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2020年3月、フランスが「感染症危険レベル2」に…… コロナ禍を外国で過ごした留学生が漫画でつづる“変化する日常”

帰国判断、買いだめ……当時のフランスでの記憶を振り返ります。

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 2020年3月、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行が原因で、多くの留学プログラムが中止になり、緊急帰国を余儀なくされた学生が続々と日本に帰ってきました。

 かくいう私もその1人。帰国直後は、念願の留学がこんな形で終わってしまったことがショックで、なかなか筆が進まなかったのですが、ようやく当時を振り返ることができるようになってきました。

 この連載では、マンガと文章で、フランス・リヨンでのコロナ流行当初の雰囲気や、帰国までの流れをお伝えします。

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書いた人:SONO

 1995年生まれ。漫画家。

 キリスト教、歴史を題材にした漫画を執筆している。著作に『教派擬人化漫画 ピューリたん』(キリスト新聞社)がある。

Twitter:@0164288

帰国しない理由

 2020年3月14日の深夜から飲食店の休業要請が出され、新型コロナ流行に対する緊張感が急激に高まったフランス。翌日の15日には、日本の大学から「日本外務省が定める感染症危険レベルが2(不要不急の渡航はやめてください)に達した段階で、留学プログラムを中止し、帰国要請を出す」という予告メールが届きました。

 それに引き続き、指導教官からも「留学を継続するか中止するか」の判断を問うメールが。フランスの状況は急速に変化しているので、日本側(外務省や大学)の判断を待ってから帰国準備をするのでは、例えば入国・出国制限が出されて帰れなくなる可能性もある、との忠告を受けました。

 このメールに対して、私は「帰国しません!」と返信しました。理由は主に2つ。まず、空港までの交通機関や飛行機の中で新型コロナに感染する・感染させる可能性があったこと。特に、この頃は留学生の帰国ラッシュが起こっていたので、空港や飛行機がかなり混雑……つまり「密」の状態になるのではないかと予想していました。

 次に、帰国後、実家にウィルスを持ち込んでしまう可能性があったこと。帰国時に症状が出ていなくても、すでにコロナに感染しているかもしれないと考えると、医療従事者の母親や80歳を超える祖母が一緒に暮らしている家に帰るのは、恐怖でしかありませんでした。それならば、フランスで寮にこもって1人で生活を続ける方が総合的にリスクが少ないと判断したのです。

気持ちの問題

 いま振り返ってみると、この判断にはかなり私情が絡んでいたと思います。留学開始直後の2019年8月末、私の祖父が亡くなりました。私は渡航したばかりで、これから履修登録やガイダンスを控えていたので、帰国せず留学を継続することにしました。祖父は介護施設に入居しており、渡航前からずっと体調が優れなかったので、留学中にもしものことがあってもいいようにと、きちんと挨拶を済ませていました。それでもやはり、葬儀に出席しなかったことがどこかで心残りだったのです。

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 「あの時帰国しなかったんだから、今回も帰国しない!」と、意地になる気持ちがどこかにありました。

レベル2への引き上げ

 3月16日、テレビ中継で大統領演説を聞くために歩いて10分ほどの距離にある友人宅(学生寮)を訪ねました。道中、お土産を買うためにスーパーに寄ると、平日なのに、いつになく混雑していて驚がくしました。正面にある公園にまで人があふれています。

 私も耳にしていた「今夜の演説で、外出自粛令が出されるのではないか?」という噂。おそらく、それに備えて「買いだめ」をする人々がスーパーに集結していたのです。多くの人が牛乳やトイレットペーパー類、そして大量の食材をカートに積んでレジ待ちの列に並んでいました。思い出されるのは、連日報道されていたイタリアでの外出自粛。フランスもあんな風に、街に人っ子一人いない、世紀末みたいな景色になってしまうんだろうか? 買いだめに走る不安な気持ちも、なんとなく理解できました。

 そしてこの時、ちょうど外務省からのお知らせメールを受信! 「フランスの感染症危険レベルを2に引き上げる」……ということは、大学からの帰国要請が出されるのも、時間の問題です。更に、帰国しないという判断をしている私は、大学に対して「帰国しない! なぜなら~」という交渉をしていかなければなりません。う~、憂鬱すぎる……。

 

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まさかのニュース

 「ああ……ついに危険レベル2になっちゃった……」とショックを受けつつ友人宅に到着すると、数名の留学生仲間が集まっていました。大学の方針で日本への帰国が決まった子は、持ち帰りきれない食材や家電製品、雑貨類を、フランス残留組(フランス人の友人や、私を含めた留学生)にゆずってくれました。

 一方、まだ大学からの正式な帰国要請を受けていない留学生たちは、いつ連絡が来るのか、もう帰国準備をしたほうがいいのか、それとも残留できる余地はあるのか、などを話し合っています。その部屋の主であるフランス人学生すら、「パリの実家に帰ったほうがいいのかな……」と心配な様子。

 そんな中で、私はめちゃくちゃな楽観性を発揮して「ま〜大学が出す帰国要請って、あくまで『要請』だからね! まだビザの期限は残ってるし、我々には移動しない自由があるぜ!」などとのたまっていたのでした……。

大統領演説

 そして迎えた夜8時、ついにマクロン大統領による演説がはじまります。私の脳内では「どんな内容が語られるんだ?」という不安よりも、「ちゃんとフランス語聞き取れるかな……?(リスニング苦手)」という不安の方が勝っていました。

 さて、大統領の語るコロナ対策は、いったいどんな内容なのか? やっぱり、外出禁止令は出されてしまうのか? そして筆者は、フランスにとどまることができるのか……? 第4回に続きます!

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