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黒人初アカデミー主演男優賞シドニー・ポワチエ94歳で逝く オバマ「次世代の俳優へ扉開いた」(1/2 ページ)

一方、白人に都合の良い「アンクル・トム」との批判にも耐え後続へ道を示しました。

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 米俳優シドニー・ポワチエが1月7日(現地時間)、94歳で亡くなりました。バハマ国フィリップ・デイヴィス首相は声明を発表しています。

 シドニーはバハマでトマトを栽培していた両親がたまたま彼をアメリカで出産したため米国籍を持ち、15歳のとき父から渡された3ドルとともに単身渡米。1963年の映画「野のユリ」で黒人として初めてアカデミー主演男優賞を受賞し、教養があり知性的な役柄を黒人演じることが「特別なことではない」という認識を作り上げました。彼を尊敬するセレブらも彼の死を悼んでいます。


少女時代、アカデミー賞でリムジンから降りてくるシドニーをTVで見て仰天したというオプラ(オプラ・ウィンフリーのInstagramから)

 米トーク番組「オプラ・ウィンフリー・ショー」の司会を務めるタレントのオプラ・ウィンフリーはSNSで、「私にとって“Great Trees”(※マヤ・アンジェロウの死を語る詩)の最高峰はシドニー・ポワチエの死。彼をメンターとして、友人、きょうだい、親友、知の師として愛することができて光栄です。彼の素晴らしく優美で雄弁な人生へ、最大限の尊敬と称賛を。彼が持っていた大きな魂を、私はずっと大切にします。ジョアンナと彼の美しい娘さんたちの世界に祝福を」とシドニーを追悼し、妻と娘たちを気遣っています。

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 オプラは2000年のシドニーへのインタビューで、社会的地位の高い役柄を黒人俳優に切り開いた彼が今度は「白人に迎合し、白人に都合の良い黒人役を演じている」と、いわゆる“アンクル・トム”のレッテルを張られてしまったことについて言及しています。シドニーは「つらかった」と率直に回答し、また役柄を慎重に選んでいたことや、常に人種の質問に対処しつつも憤りを感じていることなども明かしています。

 そして米ジャズ・ミュージシャンのクインシー・ジョーンズがシドニーについて「映画におけるアフリカ系アメリカ人を創造、定義した」と評したことについて、「とても大きな責任だった」と述べ、「他の人が後に続くために、やらなければならないことがたくさんあった」と後続の黒人俳優たちのために背負ってきたものの大きさを感じさせる発言をしています。


シドニーへ2009年に米国自由勲章を授与した際の写真(バラク・オバマ元米大統領のInstagramから)

 さらに黒人初の米国大統領であったバラク・オバマは、妻ミシェルとともにシドニーを挟む写真をSNSで公開。「シドニー・ポワチエはその革新的な役柄と並外れた才能を通して気高さと品位を示し、私たちの絆を深める映画の力というものを見せてくれました。また、彼は次世代の俳優たちへ扉を開いた人でもあります。ミシェルと私は彼の家族と大勢のファンへ愛を送ります」と彼の功績をたたえています。


デンゼル・ワシントンと(レニー・クラヴィッツのInstagramから)

 米ミュージシャンのレニー・クラヴィッツは、シドニーと、米俳優デンゼル・ワシントンとの3ショットをSNSに投稿。「サー・シドニー。あなたの輝く光は弱まることがない。あなたが開いた扉、作り上げた道はこれからも夢見る人々の道を作り続けるはず。あなたはヴィジョンと品性があれば全てが可能になると世界に示しました。あなたの卓越性はこれからもずっと指標となります。バハマの王よ、安らかにお眠りください。あなたの美しい家族に私の愛と哀悼を」と大英帝国勲章も受勲されたシドニーに敬意を表しています。ともに写真に写るデンゼル・ワシントンは、まさにシドニーの切り開いた道に続いた俳優の代表格であり、じんとくる写真です。


多くの俳優にとって特別な人だった(ハル・ベリーのInstagramから)

 自身もアフリカ系米国人として初のアカデミー主演女優賞を受賞したハル・ベリーは、ハルが伸ばした手をシドニーが取って胸に当てるという美しい写真をSNSに投稿。長いコメントともにシドニーへ哀悼を示しており、彼が特別な存在であったことを感じさせています。

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 シドニー・ポワチエは著書『LIFE BEYOND MEASURE』のなかで、“友人が亡くなると、自分が少しすり減る”といっています。親愛なるシドニー、あなたの死で私の魂の大部分が涙を流している。あなたが地球上で過ごした94年間、その比類ない才能で消えることない痕跡を残し、黒人が自分をありのまま、あますことなく表現できるようにしてくれた。あなたはアイコニックな先駆者で、素晴らしい人生を生き抜いた。私はあなたに憧れながら育って、初めて会った日のことをずっと覚えています。人生の中で、言葉を失ってしまったのはそのときだけ! 私は言葉が出なかったけれど、あなたはその後何十年にもわたる私たちの友情においてずっとそうだったように、優美でチャーミングな人でした。最愛のシドニー、安らかに眠って。あなたは今までも、これからも真の意味で基準となる。

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