【座談会】Flash、今までありがとう――　あのころ、僕らが夢中になった「Flashの時代」を振り返る（前編）（4/5 ページ）

業界にショートアニメの需要が増えていき、Flashを仕事にする機運が高まった

セミナーに通っていたってことは、wosaさんは映像のプロになろうとしていたんですか？

いえ、それは全然ないです（笑）。純粋に高い技術を学びたかっただけでした。Flashイベントの運営としては、僕自身がFlash職人の方々に接してきて、圧倒的な力の差を感じてました。若い人達がセンスの塊で、自分にないものを全部持ってるんですよ。512kb君のセンスとか、もうすごすぎてね。

今見てもめちゃくちゃ笑えてカッコいいなー。塚原さんがFlash職人からプロを目指されたきっかけは？

一度もないんですよ。プロを目指した瞬間がないまま、目の前の楽しいだけをずっとやっていた結果が今なんです（笑）。2005年ごろに、2ちゃんねる系とはまた別に、ルンパロ・チータさん（@rumparo）やFROGMANさん（@ono_ryo1）のような人たちが、なんとかFlashを仕事にしようって機運というか動きがあったんですよね。その1年後に「THE FROGMAN SHOW」がテレビで放映されることになったころ、僕もDLEさんに誘われて就職したのがプロになった経緯です。

誘われて、映像関係のお仕事に就かれたんですね。

その後フリーになってしばらく続けていると「自分って本当は何がしたかったんだっけ？」って迷う時期がやってきました。そうこうしてる間に、世の中が「YouTubeだ」「ニコニコ動画だ」って時代になってきて。出す場所が違うだけで、作る側のやることは一緒なんですけど、世間的にも「Flashは過去のもの」って空気感が流れていて……。

「Flashは死んだ」的な言われ方をされるたびに、みんなカチンときましたよね、死んでねーしみたいな（笑）。

（笑）。それで2009年～2010年ごろだったかな。自主制作アニメブームが起こって、「フミコの告白」が発表されていた時期ですね。

塚原さんが悩まれていた時期も、NHKで星新一原作のアニメーション作品「うるさい相手」（2008年秋放送）の監督をされたり、経歴を積み上げていらっしゃったようですが。

この仕事は面白かったなー。そのころから業界内でショートアニメの需要が高まったんです。FROGMANさんしかり、森井ケンシロウさん（@morii）しかり。

森井さんは今期もTVアニメ「ぐらぶるっ！」が放映されていて、精力的に活動されてらっしゃいます。

たけはらみのるさんやみのぷうさんも、「異世界かるてっと」とか仕事されてますし。原点回帰して自分の作品を作りたくなって、2年近くかけて「端ノ向フ」（2012年）という作品を完成させて、「あ、作るってやっぱり楽しいな」って初期衝動を取り戻した形です。

「端ノ向フ」は塚原イズムの復活で、「あ、塚原さんだわー……」みたいなすごい安心感があったのを覚えてる。

それから「『端ノ向フ』みたいな感じでお願いします」って仕事が来るようになったのが今に至る転機になってますね。

（後編に続く）