インタビュー

「事実が故にネタでしかない!!!」 “日本一フォロワー数と来館者数が比例しない”桂浜水族館の実情と希望の光(2/3 ページ)

新型コロナウイルス問題についても。

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新型コロナウイルスで“とても忙しくなった”

 全国の水族館が休館を余儀なくされた新型コロナウイルスの影響。緊急事態宣言解除に伴い徐々に営業を再開する施設は増えているものの、多くの施設が感染拡大の対策として営業時間や居住者限定の入場制限、一部施設の休止等の対応に追われています。

 年中無休の営業を続けた同館では、“戦後初”となる休館を決定。休館中はAmazonの「ほしいものリスト」を公開し、届いた品をうれしそうに使う様子をTwitterに投稿するなど、同館らしい“奇策”を講じました。

ホースが届き大喜びの飼育員さん(そっちかよ!)

 そして、営業再開後のゴールデンウイーク中に行われたイベント「親子でオンライン体験フェス」では飼育員へのオンライン餌やり体験を開催。収束の見込みが立たない中を、独自路線で突き進んでいます。

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 同館は今、多くの水族館が直面している“新型コロナウイルス問題”をどのように捉えて、向き合っているのでしょうか。経営状況やファンに対する思い、同館が思うこれからの水族館の在り方とは――。

――新型コロナウイルスの影響はどうでしたか

 2016年に始めた改革「なんか変わるで、桂浜水族館」の一環であるSNS活用。これにより爆発的ではないものの、来館者数は順調に増えていきました。2019年に10万人を突破し、勢いのままに2020年は15万人達成を目標にと意気込んだ矢先、新型コロナウイルスにより客足と勢いは絶たれてしまいました

 ですが、約1カ月の休館中に公式Twitterアカウントのフォロワー数は休館前の2倍以上となり、Amazonの「ほしいものリスト」を公開すれば1時間とたたないうちに全ての商品が購入され、休館中に始めたYouTubeチャンネルも収益化しました。

 傷があったりいびつであったりするなどの理由で正規販売できない大量の野菜を地元の農家さんが寄付してくださったり、県内外を問わずファンの方がスタッフさんで食べてくださいとお菓子の差し入れを送ってくださったり、通販を利用してグッズを購入してくださったりと、自粛が解除され気軽に旅行ができるようになったら絶対に行きますと希望の光を差し伸べてくださっています。確かに厳しい経営状況ではありますが、愛してくださっている方がたくさんいるので、大丈夫です。

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――ちなみに休館中に届いたプレゼントの中で印象に残ったものはありますか?

 詳細は伏せますが、ファンの方に結構なお値段のする時計をプレゼントしていただいた飼育員がいました。

土佐市内の農家から届いたフルーツトマト

――「お客さんが来なくて暇」という旨のツイートを度々みかけました()。休館になり、“本当に忙しくなくなった”のではと思ったのですが……

 実はその逆で、とても忙しいです。未曽有の通販対応、ネット、テレビ、新聞などのメディア対応など、決してきれいでもなければ大きくもなく、珍しい生きものがたくさんいるわけでもない、昭和感丸出しのこの田舎の小さな水族館が注目されだし、さまざまなカテゴリーの方々から意識されるようになったので、正直、めちゃくちゃ忙しいです

――そうなんですね! 今、新型コロナウイルスの影響でさまざまなものが“オンラインで代替”されるようになっています。しかし、水族館の魅力はオンラインで代替できるのでしょうか……。「水族館のこれから」について考えを聞かせてください。

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 AI技術、VRの発展やプロジェクションマッピングによる投影により、もしかすると未来の水族館には魚はいないかもしれません。水族館や動物園もオンラインで代替できるものになり得ると思います。

 視覚だけでなく感触、温度や生命の鼓動までも再現される時代が来るかもしれません。今日まで水族館や動物園が担ってきた役割も、いつかの未来では必要なくなるかもしれません。小さな施設でふれあいを重視し、生きものとの距離が近いことを売りにしている桂浜水族館も、いつかオンラインやバーチャルに代替される時がくるでしょう。

 どんな風に変化しようとも、桂浜水族館があり自分が広報担当としてある限りは、その変化がマイナスであってもプラスに変えて、ニーズに応えながら桂浜水族館らしさを発信していきたいと思っています。

(了)

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