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山形が近くなるだけじゃない……!! JR東「E8系」山形新幹線改良計画のポイントを深掘り解説(1/2 ページ)

東北地方と北海道にもうれしいニュースです。

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 JR東日本は2020年3月3日、時速300キロ運転を行う新型新幹線「E8系」投入を軸にした山形新幹線の改良計画を発表しました。


E8系新幹線(画像:JR東日本、以下同)

 新型新幹線「E8系」を2024年度に投入し、福島駅の改良工事を2026年度に完成させます。今回は鉄道ファン目線でJR東日本の山形新幹線改良計画の見どころ、ポイントを解説します。

E8系新幹線の注目点は「絶妙なバランス」

 新型車両のE8系新幹線は、現在運行するE3系の置き換えと東北新幹線区間での速度向上を実現します。東北新幹線区間での最高速度は「時速300キロ」(E3系は時速275キロ)で、全席電源コンセント設置、大型スーツケース対応の荷物置き場も全車両に用意。また、車いす対応の座席も2020年4月から適用となるガイドラインに沿って2席設置します。

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 ポイントの1つとなる「最高速度の向上」は、所要時間の短縮のみならず、東北新幹線のE5系「はやぶさ」や秋田新幹線のE6系「こまち」から逃げ切る目的もあります。E3系は最高速度が時速275キロ、対してE5系とE6系は時速320キロ。速度差が大きすぎました。

 でも速度差をなくすだけならば、山形新幹線と同じミニ新幹線タイプであるE6系を投入すればよかったかもしれません。しかし輸送力が下がるのが課題です。最高速度のためにノーズの長いデザインのE6系はその分座席定員が少なくなります。E8系は速度と効率、座席数のバランスを取った仕様としたことが伺えます。


E8系とE3系、E6系の車体仕様比較。最高速度、定員、先頭車のノーズ長、E8系はE6系とE3系の間の仕様となる

秋田新幹線のE6系新幹線は、最高速度こそ時速320キロと速いが、座席定員は山形新幹線のE3系より少ない(写真:呼んでる渋沢)

(参考)かつての500系新幹線も速度を求めた車体デザインで時速300キロを達成したが、その分座席数を減らさざるを得ななかった。そのために、速度は若干抑えつつも座席数をしっかり確保した700系新幹線ができた。その関係と新しい「E8系」とE6系は似ている(画像:呼んでる渋沢)

ボトルネックだった福島駅を大改良、アプローチ線を新設

 東北新幹線と山形新幹線の分岐駅が「福島駅」です。しかし2020年現在、ダイヤ上の大きな障壁となっています。


福島駅の改良計画イメージ

 東北新幹線の「やまびこ」と山形新幹線の「つばさ」は福島駅で連結作業を行います。しかし作業が可能なホームが1本しかなく、なおかつ下り本線の平面交差が生じます。さらに、ダイヤが乱れるともっと大変。山形行きのつばさが出発しないと東京行きのやまびこやつばさがホームに入線できず、本線上で停車することがあります。

 今回の福島駅の改良工事はこのボトルネック解消がポイントです。山形新幹線へのアプローチ線を増設し、下り本線をふさいだり、本線上で長時間停車したりすることなく、福島駅での連結作業を行うことを可能にします。

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アプローチ線新設による運用イメージ

それは悲願の「札幌延伸」のため! この大プロジェクト見据えた動きも見逃せない

 速度の向上、駅の改良の施策による所要時間短縮と利便性を高めます。そして、東北新幹線全体にも良い効果を生むと考えられます。速度差や福島駅でのポイント横断を考慮せず、より使いやすいダイヤを設定できるようになるでしょう。秒単位で緻密に組まれるダイヤに、この施策で生まれる分単位の余裕は非常に大きな可能性を秘めています。

 もう1つ、これらの施策は2030年度の開業を見込む「北海道新幹線の札幌延伸」を意識しています。東京と札幌を鉄道で4時間半で結ぶ悲願の大プロジェクトにとって、山形新幹線の改良も必須です。


E5系とE6系。山形新幹線の改良効果は秋田新幹線や北海道新幹線のダイヤにも波及する(写真:呼んでる渋沢)

 さまざまな施策が相次いで発表となった山形新幹線ですが、それらは密につながっています。山形方面だけでなく東北地方、さらには北海道方面までを見据えた壮大な計画に期待が高まります!

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