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ゆるふわ女子の日々を眺めながら、凄惨な中学生の悲劇を追う 2回目の「Project:;COLD」は情報量マシマシ、エモさマシマシあのキャラに花束を(1/5 ページ)

謎解きに必要な情報もノイズも、制作者の愛でいっぱい。

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 その子たちの命を救えるかどうかは、キミの手にかかっている。セーブとロードはできない。

 不可逆性SNSミステリー「Project:;COLD(プロジェクトコールド)」。1回参加したらもう二度と戻れない。2020年~2021年にかけては1回目の「case.613」が、そして2022年の3月には2回目の「case.633」が開催されました。

 あたかも現実かのようにSNSを通じて事件が起こり、拡散される。そこに実際に参加して、解決していく。惨劇が止められるかどうかは、参加者には分からない。

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 現実と仮想を曖昧にした、独自に進化しまくった次世代のエンタメです。一般的なゲームと違って繰り返し体験することができません、1回限りです。4月1日にシーズンの2回目が完結したばかりなのですぐに体験するのは無理なのですが、紹介させていただきます。今回グレードアップした上に、次の体験の機会がありそうだからです。そのときに、見逃さないでほしいからです。

ライター:たまごまご

道民ライター。マンガ・アニメ・VTuber・サブカルチャー中心に活動中。「MoguraVR」「クイックジャパンウェブ」「コミスペ!」「PASH!」「コンプティーク」などで執筆中。萌え系学習書を数冊出してます。好きなマンガは女の子が殴り合うやつ。
Twitter:https://twitter.com/tamagomago
ブログ:https://makaronisan.hatenablog.com/

 

昨日話していた女の子が明日死ぬ「case.613」

 めちゃくちゃざっくりと言うと「子どもたちを巻き込んだ惨劇が起きる」「SNSで事実であるかのようにリアルタイムで情報が出る」「随所にちりばめられたヒントをもとに協力して謎を解く」という、SNSを利用した大型脱出ゲーム的なエンタテインメントです。まずは一回目の「case.613」を振り返ってみます。

 2020年、なんの予告もなく最初にアップされたのは女子高生バンドグループ「都まんじゅう(以下・公式略称「みやまん」)」の動画でした。当時は、新しいVTuberなのかなーくらいに思われていました。バンドメンバー個性豊かな女の子6人登場で和気あいあい。まんがタイムきららさながらのふわふわ青春タイムがはじまるかと、思われました。

本当かウソか分からないと、ひたすら心臓に悪いやつ

 ところがこの佐久間ヒカリのTwitterに、投稿がありました「佐久間ヒカリの母です ヒカリが27日永眠いたしました 生前は仲良くしてくださり 本当にありがとうございました(現在は物語内での世界改変が入ったため投稿者名が変更されています)」

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 めちゃくちゃ心臓に悪い。みやまんの子たちって当たり前の女子高生のツイートしてなかった? ファンのコメントにたまにレスしてたよね。昨日話していた女の子が、死んだの? 悪いジョークだ。

 このイベントを知らない第三者が見たら、本当の死亡事件だと勘違いしかねない。良くも悪くもちょっと騒然としすぎちゃったためこれ以降は「フィクションです」の文字が動画などに入るようになりました。そのくらいSNSのリアルとフィクションの曖昧さを露呈した瞬間でした。

 動画、Twitterをはじめとして、公式サイトや“ずっと真夜中でいいのに。”のMV、舞台になっている市の広報、メール、VRChatなどありとあらゆる「情報媒体」に伏線が散りばめられ、ファン(融解班と名付けられています)は彼女たちを救うべく奔走しました。

 今からでも過去の物語の流れは楽しむことができます。でもSNSにでつながった身近に感じられた子たちが死んだ絶望感、救うためにSNSで知らない人と全力で協力したことなどの「体験」はあまりにも強烈。どんなに言葉で説明しても伝わらない、その時参加した人にしか感じられないものでした。

 6人は融解班の協力の結果全員救われ、事件解決後に間をおいてから高校をちゃんと卒業します。時系列に沿って6人のキャラクターが成長し、今もちゃんと生き続けている、というのもこのプロジェクトのすごみでした。

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<漂流プロジェクト>Project:;COLD case.613を終えて|藤澤 仁|note

 制作者による裏話もアップされています。「最終回まで実名を伏せたのは、作品自体が持つ神秘性を損ねたくないという想いがあったためだ。」とあるように、脚本・総監督名は最後まで出ませんでした。出さないことで没入させる、世界観を作るクリエイターの意地を感じます。

 

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