いよいよ放送開始、アニメ「5億年ボタン」菅原そうた監督インタビュー 今も語られ続ける伝説的漫画は“原作者本人”の手でどう生まれ変わったか(3/3 ページ)
トレパネーション、スワンプマン、哲学的ゾンビ、水槽の脳……出てくる単語にゾクゾクさせられます。
パラダイムシフトを目指して
―― CGといえば今回VRoid(※)を積極的に用いられているそうですが、使ってみていかがでしたか?
※VRoid:パラメーターを操作することで簡単に人型の3Dモデルを作ることのできるツール。自由度が高くこだわったモデルも制作することができ、現在はVTuberやメタバースのアバター制作ツールとしても多数使用されている
菅原:みんなが使えて幸せになれる神ツールだと思います。極まっているモデラーさんからしたらさすがにかゆいところに手が届かないと思うんですけど、テクスチャを貼り付けるだけで衣装チェンジできちゃうとか、めちゃくちゃコスパがいいです。モデリングの知識がない人でもすぐ参入できますから、もしこれでプロの商業アニメ制作がアリだったら、世界がまた一枚更新されるかな。中身の面白さだけで勝負できますね。VRoidでのアニメを受け止めてくれている、放送局・配信各社様もすごいですね! VRoidモデルの自作パーツデータをネットで売ってくださって、モデルを使った映像のBlu-ray収録も配信もグッズ制作も、法人商用でも使っていいとおっしゃってくださる各ショップさんも太っ腹ですごいです。
―― 今作で特に注目してほしいポイントはありますか?
菅原:内容が毎回目まぐるしく変わるので、1話で切らないでほしいです。2話目でびっくりさせます。3話目でさらにびっくりさせます。4話目でもっとびっくりさせます。毎回予想外のことを起こします。どんどん面白くなっていきますので、1話目が一番つまらなく作ってあります。1話目で合わなかった人は、7話目でもう一回見てください。思考実験が起こってますので。
―― 考察が好きなアニメファンの方たちが既に期待しているようですが、いかがですか?
菅原:3話目が一回見ただけでは過食気味になるくらい内容が多いので、満腹になると思うんですけどそこはほじくってほしいです。本来ドラマとして見せるべきものを、一回全部本気で、原液のまま言葉で言っちゃうエンターテインメントもあってもいいんじゃないか? という実験をわざとやっています。文学の世界では浅はかなのは分かったうえで、あえてやりました。ドラマにまぜるとどうしても極薄のほんのちょっと要素しか入らない上に、みんなが実は作者の言ってること理解できていないで終わっちゃうケースがめちゃくちゃあって。
―― かなり攻めた構成になっていそうですね……。
菅原:ぼくはいつも10年残るものを目指しているので、今はなんとかパラダイムシフトを起こしたいと思っています。パラダイムシフトがあるものは反論があって当然だと思うので、ちょっとえらそうすぎますけど、10年後は許容されているかもなと思って、アニメを見てもらいたいですね。
―― そもそも「5億年ボタン」のネタ自体が、ネットで20年のパラダイムシフトを起こしているんですよね。
菅原:10年後20年後には、ぼくみたいにやりたい放題な番組作ってくれるような時代になればいいなと思っていますね。
(たまごまご)
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