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母猫を探し、鳴き叫びながら孤独にさまよっていた子猫を保護 心の傷をケアしながら今も母猫を探し続ける飼い主の思いに感銘を受ける

第15回は茶トラ柄の子猫です。

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 近年、動物の虐待や飼育放棄、悪質な業者による販売、不適切な飼養が社会問題となっています。個人や団体、地域が行き場をなくした動物たちを守るため、日々保護活動に取り組む一方で、動物たちが命を失う悲劇は後を絶ちません。

 昨今、COVID-19(新型コロナウイルス感染症/以下、コロナ)の影響でペットを飼う人が増加。一般社団法人ペットフード協会全国犬猫飼育実態調査によると、2021年の新規飼育者は犬がわずかに減少しているものの猫は昨年より多く、ともにコロナ前より増加している結果となっています。

 そんなペットブームの裏には、多頭飼育崩壊や飼育放棄などの問題が潜んでいます。家族の一員としてかわいがられるペットたちが多くいる一方、飼育放棄されたたくさんの犬猫たちが愛情を求め、里親を探しているのです

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 そこで、ねとらぼ生物部では保護動物と暮らす読者にアンケートを実施。寄せられた数々のエピソードと写真を紹介するとともに、尊ぶべき命の輝きや、愛する家族との暮らしの喜びを伝えていきます。


ママ猫を探してさまよっていた子猫のお話

 第15回は飼い主・どうぶつの子(@tukusakukengon)さんと暮らす子猫(現在の年齢:生後1カ月半~2カ月)。ママ猫を探してさまよっていた子猫との出会いや、保護時のエピソードをご紹介します。

―― 子猫との出会いと、保護当時の状況を教えてください

 どうぶつの子さん:子猫と出会ったのは、2022年の11月15日です。最初は泣き声がするだけで姿が見えず、子猫の月齢や居場所も分からない状態でした。


ひとりで鳴いていました

警戒心が強いようです

 そのあと姿を見つけても逃げてしまい、なかなか保護できず……2日間鳴き続けていたのでかなり焦りましたね。子猫はママ猫を探していたようで、大きな声で鳴きながらさまよい続けていたんです。

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今はごはんをたくさん食べてくれます

 「ママ猫とはぐれてから何か食べられていたのだろうか」とか、外の寒さが心配でした。私は普段、野良猫さんへの避妊・去勢手術をする活動をしているので、いろいろな方法や道具を試して、翌日の夜に何とか保護することができました。

 保護後に動物病院へ行ったところ、ノミがいたため駆虫し、先生からは「痩せているので食べるかどうかしっかり見ていくように」と言われました。お家に来てから最初の1週間は、とにかく怖がっている様子で、ママ猫を呼ぶ鳴き声はこちらも悲しくなるほどでした……。


今でもママ猫を探して鳴いています……

―― 子猫の現在の様子を教えてください

 どうぶつの子さん:まだ触ることができないので、人慣れにはもう少し時間がかかりそうです。ただしっかりゴハンを食べて元気そうにしてくれています。


1日でも早くママ猫が見つかりますように

 子猫を保護して終わりでは、また同じことが繰り返し起きてしまうので、ママ猫さんは保護かTNR(※)をして、避妊手術を行い、繁殖を止めていくことが必要です。引き続きママ猫さんを探しています。

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※野良猫を捕獲(Trap)し、避妊・去勢手術(Neuter)を行い、元の場所に戻す(Return)活動のこと。望まぬ妊娠・出産を防ぐことで、野良猫の数や殺処分を減らせると考えられている。その後の見守りや管理(Management)も含めて、最近ではTNRMと呼ばれている


人間に甘えてくれるようになるとうれしいですね

―― 最後に、保護動物に対する思いを聞かせてください

 どうぶつの子さん:私の場合は経験があったため保護できましたが、保護したくても捕まえることができない方はたくさんいらっしゃると思います。もし、保護したいけど捕まえることができない場合、諦めずに一度地域の動物ボランティアや愛護団体に相談して専用の保護器を借りたり、アドバイスを聞いたりしてみてほしいです。

 寒さや飢えで苦しんだり、車にひかれたりして命を落とす子は絶えません。最近は猫や動物への虐待も増えてきています。野良として生きていくのにはとても過酷な世の中であり、さらに各地域の愛護センターや保健所などで殺処分されるほとんどが飼い主不明(野良猫)の幼齢猫です。地域の人それぞれが考え、対策して野良猫さんに避妊・去勢手術をすることで繁殖を減らしていくこと、そして地域猫活動(※)やTNRが広まることが大切だと感じます。

(※)地域の人たちで話し合い、野良猫への避妊・去勢手術やリターン後の給餌、管理の活動を地域の人が主体となり行う活動のこと

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つらい思いをする動物がいなくなりますように

 そして、飼い猫さんが避妊手術をせずに繁殖してしまい、多頭崩壊するパターンも非常に増えており、結局は猫が犠牲になってしまいます。ボランティアや愛護団体の受け皿には限度がありますし、里親さんも簡単には決まりません。受け皿に頼らず、蛇口を閉めていくことも肝心かと思います。繁殖を止めていき、保護されなければいけない子、そして各地域の保健所や愛護センター、管理センターなどの施設に収容されてしまう子を減らしていくことが大事なのではないでしょうか。

(了)

 最初は姿すら確認することができなかった子猫。日頃からTNRや保護活動を行い、つらい思いをする猫ちゃんたちを少しでも減らしたいと願うどうぶつの子さんの強い思いが伝わります。また、日頃の経験があったからこそ保護の成功へとつながったのでしょう。

 ママ猫とはぐれてしまった子猫の境遇から、外の世界が非常に過酷であることが分かります。さまざまな理由で命を落とす猫ちゃんがたくさんいるという事実をあらためて実感するエピソードでした。

 子猫のためにママ猫を探し続けているどうぶつの子さんの努力に感銘を受けるとともに、1日も早くママ猫が見つかることを願わずにはいられません。すでに猫ちゃんと暮らしている人も野良猫を見守る地域の人も、あらゆる人々が対策を考えて行動することがいかに大切かを感じさせられます。

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 どうぶつの子さんのTwitterアカウント(@tukusakukengon)では、今回保護した子猫の現在の様子や、同居する保護猫たちの姿が見られます。また、保護活動についても情報を発信中です。

 ねとらぼ生物部では、引き続き「保護動物のエピソード&お写真」を募集しています! 犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。

お待ちしています!

 愛する家族との出会いのエピソードや、クスッと笑ってしまうかわいいお写真など、お気軽に【こちら】までお寄せください。生き物にまつわるさまざまな謎を調べる「あの謎を調べて!」も大募集中です! 皆さまからのご応募、お待ちしています。

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