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6月21日は部分日食 そのとき絶対にしてはいけない行為とは!?

夏至の夕方に、日本全国でみられる「部分日食」。西の空に輝くお日さまが、ハムハムと食べられちゃうようです!

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太陽と月が同じ大きさに見える奇跡

 「日食」とは、お日さま(太陽)が、まるで食べられたように欠けてしまう現象です。かじりとられた黒い部分は……地球から見たとき、月が太陽に重なって隠している部分。でもなぜ、そんなことがおこるのでしょうか?

 月と太陽には、それぞれの道があります。月は1カ月ごとに地球を一周し、太陽は1年かけて「黄道」を進んでいるのですね。日食は、そんな月(新月)と太陽そして地球が、一直線に並ぶときにおこります。それにしても、巨大な太陽と、地球よりずっと小さな月が同じ大きさに見えるなんて……!? じつは、両者の直径と地球からの距離(太陽は、月の約400倍大きくて、月の約400倍地球から遠い)が、絶妙なバランスで重なり合っていたのです。なんという奇跡! もしや地球から眺める人類へのプレゼント? などと思えてくるではありませんか。

 月の軌道は、ちょっとゆがんだ楕円形をしています。動きながら地球との距離が変化するので、月はほんの少し大きく見えたり小さく見えたりします。月が地球から遠い時は、小さくなるというわけですね。そんな事情で、日食の見え方が変わってきます。月が太陽をぴったりと隠す大きさのときは『皆既日食』。月が小さいとき重なり、周りにはみ出した太陽がリング状に見えるのが『金環日食』。それらは非常に狭い範囲でしかおこりません。その範囲外で、部分的に欠けて見えるのが『部分日食』です。

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皆既日食を見ると「日食病」にかかる?

 なかでも皆既日食は、もっともドラマチック! 太陽と月が重なる数分間は、空が夜のように暗くなり、月の周りに花びらのような光「コロナ(太陽の大気層)」が見えます。そして日食の始まりと終わりに一瞬だけ輝く「ダイヤモンドリング」も見どころ! 空にあらわれる婚約指輪のようですね。

 皆既日食は、この世のものとは思えないほど美しく神秘的な現象として、古くから人々を虜にしてきました。聖書など古い書物に記載されている天変地異に関わっているともいわれています。日本では、古事記・日本書紀で有名な「天岩戸」伝説(天照大神が岩屋に隠れたので世界が暗闇に包まれてしまい、にぎやかな踊りでなんとか戸を開けてもらったら明るくなった……というお話ですね)は、皆既日食の始まりから終わりを語っている、という説もあります。

 そして現代人のなかには、神秘的な太陽を見てしまったために、日射病ならぬ「日食病」にかかる人が後を絶たないというのです。いちど皆既日食を体験してしまうと、あまりの美しさにもう一度見たくてたまらなくなり、日食を求めて世界を旅してしまうことを、俗に「日食病」というそうです。旅費を工面し、仕事を調整し、晴れる保証などなくても出かけずにはいられないといいます。いまはなかなか自由に旅するのも難しいですが、じつは年に一~二度くらいは世界のどこかで皆既日食や金環日食がみられ、それ用のツアーなども人気なのだとか。人類にとって太陽のパワーはやはり偉大なのですね!

決して肉眼で太陽を見てはいけません!!

 2020年6月21日、インド北部や台湾などでは金環日食がみられます。日本では、夕方16時ごろから18時ごろにかけて、全国で部分日食がみられます。夕方になったら、ぜひ西の空に注目してみてはいかがでしょうか。

 ところで日食の観察には、とても大切な注意事項があります。それは「絶対に肉眼で太陽を見ないこと」! とくにカメラや望遠鏡などのレンズをのぞいて太陽を見ると、目が焼けて失明する恐れさえあります。太陽は、どんなに欠けていても普段とほぼ変わらないまぶしさ。我慢してチラッと……なんてこともやりがちですが、目を傷めるのでとっても危険、サングラスや黒いフィルムもNGです。必ず日食観察用のメガネを使用するようにしましょう。

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 専用の道具がないときは、ピンホールで太陽の変化を見る方法がおすすめです。厚紙に画鋲などで小さな穴を開け、光を通して紙などに映します。穴がレンズのような働きをして、映る光はちゃんと日食で欠けた形に! またもしそばに木があったら、木漏れ日を見てみてください。地面に散らばる光も、欠けた太陽の形をしていますよ。全国各地の科学館などでは、日食の時間にあわせて観察会やオンラインのライブ配信をおこなう施設も。興味のある方はぜひチェックしてみては?

未来には地球から見られなくなる日食も

 6月21日のつぎに日本で日食が見られるのは2023年4月20日ですが、皆既日食がみられるのは、2035年9月2日(皆既帯は北陸~北関東)です。じつは月はだんだん地球から遠ざかっているため、遠い未来には、地球から皆既日食は見られなくなってしまうのだそうです。

 この時代に生きている地球人の特権として、ぜひ日食を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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