ウミガメの排せつ物から不織布マスク、世界初確認 5社中4社の市販マスクから環境ホルモンを検出(1/2 ページ)
ウミガメが不織布マスクを摂食していたことが分かりました。
東京農工大学大学院と東京大学大気海洋研究所による共同研究で、ウミガメが不織布マスクを摂食していることに加え、一般に販売されている不織布マスクから環境ホルモンが検出されたことが確認されました。
2021年8月、岩手県沿岸で混獲されたアオウミガメの排せつ物からマスクが発見され、その後のポリマー分析によってポリプロピレン製の不織布マスクであることが判明しました。
発見された場所は、過去15年以上に渡りウミガメ類の生態調査を行っている地域。ウミガメからマスクが出てきた例は今回が初だとのこと。
なお、マスクは排せつ物から確認されているため、ウミガメが消化管内でゴミを詰まらせている危険性はないと判断されると同時に、プラスチックを飲み込んだことによる海の生態系への環境汚染が懸念されました。
市販されている5社のマスクについてプラスチック添加剤(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)の分析を行った結果、5社中4社のマスクから6種類の添加剤を検出。特に1社は高濃度の数値となりましたが、今回見つかったマスクにも添加剤が含まれていたかは明らかになっていません。
しかし今回の研究結果では海洋生物がマスクを誤飲することで、生物たちがプラスチックの添加剤に曝露(ばくろ)される可能性があることを示しています。
同チームは、近年のコロナ禍において人間の生活様式が変化したことにより、海の生物にも影響がでていることを今回の研究で示しました。マスクを含むPPE(個人用防護具)の使用はしばらく増え続けると見られ、廃棄物管理の徹底や安全性の高い添加剤への変更が必要だと説明しています。
この研究成果は、2022年2月8日に「Marine Pollution Bulletin」に掲載されました。
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