適応障害の先生に「明日、授業できる?」 現役中学教員が語る「管理職の能力が低い学校はどう壊れていくのか」(2/3 ページ)
「20年後、公立中学校がヤバいことになるかもしれない」。
適応障害の診断書を持っていったら「明日、授業できる?」
A:次の4月、新年度になったら英語の教員はまた4人に増員されたものの、管理職はまたおかしな人事決定をしてしまい、妊娠している教員に一学年持たせたそうだ。
当然、その先生は出産が近づくと産休を取得。新人教員のXさんはその埋め合わせとして、また年度途中で担当学年を移るように指示されたという。産休取得の2週間前と時間がないうえに、引き継ぎも何もされていなかったと聞いてる。Xさんはそこで心の限界が来てしまって、病休を取得したって。
―― 産休と病休。残りの英語の先生、2人だけになっちゃった
A:英語の授業は自習続きになってしまったけど、新しい教員は何カ月も見つからなかったらしい。実はその学校、2年間で何人も病休が出ていたそうだから、警戒されてしまったのかもしれない。
Xさんが適応障害の診断書を持っていったら「明日、授業できる?」と聞かれたって。よほど困ってたんだろうね。
「神戸教員いじめ事件」のような教員間のトラブルは珍しくない?
A:とまあ、管理職の能力が低いとこういうことが起こるわけ。
ニュースになった神戸の教員いじめ問題(※)も、管理職がマズい事例の1つだと思ってる。校長が「やられてるやつの気持ちを考えろ。処遇案件だぞ」としっかり言える人だったら、あんな大事にならなかったんじゃないかな。
※神戸の教員いじめ問題:神戸市立東須磨小学校の教諭4人が、後輩である男性教諭にいじめを行っていた問題。「羽交い締めで目にカレーをこすりつけられる」「車内に飲み物をこぼされる」など多岐にわたるハラスメント行為があったという。なお、一部報道では「いじめ」ではなく、「暴行・暴言問題」「教員間暴力」などといった表現が用いられている。
ただ、あの件に関しては、もう1つ“構造的な問題”が気になっていて……。
―― というのは?
A:あの被害者教員はもともと「初任者」としてあの学校に入ってるんだよね。「試用期間の正社員」みたいなものなんだけど、教員の場合は“試用期間”が1年間続く。その間は校長が「この人、教員に向いてないな」と思えばクビにできる。
だから、他の教員に対して反発しにくい。職場の雰囲気を乱すダメなヤツだと思われたら、マズいから。それで我慢していたら、職員室のカーストが一番下になってしまって……というケースだと思う。
―― ああいうレベルの職員間のいじめって、珍しくないの?
当然、日本中の学校のことを知っているわけではないけど、ああいう問題は全国各地で起こっているんじゃないかなあ。俺だってヒドいことをされた経験があるもん。明日必要なプリントのデータがいつの間にか消されていて、困っていたら他の教員から「お前、愛されてるなあ」と言われたり。
加害教員たちはかなり厳しい処分が下りそうな流れだけど、そしたら他の学校にも影響が出るかもね。例えば、懲戒免職になってその処分が前例になったら、けっこうな数の教員のクビが飛ぶかもしれない。
(続く)
※本企画は、現役教員の声をそのまま記事化したものです。実際の労働環境などは自治体、学校などによって異なる可能性があります。
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