近年、動物の虐待や飼育放棄、悪質な業者による販売、不適切な飼養が社会問題となっています。個人や団体、地域が行き場をなくした動物たちを守るため、日々保護活動に取り組む一方で、動物たちが命を失う悲劇は後を絶ちません。
環境省Webサイト「動物の愛護と適切な管理」は、2020年4月1日〜2021年3月31日に殺処分された犬・猫の全国総数が2万3764匹と発表。昨今、国内では殺処分への否定的な意見と保護への関心が高まり、殺処分数は減少傾向、保護犬・猫の譲渡数は増加傾向を見せています。微力でも地道に保護という選択を伝え続けていくことが、動物たちの命を守ることにつながるかもしれません。
そこで、ねとらぼ生物部では保護動物と暮らす読者にアンケートを実施。寄せられた数々のエピソードと写真を紹介するとともに、尊ぶべき命の輝きや、愛する家族との暮らしの喜びを伝えていきます。
第11回は飼い主・ねこさんと暮らす猫「なお」ちゃん(現在の年齢:1歳半)と「ハル」ちゃん(現在の年齢:6カ月)です。まるで“NNN(※)”に導かれるように出会った2匹の成長とかわいらしいエピソードをご紹介します。
※「ねこねこネットワーク」の略で、猫好きの人間に野良猫を派遣し、飼い猫として幸せに暮らしていけるよう暗躍する謎の組織といわれている
―― 2匹との出会いと、保護当時の状況を教えてください
ねこさん:なおを最初に見かけたのは、2021年の夏ごろ。アパートの駐車場によくいる推定生後半年の子猫で、秋前に「家来る?」と声をかけたら付いてきました。
誰にでもフレンドリーで人懐っこかったので、「どこかで飼われているのか?」と周りの人に聞きましたが「野良だろう」とのこと。誰にでもすり寄っていくような優しい性格で、運命と感じました。
保護後すぐに慣れてくれて、元野良と思えないほど悪さをしませんでした。しかし外には出たがるので、避妊手術をするまでは散歩へ出ていました。ちゃんと家が分かっているようで、アパートのドアの前で「開けて!」って鳴いてましたね。
ハルは2022年6月頭に、車のホイールの中で鳴いているところを発見。生後1カ月たったかどうかくらいの小さな子猫で、その場に親は見当たらず、兄弟らしき猫もいないようでした。置いていくにも忍びなく、段ボールを調達して連れて帰ることにしました。
なおと仲良くできるか心配だったので、2匹の部屋を分けることに。ハルは大きめの段ボールに入れ、しばらく過ごしてもらいました。
1週間ほど後に2匹の顔を合わせてみましたが、お互いに威嚇しあっていました。しかしさらに1週間後には、2匹で並んでいる姿が見られるようになりました。
―― 2匹の現在の様子を教えてください
ねこさん:ハルは何に対しても全力すぎて、かみ癖があったり悪さをしたりすることもありますが、なおの指導のもと、少しずつ修正されています。
また、今では2匹仲良くしていることが増えましたが、取っ組み合いが始まることもあるので、私が仕事で家にいないときは、ハルをケージに入れるようにしています。
ハルを放しておくと、帰ったときになおがすごく疲れていたり、苛立っていたりすることがあるので……。人間の目が届かないときは離しておくほうが良いのかな? と。
―― 最後に、保護動物に対する思いを聞かせてください
ねこさん:アパートの規約で“飼育は2匹まで”とあるので、これ以上は引き取れませんが、また困っている子がいたら手を差しのべてしまうんだろうなと(笑)。そのときは1番良い方法で解決したいと思います。
(了)
個性豊かな2匹とのにぎやかな日々の様子に思わず頬が緩むエピソードでした。なおちゃんとハルちゃんはもしかしたら“NNN”によって、優しいねこさんのもとへ派遣されたのかも? なんて思ってしまうような出会いですね。
これからもねこさんのもとで自由気ままに、そして仲良く(!)過ごしていってくださいね。2匹がさらに成長した姿や、また新たな出会いが訪れたときは、ぜひねとらぼ生物部に教えてください!
ねとらぼ生物部では、引き続き「保護動物のエピソード&お写真」を募集しています! 犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。
愛する家族との出会いのエピソードや、クスッと笑ってしまうかわいいお写真など、お気軽に【こちら】までお寄せください。皆さまからのご応募、お待ちしています。
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