもいい仕事ができるように」と、サクラは能動的に仕事に取り組んでいる。「頑張っている人を応援したいだけ」だった菊夫は、サクラの姿を見て能動的じゃない自分に気付いた。だから、桑原に思いを伝える決意をし、「部長の言う通りにはできません」と告げることができたのだ。
上司からの圧、企業のブラック体質
菊夫が直面した問題は生々しい。上司からの圧、企業のブラック体質。これらを取り上げたものの、結局「部長の言う通りにはできません」と自分の意見を伝えただけで今回は終わった。これでは何の解決にもなっていない。会社員として菊夫が成長の跡を見せたとは言い難い。最終的には、桑原が異動して棚ぼた的に問題が解決しただけだったし。
今、サクラの意識が戻る可能性は低い。「私には夢があります」と言い続けた彼女が夢を見れない状態にあるというのは皮肉だ。
寺西ジャジューカ
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