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香川ゲーム条例、専門家に聞くパブコメの問題点 「公開性や透明性に疑問」「香川県の民主主義が問われている」

千葉大学大学院社会科学研究院の横田明美准教授に聞きました。

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 「18歳未満はゲーム1日60分まで」などの内容で議論を呼んでいる「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」。4月1日に条例が施行された後も、パブリックコメント(パブコメ)の原本に不自然な「同一文面」投稿が大量に見つかったり、県内の高校生による違憲訴訟の動きが持ち上がっていたり(関連記事)と、条例の内容や、その制定プロセスについて疑問視する声が耐えません。

 編集部でもこれまでに、条例検討委員に取材したり、パブコメの原本(写し)を取り寄せたりとさまざまな角度から検証を行ってきましたが、これまで指摘されてきたような“不自然な点”は、法律の面から見た場合、具体的にどういった問題があるのでしょうか。ここでは行政法に詳しい、千葉大学大学院社会科学研究院の横田明美准教授@akmykt)に、同条例を巡るさまざまな疑問点に答えていただきました。

編集部に届いたパブコメの原本(写し)(関連記事

横田明美(よこた あけみ)

横田明美(よこた あけみ) 1983年千葉県生まれ。2013年東京大学法学政治学研究科で博士(法学)取得。2013年から千葉大学准教授。現在、ドイツのマインツ大学にて在外研究中。専門は行政法、とくに情報法・環境法・消費者法分野に詳しい。
著作に『義務付け訴訟の機能』『カフェパウゼで法学を 対話で見つける〈学び方〉』(以上単著)、『法学学習Q&A』『ロボット・AIと法』『シン・ゴジラ政府・自衛隊事態対処研究』(以上、共著)がある。

パブコメの意義は「市民参加と公正さの確保」

―― 最初に一般論として、パブコメ制度の概要について教えてください。

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横田:パブコメ(パブリックコメント)制度とは、各種政策における条例や計画、あるいは専門家会議などの報告書などについて、ある程度の「案」が固まった段階で一度社会に公開して広く意見を求め、その意見をもとに修正を図るという制度のことをいいます。

―― 具体的に、パブコメの運用について定めた法律はあるのでしょうか。

横田:法律上あるのは行政手続法「意見公募手続」(行政手続法38条以下)ですが、これは「国の行政機関」が定める「命令等」しか対象にしておらず、一般的にはもっと広い概念として使われていますね。実際には法律で定められている範囲以外でも、計画や有識者会議報告書の案、中間報告などについても、行政手続法によらない「任意の意見募集」として行われています。

―― 今回のように、地方の場合はどのような扱いになるのでしょう。

横田:都道府県や市町村などの地方公共団体においては、パブコメについての条例を定めているところもあれば、香川県のように「要綱」でしか定めていない場合もあります。条例は、議会が決議して決めたという意味で法律と同格のルールといえますが、“要綱”はそうではありません。行政が事務取扱いをするための「内部的な命令」(所属の機関または職員に対する「業務命令」を取りまとめたもの)という扱いです。もっと言ってしまえば、法的な観点からすれば、業務マニュアルと同じです。

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―― 業務命令ということは、違反しても罰則はないということですか。

横田:内部のルールに反しているというだけですからね。行政が、市民の代表である議員たちが議会で決めた法律や条例に反している場合は「法律による行政の原理」違反になるのですが、要綱はそういう意味でのルールではないのです。これが、パブコメを条例で決めるのか、単なる要綱でしかないのかの大きな違いでもあります。

 ……と、ここまで説明してきましたが、そもそも今回は「要綱」の話ですらないようなんですよね。

――そうですね、「実施期間が通常の半分しかなかった」という指摘が県のサイトに寄せられているのですが、これについて県の政務調査課は「県議会はこの実施要綱の実施機関に含まれていないため、今回は、県議会で検討し、決定されたものと受け止めています」と説明しています。

県民の声より、「パブコメの期間が通常の半分」に対する県(政務調査課)の回答(傍線は編集部によるもの)
実施要綱第2条より。「実施機関」に県議会は含まれていない(傍線は編集部によるもの)

横田:私も当初うっかりしていたのですが、この「要綱」は恐らく知事などの「実施機関の長」たちが決定したものですから、(知事などの権限が及ぶ)“行政内部”にしか及ばないように設計されています。議会は行政とは別の組織ですから、要綱の効果範囲には入らないのです。要綱では条例の案について(パブコメを)行うことも想定されていますが、それは、条例案を、行政側が提案する段階でのことでしょう。それとは異なり今回のケースは、議会が自らの判断で、パブコメをいわば「任意の意見募集」として行っただけなので、確かにこの要綱の規定は関係ないということになります。

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―― そもそもパブコメはどういう目的で行われるものですか。

横田:パブコメ制度の意義としては、市民参加の機会公正さの確保として捉える考え方が強くなっています。つまり、多様な意見を持つ市民が、重要な政策決定に関与することで、市民による政治参加を図るという考え方です。しかし、それは選挙のような「多数決の論理」というのではなく、「多様性」というところにポイントがあるのではと思います。政策内容によっては必ずしも考慮しきれていない利害を持つ人や、異なる意見を持つ人も参加できるのがメリットですね。

―― 現実問題として、そうした意図に沿ってきちんと実施できていると思いますか。

横田:私自身も、総務省や厚労省など国の機関、千葉県内のいくつかの自治体の有識者会議で、パブコメの対象となった報告書に関与したことがありますし、自分が意見を出したこともあります。

 委員としての守秘義務に反しない限りでお話ししますと、パブコメではどうしても「1回半」(案を出し、返答を受けて、その意見に対する回答をするという意味)しか応答ができない歯がゆさがあります。それでも、議論しきれていなかった観点からのご意見や、より具体的なメリット・デメリットに関する意見など、パブコメによって分かることは多く、また制度自体への誤解や、理由説明の不十分さが明らかになったりすることもあります。また、その制度を今後運用していく際に、パブコメの回答で示した考え方が参照されることもありますね。疑問点を明らかにしていくという作用も期待されているといえるでしょう。

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パブコメ送付条件“県民だけ”は「非常に不可解」

―― ここからは具体的に、今回の「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」のパブコメについての質問になります。まず、実施期間が1月23日から2月6日までの15日間と、通常の半分(※)しか設けられていませんでしたが、これは特に問題はないのでしょうか。

※香川県の実施要綱では「原則として1カ月以上」(4条1項)と定めており、他のパブコメでも原則1カ月以上の期間を設けていた

横田:行政手続法での意見公募手続も、原則30日以上とされています(行政手続法39条3項)。しかし、これは必ずしも守られているわけでもなく、例外としての適用除外条項(同39条4項1号「公益上、緊急に命令等を定める必要があるため(中略)実施することが困難であるとき」など)を適用して、14日などで運用されている例もよく見掛けます。個人的には、国の行政機関ですらこの例外条項を安易に適用しすぎているのではと疑念を持っているのですが……とはいえ、そのようなときは大抵、年度末であったり、スケジュールが圧迫されていたりするケースが多く、また、例外を適用する理由として「これまで公開の検討会で議論してきたから」というものも見掛けました。

 香川県の今回の事例の場合、議論が沸き起こっていることはよく知られていましたが、具体的な条文の中身が正式に明らかになったのはまさにパブコメの手続に入る直前でした。となると、(他のケースと比較しても)より問題があると思います。検討会の内容も公開されておらず、何について考えたのかもよく分からないままに、短い期間で意見募集をしたとしても、十分な市民参加や多様な意見は得られないのではないでしょうか。そうなってしまうと、何のためにパブコメを実施したのかすらよく分からなくなりますよね。

―― 今回に限り「県内に住所を有する人」という投稿条件が付されていた点についてはどうでしょうか。

横田:非常に不可解です。条例が影響する範囲について、“地理的範囲”としては県内という認識なのかもしれませんが、内容を見ると地理的範囲を超えて影響を与える可能性もあり、実際に影響は及んでいます。そうである以上、むしろ、本件こそ県外からも意見を募るべき条例だと思います。

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―― 例えばどういったケースで「地理的範囲を超えて影響を与える」と考えますか。

横田:まず「ネット」にかかわる事柄ですから、通信相手にも影響があるでしょう。例えばオンラインゲームや、ビデオチャットを通じて交流をしている相手はどうでしょうか。最近人気のゲームでも、友人を自分の領域に招いて互いに成果を見せあったりするものがありますが、香川県の住民だけでなく、その友人にも影響が及ぶのは間違いありません。むしろ、今となっては県外の人と交流を行うのに、遠隔地からの手段として考えられるのはネット経由のサービスが主流でしょうから、それらの人々に影響があることは間違いないでしょう。

 また、条例11条での「事業者」(ゲーム会社やeスポーツ団体はもちろん、広範なWebサイト運営者なども含まれる)が、香川県に合わせた改修や制限を行わなければならなくなるのでは、という懸念もあります。実際に「香川県民お断り」のサービスも現れており(関連記事)、そうすると、ことは香川県に限った話ではなく、その改修が影響を持つ範囲全てに悪影響があるということになります。これは、東京都青少年保護条例による“図書の不健全指定”が、東京都に出版・取次業が集中している事情とあいまって、実質的に“日本全国規模の規制”となってしまう構造によく似ています。

―― 確かにこうなると住民だけの問題ではなくなってきますね。

横田:自治体の政策形成において「住民のみ」に関与を認めるものは、過去にもありました。例えば情報公開条例ですが、かつては多くの自治体で「情報公開請求権は住民に限る」と定めていた時代があったのです。背景には「住民サービスだから、住民のために税金を使うべき」という論理があったようです。

 しかし、情報公開の制度目的、つまり「行政活動の透明性確保」という観点からすれば、そのような限定はナンセンスです。実際、当時は全国レベル・全県レベルでの調査を行いたいマスコミや研究者、卒論を執筆する学生などが大変に困っていました。

 今回も、パブコメの目的に即して考えてみるとどうでしょうか。前述した「多様な市民参加」「公正性の確保」という観点は、香川県パブリック・コメント手続実施要綱にも「県民の多様な意見等を県政に反映させる機会を確保するとともに、県の政策形成過程における公正の確保と 透明性の向上を図り、もって県民との協働による県政の推進に資することを目的とする」(1条)とありますから、このような考え方は反映されているものと思います。県議会事務局が行ったパブコメには県の要綱が適用されないといっても、「パブコメ」と銘打っている以上は、このような理念においては、同じ方向だと考えたいですね。なお、ここで文言には「県民」しか入っていないのだから「県民以外は排除してよいのでは」という考え方があるかもしれませんが、それは少なくとも今回の条例案については不適切であるというのは、先に述べた通りです。

「パブコメの数」で何かが判断されるべきではない

―― 集まった意見について、賛否を分けて集計、発表したことも問題視されています。

横田:通常、パブコメを提出する際に「賛否」を明らかにする必要は必ずしもありません。「全体としては賛成だが、この条文のこの箇所はおかしい」という意見もありえますし、「条例という規制にすることは反対だが、政策目的としては支持できる」というような意見もあるでしょう。これらを賛成と反対どちらかに振り分けるのは難しいですよね。

香川県が公開した実施結果では、表紙部分に賛否の数が記載されていた

横田:もちろん、賛同・反対しかない意見も多数あると思いますが、政策パッケージとしての条例全体の評価と、個別の条文への評価が一致するとは限らない。目的と手段のバランスに対する審査のことを、専門用語で「比例原則」といいますが、このような考え方をとったとき、そもそも目的自体がおかしいという批判、目的はよくても手段が不相当に重い(軽い)という批判、目的に照らして効果がない手段をとっているという批判など、いろいろな批判の型が考えられます。

 「賛否の数を数える」ということは、ひょっとしたら今までの運用でもされてきたのかもしれませんが、悉皆(しっかい)的なアンケート(※)というわけではないですし、その数をもって何かを判断する、ということはされるべきではないと思います。どちらかというと(パブコメは)批判的な意見が集まりやすいものですし……。「見過ごしたかもしれない不利益を拾い上げる」という点からも、数の論理ではないことはご理解いただけるかと思います。よりよい案にするためのご意見なので、仮に賛成多数だからといって反対の意見を無視していいという性質のものではありません。

※対象全員に対しもれなく調査を行うこと

―― 事務局がパブコメの「要約」をまとめ、それを検討委員に公開したのが、最後の検討会当日だったことについてはどうでしょうか。

横田:検討委員の立場からすれば、事務局の「要約」が適切であるかどうか、応答は誠実で十分なものなのかを確認するための時間が必要です。いただいた意見に応答するための準備としては、当日では間に合わないですね。例えば事実誤認などの指摘があった場合、それを直すための証拠の準備などもいるわけですから。

―― 検討委員すら採決後でなければ原本を見られなかったことや、委員が開示を求めたら「情報漏洩があった場合、閲覧者全員が連帯責任を負う」という書類に署名させられたことなども話題になりました。

横田:原本については、実際には公表しない取り扱いの方が多いと思います。というのも、膨大な数が集まった場合や、内容に投稿者の個人情報が含まれる場合もあるからです(他の情報と突き合わせて個人が特定できたり、不利益が生じることがあったりする場合も含む)。

 ただ、その場合でも会議の構成員には守秘義務を課したうえで原本を見せることは行われていますし、今回のように情報公開請求が行われれば、条例上の不開示事由(上述の個人情報該当性など)に該当しない限りで公開の対象になるものではあります。また「連帯責任」の署名についてですが……ちょっとここはびっくりしました。委員は個人の資格で参加しているのでしょうから、なぜ連帯責任になるのか、守秘義務の観点を考えても分かりません。

秋山時貞議員のツイート。原本開示を求めたところ「情報漏洩があった場合、閲覧者全員が連帯責任を負う旨の署名を求められた」とのこと

―― 一部の議員が周囲に呼びかけ、パブコメを集めていたことも報道されていました。仮にこういった「取りまとめ」が組織的に行われていた場合、何か問題になることはありますか。

横田:多様な意見を集めるためにパブコメ提出を呼びかけることはあるでしょうし、それ自体はおかしくはないと思います。ただ、あまりに膨大になると事務局も検討会側も取りまとめるのが大変なので、任意の団体を作ってまとめた意見を寄せるケースなどもありますね。何にしても、大事なのは「数の論理」ではなく、問題点や改善点を集めることですから、とりまとめが行われたこと自体が問題になるわけではないと思います。

―― その後公開された「パブコメ原本(写し)」について、同じPCから送信されたとみられる、類似の書式・文章(誤字まで同じ)のものが多数見つかっています。他にも、同一の人物が複数のパターンの文章を使い分けていたことから、水増しや捏造の可能性も指摘されていますが、もしこうした行為が本当に行われていた場合、どのような問題がありますか。

編集部がパブコメ原本(写し)を取り寄せて検証したところ、同じ書式・文面の投稿が大量に見つかった(関連記事

横田:実際のパブコメでも、あまりに無関係なことを書かれる方(「ご意見」ではあるものの、本件の「案」には無関係なもの、当該所管部局の別の政策についての批判など)はいますし、団体で取りまとめた場合など、類似の内容で複数の意見が寄せられることもよくあると思います。こうしたケースは通常、ご意見の「要約」で一定程度取りまとめてしまうでしょう。原本を委員限りで確認するのが通例になっているのも、そのような事情が背景にあると思います。

 ただ、今回の数や状況を考えるとちょっと異様な雰囲気を感じるのも正直なところです。実際、賛成の数と「要約」のページ数が全くかみ合っておらず(※)、適切に要約されたのかどうか不自然に感じていました。その異様さが、原本の開示請求で明らかになったという事態だと思います。

※パブコメの投稿数で見ると賛成2269件、反対401件だったのに対し、「要約」では賛成1ページ、反対約80ページにまとめられていた

香川県の民主主義が問われている

―― そもそも検討委員会の段階から、委員会が非公開だったり、議事録も作成されていなかったり……といった部分も疑問視されています。制定までの一連のプロセスを踏まえて、どのような部分が問題だったと思いますか。

横田:今回、あえて「他のパブコメの運用例」にも言及するようにしたのは、本件のパブコメが、理想論としてはもちろんのこと、実務上の困難さを考慮しても、公開性や透明性に疑問があるということを示したかったからです。もちろん、他の政策課題でもさまざまな事情で検討会を非公開にすることはあるのですが、今回は、どのような事情で非公開なのかの納得が得られていないのではないかと思います。

―― 確かになぜ非公開なのか、納得のいく説明は行われていないと感じます。

横田:また今回のケースは、香川県が自らの「地域における事務」(地方自治法2条2項)を行うために制定する自主条例で、しかも全国的に見ても初めての例です。であれば、その運用にあたって留意すべき事柄や、他の自治体が同様の条例を制定すべきかどうか、制定する場合はどのようにすべきかを検討するためにも、よりていねいな根拠が求められる事例だと考えます。ましてや、上述のように地理的範囲を超えてしまう性質があること、根拠とされる科学的知見にも議論があること、法令との抵触や憲法適合性などの多数の論点があるところですから(※)、どのような理由に基づいているのかをしっかりと説明すべき案件です。

※冒頭でも書いた通り、現在、県内の高校生が「基本的人権を侵害しており違憲」として、県を提訴する準備を行っている(関連記事

 誰が、どのような責務(この単語自体がかなり曖昧です)を負うのか、法的効果があるのかないのか、どのような「自主的な規制」を想定しているのか、「必要な施策」を行わない者に対してどうするのかも不明です。県民や事業者などの権利義務を直接に制限する条文はないかのように見えるのですが、努力義務だと解したとしても、さまざまな行政活動や自主規制に援用され、一人歩きする危険があります。

 さらに、想定されている反対利益への対処はどうするのか(そもそも適切に想定しているのか)という点は、実際に保護者が家庭内で、条例18条2項が定める「遵守」をどこまで子どもに求めるべきなのかという場面で重要です。

 ここでは「子どものネット・ゲーム依存症につながるようなコンピュータゲームの利用に当たっては、1日当たりの利用時間が60分まで(学校等の休業日にあっては90分まで)の時間を上限とすること」とされているわけですが、この上限設定の根拠や、どんなゲームが「ネット・ゲーム依存症につながるようなコンピュータゲームの利用」にあたるのか、どのようなデータや考え方に基づいているのかは分かりません。まして、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)に関連した外出制限や長期休校という状況は、ネット経由の交流の重要性と依存可能性に影響を与えていると考えられますが、それらの状況の変化に照らしても「ネット・ゲーム利用を60分(90分)に制限すること」が適切なのかどうかなどを判断しなければならなくなります。親が親権を行使するという観点でも困りますし、何より、子どもの人権という観点からも不適切です(子どもの権利条約16条1項「いかなる児童も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない」)。

特に議論を読んでいる第18条「子どものスマートフォン使用等の制限(課程におけるルールづくり)」(傍線は編集部によるもの)

 これらの詳細は、非公開のままになっている議事と条文からは全く分かりません。通常であれば、検討会や委員会、議会での議論やそこで供された資料が参照されることになるのですが、残念ながら、不十分と言わざるを得ません。

 今後この条例を維持し続けるのかどうか、このような政策形成が許容されるのかどうかは、まさに香川県の民主主義が問われているということでもあると思います。曖昧なままにしてしまったことは、今後、過剰な忌避や悪評、不当な差別など、思わぬ形でのひずみを生むのではないでしょうか。

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