インタビュー

適応障害の先生に「明日、授業できる?」 現役中学教員が語る「管理職の能力が低い学校はどう壊れていくのか」(1/3 ページ)

「20年後、公立中学校がヤバいことになるかもしれない」。

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 ブラックな労働環境、厳し過ぎる部活動、なくならないいじめ………。子どもの成長を支える学校を巡って、ニュースではさまざまな問題が取り上げられています。実際に働いている教員は、どのような思いを抱いているのでしょうか。

 本記事は、公立校の中学教員に「一般教員として感じている“学校の問題点”」を語ってもらう連載企画。今回は「管理職のミスによって起こる学校崩壊」について、Aさん(仮名)にインタビューしました。

事例:管理職の人事ミスで、新人教員が2年足らずで病休

A:まず「20年後、公立中学校がヤバいことになるかもしれない」という話をしたい。

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 前にも話したけど、「教員志望者が減る→採用倍率の低下」という動きがあって、今後、教員の質が維持できるのかという問題がある。

 20年後というのは、今の20代が40代になる頃だよね。今の管理職(教頭、校長)は高倍率を突破した“選ばれた人たち”で比較的能力があると思うんだけど、低倍率で入ってきた若い世代が管理職に就いたときどうなるのか。しかも、教頭の仕事なんてすごく大変だから、やりたがらない若者が増えている。でも、管理職がないと学校は回らない。イヤイヤ管理職に就くケースも増えていくと思うんだよね。

 そういう状況で、校長、教頭の質が維持ができなくなったら……という。

―― 管理職がうまく学校運営できないと、どういうことが起こるの?

A:俺が聞いた事例を紹介しようか。「管理職の人事ミスから、ある学校で英語の授業ができなくなった」という話。

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 名前は伏せるけど、これは英語の新人教員Xさんから聞いた話。その人はある年の4月、ある学校に赴任。3年生の副担任をしながら、ベテランの先生について授業の仕方を学ぶ予定だったそうなんだけど、英語教員4人のうち1人がすぐに病休に入ってしまって、Xさんは急きょ2年生の授業を受け持つことになったらしい。

―― 3年の副担任なのに、授業は2年生?

A:4月の人事でつまづいて、管理職がうまくまとめられなかったんだろうね。結局、管理職は「新人教員を2年生の副担任に変更する」という判断をしたそうだ。年度途中に担当学年を変えるというのは、普通に考えたらありえない対応。

 そのせいで新人教員は夏休み明け「自分は2年生、3年生どちらの学年会議に出ればよいのか」が分からなくなり、管理職に聞いたら「俺も分からない」、3年生の学年主任は「あなたはもう2年生の担当」、2年生の学年主任は「私たちは何も聞いてない」と。職員室で一人ぼっちになってしまったらしい。

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