コラム

「推し武道」について語った後に秋葉原でコンカフェ店員を推しに行った回にゃるら×カエルDX

オタクが生き生きしている。

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 ライターのにゃるらと漫画家のカエルDX。2人のオタクによる対談「だらだらオタク話DX」のコーナーです。第3回のテーマは“推し武道”こと「推しが武道館いってくれたら死ぬ」。

にゃるら プロフィール

沖縄出身のオタク。各所で文章を書く。ねとらぼでの連載名は「インターネットを守る翼竜」。最近はじめての同人誌「インターネット2」を作った。

カエルDX プロフィール

関西出身のオタク。自身をカエルのキャラクター「カエルDX」に投影したレポート漫画を描く。LINEスタンプ「カエルDX」シリーズが人気。2020年2月から『きららフォワード』で漫画「観音寺睡蓮の苦悩」を連載。

にゃるら:カエルさん、今期で一番好きな作品はなんですか?

カエルDX:今期はですねぇ……やっぱマギレコですかね。原作から本当に好きで。今も原稿しながら毎週めっちゃ実況したりしちゃってるんですけど。実況して騒いだ後に、すぐ録画流してもう1回見てるんですよ。2回目は静かに見てます

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にゃるら:なるほど~。まぁ、今回はカエルさんの好きなアニメと関係なく「推しが武道館に行ったら死ぬ」の話をするんですけど。

カエルDX:どっひゃ~~~~!!!!

にゃるら:と言っても、おそらくアニメで放送される範囲だと、まだ確信には至ってないんですが。

カエルDX:え!? “確信”とかあるんすか!?!?!?!?

にゃるら:ごめんなさい、別に確信とかなかったです……。出だしでビビらせようとしすぎて、ちょっと適当言い過ぎました……。

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全員:(笑)。

にゃるら(左)、カエルDX(右)

あらすじ

フリーターのえりは、岡山県で活動している7人組の地下アイドルグループ「ChamJam」の人気最下位メンバー・舞菜の熱狂的ファンで、自他ともに認める舞菜トップオタ。そんなえりに対して舞菜も好意を抱いているのだが、押しが強すぎるえりと不器用な舞菜の間ではうまく会話が成立せず、結果として塩対応だと勘違いされている状態が続いていた。お互いに想い合っているのにすれ違い続けるえりと舞菜の様子を軸に、ChamJamに加入する前かられおを応援していたくまさ、ファンになったのは最近ではあるものの空音に対して本気で恋をしている基など、さまざまなアイドルとファンの様子が描かれる。

ねとらぼ:「推し武道」はFODで配信されてるんですよね。

カエルDX:そうなんです。僕それで1000円払って見たんですよ。深夜に、にゃるらさんから突然「カエルさん、もしかして……推し武道見てないんすか?」ってあおられて。

にゃるら:でも、見てよかったでしょ。

カエルDX:よかっっっっっっっっっっっっっっった! オタクが生き生きしていて良いなぁって思いましたね。

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にゃるら:そう! オタクが楽しそうなのが良いんですよね。自分が知らない世界だけど、この中に入れたら絶対愉快なんだろうなって思えるのが良い。

カエルDX:オタクが全員好感持てるのも好きです。オタク文化の良いところを見てほしいんだろうなって。

にゃるら:作者が「オタクを好きになってもらえるように」って書いているんで。こんなにオタクに優しい作品あるんだってビックリしましたね。リアルのオタクの醜さを見たいなら、他の作品なり現実なり見ればいいですからね。そういった意味では、実際のハロプロオタたちの青春を描いた『あの頃。』とかも読んだんですけど、現実の汚さもオタク同士で集まる疑似青春感も詰め込まれていて、これはこれで良かったです。

カエルDX:早速早口オタクが登場(笑)。

にゃるら:「推し」の話しますか。僕は、緑担当のあーやって子が一番好きなんです。

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カエルDX:あっ、自分で自分のCD買いまくっている子ですか?

にゃるら:覚え方が最悪すぎる。まぁ、そんなんですけど。この子は毎回ビリの舞菜を除いたら、作品内での人気が一番下なんです。でもメンバーで最も意識が高いし、1人だけメイド喫茶も掛け持ちしているし、しかしメイド喫茶でも会えてしまうからこそ結果的にアイドルとして投票はされないみたいな、そういう不器用なところが良くて

カエルDX:良くて?

にゃるら:良くて……………………まぁ、一言で言うと「萌え」ました

全員:(笑)

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あーや

カエルDX:オタクは影で努力してる子をすぐ推すからな~~~~~。

にゃるら:いやぁ~……(しみじみ)。

カエルDX:なに1人で感慨にふけっているんですか。

にゃるら:あと、あーやは原作だと「カエルが好きじゃない」って設定があります。

カエルDX:えっ……困る

にゃるら:それで今日はせっかくなんで、あーやのカラーである緑色のライト買ってきたんですよ。でも、電車乗っている途中で「これカエルDXの色を意識して持ってきたと思われたらめっちゃイヤだな」って気付いて、それからずっと鬱になっ≫ます。

カエルDX:えっ、ちょっと僕のこと推さないでくださいよ!

全員:(笑)

にゃるら:逆に本気でカエルDXを推してみようかな

カエルDX:んも~~~~。しょうがないなぁ。

にゃるら:人生で初めて生で推したアイドルがカエルDXになってしまった

カエルDX:ちなみに僕は優佳ちゃんが一番好きです。とにかく明るくてバカなところが。

にゃるら:うわ、好きそ~~~~~。あと、前提として登場人物みんな顔が良いのがいいです。

カエルDX:ほんと、みんな顔良いっすよね。

にゃるら:特に感動したのは、原作での私服の集合コマで、各キャラクターのブランドや好みの方向性が全然違って、すごく質感を出しているんです。あー、これは魂込めて「作者が実体験などを通して創造した最高にかわいい女達」を繰り出してきたなって感じ取れて、とてもうれしくなるんです。

『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(平尾アウリ)第5巻より

カエルDX:なんで、今までライブとか行かなかったにゃるらさんに推し武道が刺さったんですか?

にゃるら:だからこそ、全く知らない世界をのぞくのが新鮮で。最初に漫画のタイトルを見たときに「死ぬ」って部分に注目しすぎて、もっとシリアスな作品かと思ってたんですよ。「100日後に死ぬワニ」みたいに、常に“死”を意識しながら読むものかと。

カエルDX:全然常に明るい感じの作品でしたね。

にゃるら:はじめは「オタクの青春」を眺めて感心していたんですが、だんだんアイドル側の関係性が描かれてきてから、あっこれ「ローカルアイドルという狭い箱庭の中に凝縮された顔のいい女たちの複雑だけど暖かい感情」も楽しみの一つなんだなと気づいてから、一気にハマりましたね。

カエルDX:なるほどね。

にゃるら:それで原作も買いそろえちゃったんですけど、見てくださいよコレ。印刷のズレで舞菜のセリフが読めないんですよ。こんな奇跡的にキャラクター性と印刷ミスが重なることがあるんだって感動しちゃいました。

まさかの奇跡

全員:(笑)

にゃるら:例えばね、リーダーの「れお」とか、センターなだけあって他メンバーへの面倒見もよくて良い子なんですけど、メンバーの中で最も年上で24歳という、売れないアイドルとしては後がない状態なんです。その焦りとかもどんどん描かれたりとか、それでも周りのメンバーはれおに頼りっきりだったりとか、「売れてない」からこその苦悩や関係が素晴らしい。同じクールのアニメの「22/7」なんてChamの100倍くらいのスピードで売れてますからね。

カエルDX:そういうの知っちゃうと推したくなりますよね。

にゃるら:カエルさんはリアルでライブとか行ってますよね。

カエルDX:リアルのアイドルは行かないですね。声優とかは行ってました。友達はAKB48のCDめっちゃ積んでたりしましたけど。

ねとらぼ:ちなみに推し武道の連載が始まったのが2015年で、AKB総選挙が投票数でいえばすごかったころ。15年~18年は300万票超えて(※熱量が高かった11~12年の倍以上)、19年は見送りになった。

カエルDX:え、なに急に。詳しいやん。

にゃるら:ここにきてリアルえりぴよ登場か?

全員:(笑)。

にゃるら:カエルさんは声優のライブ行くときどんな感じなんですか。

カエルDX:いまは声優には熱中していなくてアニメの一部として楽しんでいるんですけど、学生時代は“本気”でしたね。接触で握手とかしてました。

にゃるら:誰を推していたんですか。

カエルDX:………………………●●●●●です。推し武道で手紙をプレゼントする回あるじゃないですか。僕もしたためていた手紙をプレゼントボックスに入れてたくらい好きでした。今思うとマジで恥ずかしい。

にゃるら:オタクやん。握手会のときは何を話していたんですか?

カエルDX:緊張して「よろしくおねがいします」だけ(笑)

にゃるら:かわいい(笑)。今度2人で地下アイドルのライブ見に行ってみましょうよ。

カエルDX:いや、ガチ恋しそうで怖いんですよ。マジですぐ好きになっちゃうんで。ちょっとでも、優しくされたら「こいつ俺のこと好きなんじゃないか? こっち見て笑ってるし」ってなっちゃう。

にゃるら:「あっ俺の方見てるじゃん」ってなるんだ。

カエルDX:なる。「えっ、好きじゃん俺のこと」って。

にゃるら:もし一緒に興味本位で地下アイドル見に行ったら、次からカエルさんだけガチになって通うパターンですね。

カエルDX:「にゃるらさん、僕本気なんすよ」とか言っちゃいますよ(笑)。

全員:(笑)

カエルDX:にゃるらさんの周りにはリアルアイドルのオタク居ないんですか?

にゃるら:居るんですけど、ガチのロリが好きなヤツで。そいつは24歳のときに8歳のアイドルと握手したら、相手から「緊張しなくていいよ」ってなだめられたって言ってました。

カエルDX:キモ。

いろんなオタクがいる

にゃるら:あと推し武道で、作者がインタビューで語っていた「百合なのかどうか、恋なのか友情なのかの感情の違いは意識していません」って話がすごく響いて。彼女たちの人間としての感情の機微が良いなって。例えば原作では「百合営業だったつもりが本当に好きになってしまった」アイドルとかも出てきて。

カエルDX:いいっすね~~~~~

にゃるら:「仕事仲間」だけでない部分って良いですよね。

ねとらぼ:にゃるらとカエルはどうなの?

にゃるら:僕らも仕事とか関係なく遊ぶときあるんですけど、象徴的なエピソードがあって、一緒にライダー映画見に行ったものの離れた席に座ったんですよ。そういう距離感です。

カエルDX:電車乗ってるときとか、2人とも自分のスマホ見て無言だったりとか。

にゃるら:あと、2人で道路歩いていたら、突然カエルさんが間違えてスマホで大音量でアニソン鳴らした事件があるんですけど、その際に「失礼。操作ミスをして街中でよいまちカンターレを流してしまいました」って妙に礼儀正しく謝ってきたことも距離感の印象に残ってます。

カエルDX:社会経験が生かされてしまったな。

ねとらぼ:せっかくなので、3人で秋葉原に行ってコンカフェで実際の地下アイドルの話聞いてみましょう。

にゃるらカエルDX:おごりだ、やった~~~~~!!!

【コンカフェ】特定のコンセプト(ゴスロリや忍者など)を押し出したカフェ。夜も営業しているお店も多く、あーやのようにアイドルと兼任している店員さんも。

店員:いらっしゃいませ~。

全員:よろしくお願いしまーす。

にゃるら:カエルさん、急に静かじゃないですか?

カエルDX:いや、下手に話しちゃったら好きになるかもしれないじゃないですか。

にゃるら:なるほど……。

店員:みなさんは何で今日ウチに来たんですか?

にゃるら:それが…………アニメの影響で地下アイドルに興味持っちゃって。

店員:あっ、推し武道?

にゃるら:そうです(照)。

カエルDX:即見抜かれとるやん。

店員:みなさん同じお仕事なんですか?

にゃるら:だいたいそんな感じです。あっ、僕の隣の人は最近マンガ家になったんですよ。

カエルDX:そうなんです。ちょっと恥ずかしいですけど(照)。

店員:へぇ~(興味なさげにスマホを弄りだす)。

にゃるら:こんな広げやすそうな話題がスルーされることってあるんだ。

 この後もカエルさんが急にマギレコについて語りだしたり、メイドさんが含みのある返しをしてきたりと、紆余曲折ありながらも、コンカフェでの会話を楽しみました。

 特に、「地下アイドルも10代だらけだとメンバー間が不仲だったりするけど、20代とかになるとみんな割り切ってるから意外と推し武道みたいに仲良しだったりする」や、「売れなかったけど経験積んだアイドルは20代後半になってプロデューサーやマネージャー側に回ったりするから、れおもどうにかなるはず」という話をしてくれたので、ちゃんと足を運んで実際に見聞きすると、好きな作品の奥行きも広がるなって思いました。

にゃるら

おまけ:カエルDXを推すにゃるら(高画質版)

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