レビュー

【M愛1話】令和にものすごいドラマが始まってしまった…… 「M 愛すべき人がいて」を漫画でレビュー

田中みな実、これでいいのか!?

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 4月18日から放送がスタートした土曜ナイトドラマ「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日×AbemaTV共同制作/23時15分~)。2019年に出版された、歌姫・浜崎あゆみの誕生秘話本『M 愛すべき人がいて』にドラマオリジナル要素を盛り込んでドラマ化されたものです。

 初期の浜崎あゆみ曲の歌詞は「自分を発掘してくれた人」への気持ちが赤裸々につづられていたので、色恋に無縁な中学生の私でも「歌詞はオブラートに包んでいるだろうけど、きっと関係者の中にあゆの好きな人がいるのでは……」と思うことがありました。……が! まさかプロデューサーのMAX MATSUURA本人だったとは。オブラート、1ミリも無かったんですね。

 小室哲哉と華原朋美といい、今思うとこの時代は公私混同系J-POPの黄金期。あの切実な歌詞とリアルさは公私混同の賜物だと思うと「体を張ってくれてありがとう」という気持ちにさせられた2019年。しかし2020年には、とんでもないドラマが我々を待っていました。

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インターネットが沸いた1話

 ドラマでは、歌姫アユを安斉かれん、a victoryの専務マサを三浦翔平が演じます。このふたりの恋とアユの歌姫としての成長が物語の中心なわけですが、なぜか眼帯の専務秘書である姫野礼香(田中みな実)、a victoryのクセアリ社長(高嶋政伸)、マサを尊敬する社員(白濱亜嵐)と脇のキャラクターも濃い。とにかくインターネットがドッカンドッカン沸いた1話でした。

 ドあたま渋谷のスクランブル交差点シーン、街頭モニターにあゆの歴代PV(全部安斉かれんちゃんバージョン)が映し出されます。ここでもう低予算パロディ感にやられる。そして開始約3秒、海でたそがれるあゆの「あの日も海を見ていたな……」というベタすぎるセリフに視聴者卒倒。タイムラインからコロナの話題が消えました。

 アユを演じる安斉かれんちゃんは、あゆをベースにglobeのKEIKO、Every Little Thingの持田香織、hitomiなどを足して割り、ハロプロをちょい足ししたような奇跡の90年代顔! 鼻声と信じられない程の棒読みも、わざとか素なのか知らんけどめちゃくちゃあゆっぽい!

 そんなアユとマサの出会いシーンは、少女漫画で100回は見たシチュエーション。クラブのVIPルームで原石を探すマサの不遜な態度にアユが食ってかかったことで、マサがアユに興味を示すように。「おもしれー女」はかろうじて発せられませんでしたが、視聴者の耳にはちゃんと聞こえましたよ……。

 すごい勢いで惹かれあっていくアユとマサ。あゆ初期楽曲の歌詞になぞらえた展開が続き、タイムラインが爆沸きします。やっぱり、初めての電話は受話器を持つ手が震えるし、「今から会おう」は7回目の電話なんですよね。物語のあちこちにちりばめられた歌詞ネタは必見です。

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どうした田中みな実、これでいいのか田中みな実!?

 とにかくこのドラマ、アラサーアラフォーならすぐ元ネタがわかるグループ、会社、名プロデューサーが矢継ぎ早に出てきます。衝撃だったのは売れっ子音楽プロデューサーの輝楽天明(新納慎也)。どう見てもモデルは小室哲哉なのですが、コテコテメイクぶりに「どうしてこうなった」。実存かつ存命の人物をここまでいじるとは……エイベックス的にはこれでOKなのか!?

 そして最もタイムラインを騒然とさせたのが、ひとりで昼ドラをやっているマサの秘書(原作にはないキャラです)田中みな実。オレンジベージュの眼帯姿のインパクトがすごく、視聴者の間で眼帯大喜利が発生しました。みかんの皮説、通りもん説、東京銘菓ひよこ説など……。

 「私の目の代わりになってくれるって言ったわよねぇ」「アユさんは来ませぇ~~ん」などの田中みな実の怪演にドカンドカン言うタイムライン。みな実、これでいいのか! あんなにストイックに毎日ジムに行き、「おっぱいまでが顔」との名言を生み、着々と美意識高いアラサーの象徴としてのキャラを作ってきたのに……何をやっているんだ! サンジャポよりやばいぞ!

 さて1話は現所属プロダクションとマサの周囲の妨害によりすれ違い、待ち合わせもできないふたりでしたが(お願いだから携帯電話を使ってくれ!)、歌の力で現事務所を強制退社してエービクトリーに所属することが決定。

 ベタすぎる展開、棒過ぎる主役、魑魅魍魎だらけの脇役にツイッター上では「コロナを忘れた」「笑いすぎて代謝がよくなった」の声多数。ありがとうM愛……という思いが生まれた1話でした。

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蟹めんま

奈良県出身の漫画家・イラストレーター。自身の約20年間のバンギャル生活を描いたコミックエッセイ『バンギャルちゃんの日常1~4』(KADOKAWA)が発売中。30代に差し掛かったあたりから他人の恋バナをつまみながらの飲酒が日常化。Twitter:@kanimen

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