「自分が自分を好きでいれることが大事」 「ミス・ワールド」日本代表の金谷鞠杏、18歳が伝えたい“美しさ”の価値観(1/3 ページ)
負けず嫌いから日本代表へ。
世界三大ミスコンテストの中で最も歴史が長いコンテスト「ミス・ワールド」2020年の日本代表に、ダンスボーカルユニット「GENIC」の金谷鞠杏(かねやまりあ)さんが選出されました。
「目的のある美」をスローガンに掲げ、選出された者の美に集まる力を社会貢献に生かすことを目的とする「ミス・ワールド」。水着審査も2015年に廃止され、単なる美人コンテストとは一線を画しています。
そんな「ミス・ワールド」2020年の日本代表に選ばれた金谷さんは、3月に高校を卒業したばかりの18歳。「私負けず嫌いなんです」と笑う表情からは、無邪気なかわいらしさが伺えましたが、代表に選ばれることを「ずっとイメージして、現実にするという気持ちでいました」と語る堂々としたいでたちは、日本代表にふさわしい凛とした美しさをまとっています。
一方、応募にいたった背景には、地元の秋田で経験した悔しさや、多才な人物であふれる芸能の世界で感じた比べられる無力さに悩んだことも。そんな金谷さんが、多様化する“美”への価値観を語りました。
全員仲間で全員ライバル、サバイバルーディションを勝ち抜き「GENIC」へ
――2019年春から夏にかけて行われたサバイバルオーディション「a-genic PROJECT」を見事勝ち抜き、「GENIC」を結成して1年たちました。ここまで、大変だったこととうれしかったことは何ですか?
大変だったことは、「a-genic PROJECT」のオーディションは12人のメンバーがいたのですが、その中で自分の色を出すこと。どうやって見ている方の注目を集めようかとか、そのためにどんな見せ方がいいのかというのを研究する毎日でした。
結果、納得のいく見せ方ができたことはなかったのですが、常に自分がよく見える角度を探したりする面では、今のグループ活動の中でも生きています。
――“自分の色”というのは?
12人中女の子が5人いた中で、私は一番年上だったので、“大人の女性らしさ”にフォーカスしました。年下の子たちは、元気で明るい感じが重視されるかなと思ったので、私は違う路線で行こうと。
例えば、立ち姿を見せるときにただ立っているだけではなく、首を少し傾げて首筋を見せるような意識をしたり、衣装にスリットが入っていたので、足の角度を少し内股にしてみたり、本当に細かい部分ですが、男性にはできない見せ方を研究しました。
――うれしかったことはどうでしょうか?
メンバーの仲はすごく深まりました。もちろん、オーディションなので誰かは受かって、誰かは落ちる。私もラストチャンスだと思ってオーディションに挑んでいました。そういった複雑な心情や勝ち残りたいという意思は全員が共通して持っていた気持ちなので、切磋琢磨(せっさたくま)し合いながらよき仲間でライバルという関係を築けました。
今でも「a-genic PROJECT」のメンバーとはご飯に行ったり、近況報告をし合ったりする仲なので、出会えてよかったです。
――金谷さんは地元の秋田でもグループ活動をされていたんですよね。オーディションに賭ける思いも強かったようですが、もともとアーティストになるのは夢だったのですか?
もともとは、モデルになるのが夢でした。いろいろなきっかけがあり、今のavexに所属していますが、最初、歌うことに自信がなくてためらいの気持ちがあったんです。そんな中、「GENIC」の前に女性7人組ダンス&ボーカルユニットで一度デビューを経験しました。そこでの経験もあってか、次は男女混合のグループに入りたいという気持ちが強くありました。
――男女混合のグループにこだわりがあったんですね。
先輩のAAAさんやlolさんを見ていたこともあり、男女混合は男性女性どちらの良さもあるし、どちらのファンもつくというところに魅力を感じました。
――「GENIC」の強みは?
私みたいに、「GENIC」の前にグループの経験をしてきたメンバーがほとんどで、一度挫折を味わっているというか……チャンスをつかむのに必死なメンバーがそろっていると思います。
同時期にavexに入って、5年くらい一緒にレッスンを受けてきたメンバーも中にはいます。グループに対する気持ちという面では、同じフィーリングの人が多いです。
あとは、セルフプロデュース的な面。メンバーの呈(じょう)と竜暉(りゅうき)は、作詞作曲編曲まで手掛けています。年齢の近い人が、こんなにこだわりを持って音楽に携わって、楽曲提供までできることに尊敬の気持ちがあります。私も何かグループにとって刺激になることができるといいなと思うので、ゆくゆくはGENICの衣装とかファッション面に関わっていきたいです。
――ちなみに、グループの中で金谷さんはどんな存在ですか?
担当としては、ヒーリング的なポジションなんです(笑)。
というのも、a-genic PROJECT時代に自分にキャッチコピーをつけることがあって、「しゃべるパワースポット」って書いたんです。自分と話すことを通して、相手がポジティブな気持ちになったり、いい気を持ち帰れたらいいなと思っているので、そういう存在になりたいです。
――「GENIC」結成1周年を迎えて、新曲「Celebration」を2日にリリースしたばかりですよね。そんな中でグループ活動と並行して「ミス・ワールド」に応募した理由はなんだったのでしょう?
いろいろな経験をさせていただく中で、誰かと比べられたりすることが多かったんです。自分って何ができるんだろう、と考えたときにすごく悔しい思いをして、何か人と違うことをしたい気持ちが強くありました。
地元でも「そんな夢かなうわけないよ」と言われてきた経験があって、私すごく負けず嫌いな性格なんです。見返したくて、知人にミス・ワールドの存在を教えていただいたとき、選出された人の“美”に集まる力を社会貢献に役立てるという理念や「目的のある美」という外見だけではない美しさを判断基準としたスローガンに共感して、今年だなと直感で決めました。
すごく個人的な理由でしたが、事務所に相談したら背中を押してくれたので、メンバーには内緒で受けました。
――ファイナリストに選ばれた時、メンバーはびっくりしたんじゃないですか?
していました(笑)。ファンの方にもお伝えしていなかったので、すごく驚かれていました。
――突然すぎますもんね(笑)。そして日本代表にまで選ばれてしまうという……。
当たり前ですが、コンテスト中は楽ではありませんでした。追い込まれている状況で自分がどこまで粘れるか、自分との戦いは苦労しました。でも、やると決めたからにはトップをとりたい……これも負けず嫌いですね(笑)。
――負けず嫌いが日本代表になったんですね。その肩書が与えた影響はありましたか?
コンテスト中、2019年日本代表の世良マリカさんのInstagramをずっと見て、自分が世良さんからティアラを受け取る姿をずっとイメージして、現実にする気持ちでいたので、正直、日本代表に選ばれたときは驚きというよりは「ありがとうございます」という堂々とした気持ちでした。
私は他のファイナリストの方たちと比べると、英語の能力はないですし、楽器を演奏できるわけでもない、留学経験もないです。なら、あいさつとか基本的な部分だけでも一番認められるようにやろう、努力次第で変えたい、という思いでした。
たまに、私でいいのかな、と弱気になるときもありますが、1年後、後任の方にティアラをお渡しするまでは、自分にしかできないことがたくさんあると思うので、経験を一個一個大切にしたいです。
――そのメンタルの強さというか……、芯が一本通っているような金谷さんの考え方の根本に影響しているものってなんなんでしょう?
私、本を読む人をちょっとばかにしていたことがあるんです。「真面目だよね」って。でも、ある日、プレゼントで偉人の名言をまとめた本をもらって、読んだときに心が楽になった気がしたんです。悩み事とかを自分で解決したいタイプなので、こういうときはこうしたらいいのか、という思考の方法を学びました。
それからはいろいろな本を読むようになって、今では自分の人間性という部分をもっと高めたいです。
目標とする人物はローラさん
――目標とされている人はいますか?
目標というよりは、個人的にすごくリスペクトしているのがモデルのローラさん。過去、バラエティー番組などでは奔放なキャラクターで活動されていましたが、今は自分の足でロサンゼルスに行って、勉強をして社会問題に取り組まれていますよね。ミス・ワールドも国際社会共通の目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)を大事にしているのですが、それを実践していることがすごくかっこいい。いつかお仕事でお会いするのが目標です。
――ファイナリストに選ばれた経験は、「GENIC」での活動にも生かされていますか?
これまでの私だったら縁のない世界だと思っていた人や、自分よりもはるかに知識が豊富な方、育った環境が全く違う人とお会いする機会がありました。そういう面では、マインドを考えるきっかけになりました。
ミス・ワールド事務局の方々が、感性を豊かにするためにいろいろなことを教えてくださるんです。例えば、ただハイブランドの物を身につけているだけではなく、身につけているものは時間をかけて丁寧に作られたものだと感じることに意味があるとか。アーティストもそういった気持ちは大事なので、生かされています。
――逆に課題と感じた部分はありますか?
一番は語学力です。あまりにもなさすぎて、情けないなと思うくらいです。
言葉というのは、コミュニケーションをとる上で、どうしても必要になります。いくら自分の意見が固まっていても、伝えられないと意思がないと見られてしまうので、もっと時間を有効に使って勉強すべきだなと痛感しました。
今は、少しずつですが、自分が楽しいと思える範囲から勉強しています。洋画を見たり、洋楽を和訳して覚えたり、英語学習法の一つであるシャドーイングを行っています。
あとは、体づくり。健康的な範囲で、自分の体の良さも取り入れつついい体を作っていきたいです。
美しさは「内面から滲み出るもの」
――ネットで金谷さんのスタイルの良さに注目が集まっていましたが、実際にお会いしてもすごくスタイルがいいです……。うらましい。
私、事務所に入ったばかりのころは今より8~9キロ太っていたんです。事務所からは「もう少し体重を落としなさい」と言われていて、パーソナルジムに通ったこともあるのですが、やっぱりお金も時間もかかる。
私の夢を応援して母親も一緒に上京してくれていたこともあり、あまりお金のかかる方法を選びたくないなという気持ちから、痩せたり太ったりを繰り返してすごく悩んでいた時期もありました。
でも、ダンスボーカルに必要な基礎を鍛える体幹トレーニングのレッスンでお世話になった先生が、真摯(しんし)に私の体と向き合って、運動面や食事面の面倒をみてくださったこともあって、「a-genic PROJECT」の終わりごろからストンと体重が落ちました。
そのあともスルスル痩せていったのですが、最近少し痩せすぎて不健康だなと感じて、ミス・ワールドが終わってからは自分で体幹トレーニングを取り入れたり、レッスンを再開したり、ミス・ワールドのスポンサーの方に協力していただいて、ジムに通ったり、パーソナルの体験に行ったりしています。
――ご自身の体の中で好きなところはありますか?
今、自分の細さは好きですが、そこに筋肉をつけていきたいので、今の体が一番好きかと言われると悩みますが……強いて挙げるなら、ずっと細くなりたかった脚です。すごく軽くなりました。デニムを履くのも好きになったので脚。今後は、お尻とか女性らしいラインを鍛えたいです。
ただ、私自身痩せたり太ったりしていたのですが、外見の美しさはその人が美しいと思った体が美しいと考えているので、ファンの方にダイエットを勧めたり、教えたりはしません。痩せた体を理想としている若い人が多いのですが、それは少し違うかなと。
関連記事
「何も食べなかったら痩せるのは当たり前」 14.7キロ減量のしゅはまはるみが思う“女性にとっていいからだ”
“RIZAP史上最高”ボディーのその後。伊達“独眼竜”政宗の子孫、ミス・ワールドで日本代表初の部門1位に 6カ国語を話す才色兼備
タレント部門1位を受賞した伊達佳内子さんは伊達政宗から21代目の直系子孫。「ヤバい位、可愛い」「コレは日本の宝」 ミス・ユニバース日本代表の加藤遊海、スラッと美脚のセーラー戦士に変身
これぞ日本文化の象徴。インパクトしかない 「ミス・ユニバース」タイ代表の衣装が車だった
トランスフォーマーみたい。「ミス・ユニバース」スリランカ代表がリボルテックな仏像っぽい
各国代表がわりとラスボス感ある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.