ゴジラの人形劇「ゴジばん」がYouTube上でじわじわ話題に! 制作現場を取材しヒットの秘密を探ってきた(2/2 ページ)
ゴジラシリーズを題材にした人形劇番組で、世界中から絶賛のコメントが寄せられています。
「ゴジばん」の番組タイトルに込められた意外な意味
――「ゴジばん」を「GEMSTONE」プロジェクトに応募したのはどういう経緯だったのでしょうか。
小林:「ゴジラ FINAL WARS」の公開に合わせて東宝怪獣15体が出演する「怪獣人形劇・ゲキゴジ」を2004年から1年間、青山こどもの城やマルイなどで公演させていただいたこともあり、ずっと「ゴジラをやりたいな」という思いを持っていました。
一方、ゴジラはテレビシリーズではなく映画が主なので、リアル志向でなければならなかったり、いろいろなストーリーを展開させるのが難しかったりと制約が多い作品でもあります。既存の男性のファンの方には人形劇を受け入れてもらいにくいし、人形劇を見てくださる女性やお子さんにはそもそもゴジラファンが少ないし、どうしようと思っていたところで「シン・ゴジラ」ブームがやってきました。
「GEMSTONE」プロジェクトのことは知人から教えてもらって知ったのですが、それが締め切りの2カ月前。かなり仕事も忙しい時期でしたが、「ここで作らなければ一生機会がない」と思い、通常の仕事と並行しながら不眠不休で脚本とパペットを作りました。
――YouTubeには応募作品(プロトタイプ)がアップされていますが、現在の「ゴジばん」と変わらぬクオリティーで驚きました。
小林:ゴジばんでやるフォーマットはほぼ入れた状態でとにかく人形を作って、撮って編集してを繰り返して締め切りの10分前にアップロードしたんですよ(苦笑)。3作品作ったのですが、サーバーが混んでいて、そのうち2本は受付されているのかすらわからない状態だったんですが、応募作品には人形劇を応援してくれている子どもさんたちやイラストレーターなどがボランティアで協力してくださっていることもあり、「もしこれで応募できていなかったら生きていけないな……」としばらくは寝られませんでした。
おかげさまで応募はきちんとできていて、受賞が2020年4月に決まりました。そこで5月に東宝へご挨拶に行くことになったのですが、「夏からYouTubeでレギュラー配信しましょう」というありがたいお話をいただき、「ゴジばん」が本格的にスタートすることになりました。
――ずっと気になっていたのですが、「ゴジラの番組」だから「ゴジばん」なのでしょうか。
小林:いえ、違います。「ゴジラの世界をバーンと皆さんにお届けする」から「ゴジばん」です。いうなれば「GODZILLA BANG!!」です。
「ゴジばん」の使命
――小林さんは「ゴジばん」をどんな存在にしていきたいですか。
小林:大ヒットしてほしいというよりも、いつも「ゴジばん」があって、ゴジラの映画が作られたときにも子どもたちはゴジラを知っている――というような存在になってほしいですね。
最近、女性の方やお子さんなどゴジラに接点のなかった人が「ゴジばん」きっかけで映画を見るということが増えてきているのだそうです。ゴジラはただ街を破壊する怖い怪獣というのではなく、「あのゴジラくんたちが映画ではこんな風に頑張っているんだ!」と怪獣たちの気持ちを汲み取ってもらえるような流れになっていってもらえたらうれしいですね。
――「吹き出しで会話」したり「水平移動ドロップキック」をしたりと往年のゴジラファンもクスッとくるポイントもきちんと押さえていて本当にすごいなと思います。12月21日には撮り下ろしの新作映像2作品を含む「ゴジばん」Blu-ray&DVDが発売となります。見どころを教えてください。
小林:もちろん元々のゴジラファンの方にも楽しんでいただきたいので、撮り下ろしの「地球最大のオール怪獣総進撃」に関しては構図も全く同じ闘いを再現したカットや尺も揃えて音を入れ替えたらそのまま見られるようなカットもあります。
――またゴジラファンを激震させたのが同じく撮り下ろし作品の「モスラVSバガン 序章」の発表です。幻の怪獣とも言われており、スーパーファミコン用のソフト「超ゴジラ」にのみ登場するバガンがまさか「ゴジばん」にやってくるとは思いませんでした。
小林:絶対にリメイクしてもらえないだろうなという怪獣を出してあげたいと思っていて、その究極がバガンだったのですが、バガン自身も「俺、『ゴジばん』に出るの?」と思っていると思います(笑)。ぜひ新作も楽しみにしていただけたらと思います。
――最後にファンの皆さんへ一言お願いします。
小林:怪獣愛をこめて怪獣たちのために作品を作っているので、「ゴジばん」がきっかけでゴジラや怪獣のことを好きになる方が増えてくださったらとてもうれしいです。TwitterやSNSで応援していただけていることはとても励みになっており、ファンの皆さんには本当に感謝しています。これからもよろしくお願いします。
監督・脚本・造形・編集・音楽制作から20体以上のキャラクターのアフレコ、実演までを行う小林さんは、「ゴジラは話してはいけない」「物を食べてはいけない」といったゴジラの掟を真っ向からぶち破りつつ、その全てをゴジラ愛でカバーしてしまった熱いゴジラファンです。
怪獣について語る小林さんは常にニコニコと楽しそうで、キングギドラのうろこを貼り付けさせたら右に出るものはいないという美術の久保田純子さんもそんな小林さんの姿を楽しそうに眺めており、これだけ怪獣たちを愛している人たちが手がける作品だからこそ、「ゴジばん」が多くの人に受け入れられ、人気を博しているのだと感じました。
12月21日にはBlu-ray&DVDが発売される「ゴジばん」。12月16日から12月29日の期間限定でBlu-ray&DVDの発売を記念して、東京・青梅市のCINEMA NEKO(シネマネコ)にてBlu-ray&DVDに収録されている本編(4作品)の上映が決定したので大きなスクリーンで「ゴジばん」を鑑賞してみるのも楽しそうです。
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(Kikka)
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