何にでも変身できるのに、なりたいものには何一つなれないミミックの少年―― 勇気を出して仲間と打ち解ける漫画が胸を打つ(1/2 ページ)
技能だけが理想じゃないんです。
どんなものにも変身(擬態)できるのに、本当になりたいものにはなることができない……。自分の殻を破ることができないミミックの少年を描いた漫画が、読む人に勇気を与えてくれます。作者は漫画家の設楽清人(@kiyotoshitara)さん。
舞台となるのは、さまざまな種族のモンスターたちが通う学校です。優等生である主人公・ミルは、どんなものにも瞬時に擬態することができる、天才的な変身能力の持ち主。しかし、そんな彼にも「変身できない」ものがありました。
授業で「ペアを組んだ相手にお互い擬態する」というお題を与えられ、見事ペアの相手、バンそっくりに変身するミル。一方のバンはなんだかヘンテコなミルに変身してしまい、同級生から「誰だよ」と突っ込まれます。しかし、変身が成功して褒められているはずのミルは何だかさえない表情です。
擬態はヘタでも、クラスのみんなからは人気者のバン。一方のミルは、いくら擬態がうまくても「人気者」「誰かの友達」にはなれないと悩みます。そう、これこそがミルがなりたくても「変身できない」ものでした。
そんなとき、擬態がうまくできないバンに指導する先生の言葉が、ミルの耳にも飛び込んできます。
「まずは挑戦するんだ」
「それがなりたいものへの最初の変化だよ」
まだ何もやっていないのに、できないとあきらめている自分。バンへの指導だったはずの言葉が、ミルの心に刺さります。そして休み時間。
バンたちのグループが放課後にサッカーをしようとしていたところ、メンバーの1人が休みで、できないことが判明。
「スッゲー楽しみにしてたのに」と騒ぐバン、あきらめて今日は帰ろうと言う他の仲間たち。そこへミルは、勇気を振り絞って話しかけます。
「代わりにやらせてくれないか?」
変化のための挑戦にふみきったミル。果たしてバンたちはミルを迎え入れるのか、ミルは自分の殻を破ることができるのか。物語はここから意外な展開を見せるのですが……続きはぜひ漫画で読んでみてください。
作者の設楽さんは、他の漫画家仲間と複数人で「ODAICOMIC」(@ODAI52043876)というアカウントを運営中。毎月の決まったテーマに沿って漫画を投稿する企画で、今回の漫画は6月のお題「変身」にちなんで投稿されたものでした。
今回紹介した「ミミックの見る夢」は設楽さんのpixivでも公開中。また、単行本『忍ぶな! チヨちゃん』(1~4巻)や、短編集『JUKE BOX 設楽清人作品集』も現在発売中です。
※作品提供:設楽清人さん(@kiyotoshitara)/ODAICOMIC(@ODAI52043876)
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