アップリンク、ハラスメント告発の元従業員らと和解 原告側は「全て解決とは考えていない」映画業界の沈黙についても批判(1/2 ページ)
原告側は不満をにじませています。
映画会社アップリンクの元従業員5人が同社代表の浅井隆氏からパワーハラスメントを受けていたと訴えていた件について、両者は10月30日、訴訟が和解に至ったことを発表しました。
浅井代表は公式サイト上で、元従業員らや現従業員などに対して「これまでの私の対応によって傷つけたことを深く謝罪いたします」とあらためて謝罪。今後は社内に通報窓口を設置することや、第三者委員会の設置、アンガーマネジメントのセミナーへの参加など、再発防止のための対応を約束しました。
一方で元従業員らを代表する被害者の会は、和解に応じた理由を、同社が現従業員の負担を軽減するための仕組みづくりを優先することのほうが、裁判を続けるよりもより意味があると判断したためと説明。「私たち原告は、『円満』にも、そして『全てが解決した』とも考えておりません」と不満をにじませています。
被害者の会によると、確かにアップリンク側から直接謝罪を受ける場は設けられたものの、そこでは浅井代表が被害の訴えを「勘違い」であるかのように受け取り方をすり替えるなど、不信感を覚える対応があったとのこと。そうした対応は在籍時のハラスメントを想起させるもので、謝罪が形式的であるように感じたといい、問題が繰り返される懸念を強調しました。
また同会は、深刻なパワハラがあったにもかかわらず、業界関係者からは「沈黙」や「作品に罪はない」といった問題を矮小化する動きが見られた点も批判。「尊厳を犠牲にすることを前提とした働き方が日本の映画業界を支えている」と、業界全体の体質改善が必要であると呼びかけ。和解後も会は解散せず、映画業界に携わる労働者の権利回復をのための情報を発信していくとしています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.