ニュース

壊された昭和のハンバーガー自販機、古びた色合いまで元通りに 粋な修理をした加工業者に称賛集まる(1/2 ページ)

古くて存在しない交換用部品を、退色した色味まで含めて再現。

advertisement

 何者かによって壊された、貴重なハンバーガー自動販売機を気の毒に思い、修理を申し出て元通りに直した加工業者に称賛の声が集まっています。ねとらぼ編集部では、修理を行った愛知県の企業・エッチアイ技研(@HIGIKEN)に引き受けた経緯を聞きました。

災難に遭った、懐かしのハンバーガー自販機。殴打されたらしく、スイッチが割れてしまっている
破損した部品を外し、復旧を待つ自販機

 被害に遭ったのは、昭和の自販機を多数復旧・稼働している「中古タイヤ市場相模原店」。当該のハンバーガー自販機は9月5日夜に壊され、ボタンは割れスイッチ内部も損傷していました。

 古い機械ゆえ交換用部品が取り寄せできず、修理は困難。この件はテレビなどでも報道され、貴重な品の喪失をいたむ声が多数上がりました。修理を手掛けることになったエッチアイ技研の社長も、ニュースに悲しんだ1人だったといいます。

advertisement

 「子どものころ、家族でのドライブ中、サービスエリアで買ってもらった思い出の自販機が今でも稼働していることに驚きつつ、その希少な自販機が壊されてしまったということで悲しい気持ちになりました」

 ――そんな思いから、社長は無償修理を申し出ることに。エッチアイ技研はプラスチック部品の試作・量産総合メーカーで、金型が失われたような年代物の再製造も手掛けており、今回の修理には適任だったといえるでしょう。

 部品製作を打診したところ、中古タイヤ市場から快諾があり、数日後には被害を免れたボタンが見本品として到着。これをレーザー測定器にかけ、設計データを作成しました。

被害を免れたボタンが、取り外されて見本品に
スキャンデータを元にCADデータを作成

 見本のボタンは経年劣化しており、素材が特定できませんでしたが、それなら強度に優れるボタンをと、担当者はムクのポリカーボネートから新たなボタンを削り出しました。

強度を重視し、鋳造ではなく削り出しで製造

 こうして形こそオリジナルにそっくりな部品が出来上がりましたが、新品のクリアーさがかえってネックに。退色した自販機にそのまま付けると、雰囲気が台無しになってしまいます。そこで、担当者は見本と同様の調色に挑戦。シビアな調整に苦労しながらも、古びたアメ色に仕上げました。

advertisement
ピカピカの新造パーツ。このまま取り付けてもまわりから浮いてしまう
見本(左)に合うよう、古びたように調色。ここでも強度を考慮して、塗装せずに染色している

 こだわりの部品は中古タイヤ市場へ届けられ、自販機は無事復旧し往時の姿を取り戻しました。担当者は「取り付け作業の最中にもお客さんがハンバーガーを買うため待機していて、このボタンをお店だけではなく、多くのかたがたが待ちわびていたのだとひしひしと感じ、胸が熱くなりました」と、取材に答えました。

新たに取り付けられたエッチアイ技研製パーツ(中央)。両隣に比べると傷がなく、若干新しく見えますが、また多くのお客さんが訪ねるごとに、周囲となじんでいくことでしょう
中古タイヤ市場からは感謝の印として、大量のラムネとハンバーガーがおみやげに

協力・画像提供:エッチアイ技研(@HIGIKEN

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
  3. 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  4. 刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
  5. 毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
  6. 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  7. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  8. 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  9. 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  10. 後輩が入手した50円玉→よく見ると…… “衝撃価値”の不良品硬貨が1000万表示 「コインショップへ持っていけ!」