鏡に映る自分の姿にぼうぜん…… メンズメイクにハマっていくサラリーマンを描く漫画『僕はメイクしてみることにした』が話題、作者に話を聞いた(2/3 ページ)
元気と勇気をもらえる漫画です。
――『僕はメイクしてみることにした』の原案は鎌塚亮さんのエッセイです。こうした原案の漫画化に当たって大変だったこと、やりがいを感じたことを教えてください
糸井さん: 原案や原作ものは、単純に作品が好きでないとその世界観をイメージして絵に落とし込むことが難しいので、お話をいただいたときに、鎌塚さんのエッセイにひかれるかどうかが一番大事なポイントだったと思います。
読んでみると、メイクの成功や失敗への共感や男性側の視点に考えさせられたり、何より鎌塚さんご自身のメイクを通してのご自分との向き合いにとても感銘を受けました。
もちろん、主人公の一朗と鎌塚さんは全く違っているので、経験や成長の度合いをどんな風に表現するかは苦労しましたが、エッセイの空気を漫画の中に流していくことはすごくやりがいを感じました。
――作中ではスキンケアグッズやコスメなど、具体的な商品が出てきてとても参考になりました。こうしたアイテムは鎌塚亮さんのエッセイで登場したものありますが、どのように選定されたのでしょうか
糸井さん: 本文に出てくる商品は全て鎌塚さんに選んでもらいました。値段も幅をもたせ、男性が買いやすい通販やドラッグストアで購入できるものを選んでくださったそうです。描いてたら欲しくなってしまって私もいくつか買いました。
――作中ではメンズメイクを試せるショップなども紹介されています。こうした場所やメンズメイク当事者への取材を通して気付いたことはありましたか
糸井さん: 周りの男性に聞いてみると、全くしていない人もいるんですが、スキンケアは日常としてやっていたり、日焼け止めを塗っていたり、私が知らなかっただけで結構やってる方はいるんですよね。
このコロナ禍で気軽に出歩かなくなりましたが、商業施設に行くとメンズメイクコーナーが増えたなと感じます。どこまでこの流れが広がるのか、それによって男性の認識に変化はあるのか、興味深く見ています。
――メンズメイクに興味があるけど踏み出せない人に向けて、伝えたいことがあれば教えてください
糸井さん: 初めてのことって怖いですよね……恥かくかもしれないし。でもメイクだけじゃなく美容って、やってみて失敗したと思ったら引いてみて、もっとやってみたくなったら足してみてができるので、割と気軽にやってみていいんじゃないかなと思います。実際私も何度も失敗してます。
――もし差し支えなければ、糸井さんご自身のメイクに対するスタンスなどを教えてください
糸井さん: 本文に出てくる真栄田さん(一朗の職場の同僚で、メイクをする自由もしない自由もあることを教えてくれる女性)のスタンスと同じです。
私自身は運がよかったことにメイクを強制される職場にいたことはないんですが、メイクはしたい時にすればいいという考えです。あと、友達などがすてきなメイクやネイルをしているのを見かけたときは、割と積極的に言うようにしています。
――最後に、漫画の反響について感想を聞かせてください
糸井さん: もともと素晴らしい企画でしたのでどんな反響があるんだろうと楽しみにしてましたが、こんなに反響をいただけるとは思ってもいませんでした。いろんな方々に届いてるなあというのを編集さんとともに実感しています。ありがとうございます!
作品提供:糸井のぞさん(@amazake_chan)
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