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新幹線に「リモートワーク推奨車両」設定 JR東日本が考える「新幹線オフィス化」、何が変わるのか(1/2 ページ)

時速320キロの移動オフィスとは……!

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 JR東日本が、“新幹線の車内でリモートワーク”を実現する「リモートワーク推奨車両」を設けました。東北新幹線で2021年2月26日まで実証実験を行っています。


新幹線を“より”仕事しやすい空間にする実証実験「新幹線オフィス実証実験」(画像:JR東日本)

 新幹線の車内にはもともと、快適な座席があり、テーブルがあり、電源や通信環境も備えた専有スペースがあります。仕事の移動であっても乗っているときくらいは休もう、景色楽しもう、食べよう、飲もう、という人と同じくらい、PCを開いて普通に仕事をする人はたくさんいました。

 リモートワーク推奨車両とは、これまでと何が違うのでしょう。

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これまで列車内・座席でNGだった「通話」が許される

 リモートワーク推奨車両の実証実験は、東北新幹線(東京~仙台・盛岡・新青森駅間)の上下5本のうちの1車両を割り当てて行われました。新青森までのはやぶさは1号車、仙台までのやまびこのうち半数以上の列車は5号車に設定されました。


東北新幹線の一部列車に「リモートワーク推奨車両」を設定(画像は設定時のもの。2月19日現在、東北新幹線の運転見合わせにより、実験は一時中止)

 大きな変化は「通話」です。携帯電話の普及後、日本では「列車内の通話は周囲に迷惑なのでNG」とルール・マナー化されました。新幹線でも、電話がかかってきたら座席を離れ、デッキまで出て通話していました(一人移動時は荷物の防犯対策なども課題でした)。

 ビジネスにおいては、メールやチャットなどと同様に、会話・対面によるコミュニケーション手段もいまだ重要です。自宅でもどこでも仕事ができるようにするテレワークの普及とともに、Zoomなどでオンライン会議を行うことも急速に普及し、あたり前になりました。

 リモートワーク推奨車両は「座席での通話」が許されます。オンライン会議なども座席で行えるようにします。音量や業務内容の守秘などは自身で対策するなど、一定のルールやマナーは守る必要も当然あります。でも通話が許されるだけで、車内での仕事のしやすさ、リモートワークの効率はかなり上がりそうです。

ちなみに海外の長距離列車には……

 海外には、等級の違いのほかに、座席広々、電源コンセント付きでテーブルが広い「ビジネスゾーン」、会話禁止の「クワイエットゾーン」といった特殊エリアを明確に設けた長距離列車があります(関連記事)

 移動中も仕事をしたいビジネスパーソンや静かにくつろぎたい人たちと、小さな子どもがいる家族連れやワイワイ語り合いたい若者グループなどが「隣り合わずに済む」利点があります。新幹線のリモートワーク推奨車両も、このような考え方を取り入れた取り組みといえそうです。

各社と協力し、「Wi-Fiルーター」「会話漏れ低減装置」なども貸与

 このほか関係各社と協力し、通信環境(KDDIのWi-Fiルーター貸し出し)、会話漏れ低減装置(ヤマハのスピーチプライバシーシステム「VSP-2」)、アルコール除菌シート(富士フイルム「Hydro Ag+クロス」)、メガネ型ウェアラブルデバイス(Think Lab「JINS MEME」)の体験機会も提供します。

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リモートワーク推奨車両で合わせて体験できるツール

 ヤマハのVSP-2は、情報マスキング音を流すことで周囲への会話漏れを低減させる装置。第三者に聞かれる「漏えい」や周囲の会話が作業の妨げになる「侵害」を防ぎます。ソロワーキングスペースサービスを展開するThink Labは、車内でいかに集中できたかを測定してくれるメガネ型デバイスを体験できます。

「利用したいとき」にリモートワーク推奨車両へ移動する仕組み

 今回の実証実験では、

  1. リモートワーク推奨車両が連結されている新幹線に乗車
  2. オンライン会議や通話が必要なときにリモートワーク推奨車両に移動
  3. 案内係員に声をかけ、空いている席を使う

 の方法で、追加料金なしに利用できるようにしました。感染症流行の影響で大きく減便した成田エクスプレスを「駅で使えるシェアオフィススペース」にした施策(関連記事)と同様に、空いている席を有効活用する1案です。

 今後、実サービス化されるならば、最初からリモートワーク推奨車両の座席を予約して専有したり、駅ナカのシェアオフィスボックス(関連記事)のように使いたいときだけ時間課金制で提供したりするなど、ニーズに合わせたサービスの多様化も考えられます。


新幹線オフィス3つのポイント

リモートワーク推奨車両の座席例(1号車の場合)

 東京~仙台間は「やまびこ」で約2時間、「はやぶさ」だと1時間半ほど。約8時間の業務時間の中での2時間はかなり多いです。

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 感染症の流行によって、多くの人の働き方と生活に変化がありました。働く場所にとらわれなくなったので、それならば観光地などの良い環境でそのまま仕事をする「ワーケーション」といった考え方もじわじわと聞かれるようになってきました。

 時速320キロの新幹線の中で仕事をする。これまであたり前にあったようで、でも仕方ないと諦めていた不便もあったこの方法、もしかしたらもうすぐそこまで来ており、これ良さそう・ワタシならこう使ってみるなどとピンとくる人も多そうです。

 2月19日現在、2月13日に発生した地震に伴う東北新幹線の運転見合わせ(関連記事)により、実験は休止中です。

 JR東日本によると「東北新幹線は2月24日に全線復旧」の予定。この新幹線オフィス実証実験の再開や期間の延長なども、全線復旧のめどが立ち次第、あらためて検討するとしています。

 詳細の新幹線運行状況はJR東日本のWebサイトで確認できます。

少年B

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