【限界徹夜の体験談】絵がうまくなりたくて初めての同人誌制作→徹夜3日間でお風呂で2回死にかけた、というお話(1/2 ページ)
眠気覚ましの定番にして危険なスポット、お風呂。
「徹夜はやめとけ」「寝たほうが良い」とよく言われますが、なぜなのか。それを考えるために、ねとらぼ読者から「限界まで徹夜でしてアカンことになった体験談」を聞いてみようという連載企画です。今回は「同人誌の締切に追われて3日間徹夜、お風呂で2回死にかけた」というお話を伺いました。
徹夜中のもっとも危険な罠、それは「風呂リセ」
20代後半のとき「絵がうまくなりたい」というだけの理由で、それまでマンガを描いたこともなかったのに同人即売会に申し込み、おまけにうっかり受かってしまい、極道入稿(※)直前の3日間、徹夜しました。そのあいだにお風呂で2回死にかけました。
※極道入稿:同人用語。締切を過ぎて印刷所に入稿することなどを指す。
―― 「どうして申し込んでしまったのか」とか「なぜ3日間で2回も死にかけてるのか」とかいろいろ気になるのですが、順番にお願いします。
当時、私は下手くそながら一枚絵を描いてネット上にあげていたのですが、「いや、やっぱマンガ描かなきゃうまくならないだろ! で、マンガを描くならイベント出なきゃ!」と勝手に思い込んで、知り合いの絵師を引き込んでサークルを立ち上げました。
東方Projectの二次創作をすることに決め、同人誌制作は1カ月前からスタート。「週刊の漫画家だっているんだから、自分たちだってできる!!」と、今思えばなめきっていました。
15日くらいかけてストーリーを練り、次はネーム。「1日で終わるだろう」とタカをくくっていたのですが、全く終わりません。「どうコマを割ればいいのか」「ネームには何を書けばいいのか」というところから分からなかったんです。
さらに、ネームしたものをそのページだけペン入れしてしまって、後から「あ、やっぱ違う」とネームから描き直すという、アホみたいに非効率なこともしていました。
―― 本当の本当に描いたことがなかったんですね。
1ページのペン入れに2日くらいかかるのに残り1週間の時点で13ページくらい残っていて、「これ終わったわ……」と虚空を見上げていたのを覚えています。
しかし、「自分が原稿を落とす=他の絵師仲間をこんな地獄に巻き込んだ当事者が逃げだす」だったため、ここは何が何でもと思って、「風呂リセ」をすることにしました。
―― 風呂リセ?
ネトゲでよく徹夜していた仲間から聞いていた目を覚ます方法で、「眠くなったときに熱い風呂に入って脳をシャッキリさせる」というものです。
絶対にマネしてはいけないやつだと思うんですけど、輪をかけてアホだった僕は「頭まで熱いお湯に入ったらもっとシャッキリするはず!!」と徹夜1日目、熱い湯船に潜りました。
10秒くらいで上がるつもりがだんだん意識が遠のいて、お湯をゴボォと飲んで溺れかけました。
めちゃくちゃ目が覚めました。
―― 良かったですね、死ななくて。
徹夜3日目の深夜。残り2ページ書きあげればこの地獄から抜けられる、というところまでやってきました。
ですが、眠気が極限に達していて、もうレッドブルもアリナミンもユンケルも効きません。「もはや最後の手段。めちゃくちゃ熱い風呂リセをやったら目が覚めるのではないか」という状態でした。
湯船に潜ったら今度こそ死んでしまうと思ったので、フタを半ずらしにした状態で浴槽に入り、もし寝落ちても首がギリギリ引っ掛かるようにして、追いだきしました。
ところが、目の前がだんだんと白くなって、そのままズルンと頭が滑って浴槽へ。
―― あっ……。
そのときの衝撃が激しく、目が覚めて「死ぬ!! 死ぬ!!」と上がったのが、溺れかけた2回目です。
―― ちなみに、当初の目的通り絵はうまくなったのでしょうか?
“絵がうまくなりたいがために、同人イベントに応募してから企画を考える”というデスマーチみたいな方法、このあとも1年間くらい睡眠時間を極限まで削ってやっていました。
絵は短期間でメキメキと上達しましたが、エナドリの飲み過ぎでちょっとカフェインが入ったものを飲むだけで嘔吐するくらい体調をぶっ壊しました。それから細菌やウイルスにめちゃくちゃ弱くなり、流行時には必ずかかるようになりました。
絵を全く描かなくなってからけっこうな年数がたちますが、いまだに風邪にかかりやすかったりします。
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