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日本海軍軍艦「鳥海」発見 沈没からちょうど75年、高雄型オリジナルの姿に迫る【画像37枚】(2/2 ページ)

最後まで生まれたままの姿で戦った稀有な軍艦。

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【映像解説】高精細な鳥海の姿に息を呑んだ

 沈船捜索チームが公開した沈んでいる鳥海の映像には、鳥海の艦橋、主砲、船尾、魚雷発射管、カタパルトなどが13分10秒にわたって高精細に記録されています。要所を解説していきます。


ソナーで捉えた海底5143メートルに横たわる鳥海。周辺にはカタパルトと船首部分が分かれて沈んでいた

巨大な「オリジナル」艦橋に肉薄する


艦橋最下層基部を右舷側から見る。開いた状態のハッチ(ロック部分の機構も確認できる)と戦時中に増設した九六式25ミリ単装機銃が確認できる。奥には3番主砲の砲身も見える

上部艦橋甲板の上にある羅針艦橋。内部の羅針儀やその消磁用球体、方位コンパス、伝声管などが詳細に分かる

羅針艦橋を前方から見る。航海中の操船指揮は羅針艦橋で執る

羅針艦橋を右舷側から望む

羅針艦橋の上にある水雷発射指揮所

水雷発射指揮所に設置した発射指揮盤と思われる機材

水雷発射指揮所を右舷側から望む

水雷発射指揮所の上にある測的所。この上にある主砲指揮所と合わせて主砲射撃に関する管制計算を行う。天蓋が腐食して消滅したためか、内部にある回転ハンドルを多数取り付けた構造物と中央部に組み込んだ機材(九二式射撃盤と九二式測的盤改一か)が確認できる

測的所を右舷側から望む

測的所内部

艦橋頂部にある主砲射撃指揮所。カバーがなくなって内部に設置した一四式方位盤がみえる。奥にあるのは4.5メートル測距儀の支柱

一四式方位盤の計器や照準修正用のハンドルが確認できる

艦橋頂部の主砲発射指揮所からその下にある主砲発射指揮所

主砲塔の細部をチェックする


1番主砲塔。鳥海は50口径三年式2号砲10門を連装砲塔5基に搭載していた。連装砲塔は仰角70度に対応したE型砲架で対空戦闘にも対応するとしていた。砲身の根元にある箱状の構造物は照準演習機起動機

2番主砲塔。砲塔外板外側に設けた遮熱板のフレームが確認できる

3番主砲塔。砲塔天蓋中央にある円柱の構造物は砲台長が周囲の状況を確認するために使う砲台長展望塔。2番砲塔後方の出入口ハッチも開いている

2番砲塔後部ハッチからはしごを組み合わせて脱出経路として3番砲塔に降りられるようにしている。総員退艦における作業だろうか

2番主砲塔の砲身は定位置にあるが、1番主砲塔の砲身は最大仰角を取っている。1番主砲塔の測距儀はカバーのみと思われる

後部の4番主砲塔。その右下に5番主砲塔の天蓋も見える

主砲塔に搭載した6メートル測距儀

今回の探査で確認された2番主砲塔と3番主砲塔付近の右舷側舷側で確認された大破孔。戦闘詳報でも右舷中央部に2発の被弾を記録している

右舷前方の連装魚雷発射管。近代化改装の機会がなかった鳥海は最後まで連装魚雷発射管4基のままだった(他は4連装4基)。旋回用のハンドルがみえる

魚雷搬入口。右脇に見える魚雷搬入用クレーンが稼働位置にあるため魚雷を投棄する作業を実施していた可能性がある。鳥海は右舷に被弾したとき、魚雷が誘爆したとする証言もあるが、ここには爆発による損害は確認できない

45口径一〇式12センチ単装高角砲。こちらも最後まで性能の低い単装高角砲4基のままだった(他は八九式連装高角砲4基)

九六式25ミリ三連装機銃。砲身はなくなっている。沈船捜索チームは場所を明らかにしていないが、ブルワークの形状から上部艦橋甲板右舷側に増設した機銃と思われる

艦橋基部に増設した九六式25ミリ単装機銃

九六式25ミリ連装機銃。鳥海の最終状態における機銃の搭載状況は不明で、沈船の調査によって明らかになることが期待される

右舷前方300メートル離れた海底で発見された船首部分。上下が逆になった状態で沈んでいる

船首部分切断面を艦尾方向から見る

左舷前方に沈んでいたカタパルト。こちらも上下が逆になっている。丸く見えるのが甲板に取り付ける回転機構

カタパルト前端に組みこんだ導滑車とワイヤー。カタパルト内部で火薬を爆発させたエネルギーでワイヤーを引き込み、カタパルトに載せた艦載機を射出する

左舷カタパルトの台座。このように回転機構を備えている

船尾部分。甲板は完全に抜け落ちている

スクリューは海底にほぼ埋まっている。右奥にうっすらと舵も見える

 沈船捜索チームは、2020年に向けて再度サマール沖海戦が起きた海域の捜索を実施する予定です。この海域には、鳥海の他にも「筑摩」「鈴谷」「ガンビアベイ」「ジョンストン」「ホエール」「S.B.ロバーツ」が沈んでいます。

長浜和也

 IT記者は仮の姿で本業は船長(自称)。小型帆船を三浦半島の先っちょに係留する“一人旅”セイラー。伊豆諸島を旅するため、学連経験やクルー修行をすっとばして、いきなり1級船舶免許を取得してヨットに乗りはじめて早20年。かつて船で使うデジタルガジェットを紹介する不定期連載も。

 →「海で使うIT」

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